追放先に悪役令嬢が。不法占拠を見逃す代わりに偽装結婚することにした。

椎名 富比路

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第三章 住民のおかげで街の発展がはかどりすぎて怖い

第22話 ダンジョン攻略と、ラッキースケベ

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 先日の襲撃で、魔物たちがどこから攻めてきたのかわかった。


 今日は、敵が拠点としているらしきダンジョンへ行く。

 未開の遺跡に、モンスターの巣があった。ここを攻略できれば、さらにうちの領土は拡大する。

 僕たちが積極的に拠点を拡大しているのは、南東からの妨害をあまり心配をしなくてよくなったからだ。

 しかし南バリナン王国は、タカ派のピドー王を取り逃がした。そいつの行方を追うのも、僕たちに役割となっている。

 ピドー王が、このダンジョンを根城にしている可能性も高い。

 まあ僕は、ダンジョンにいるモンスター共の素材がほしいのだが。

「キミはお姫だろ、レフィーメ。僕が先頭になるよ」

「大丈夫、ディータ。戦闘力を把握してもらいたい」

 重いハルバートを片手で持ち上げながら、レフィーメが前へと進む。

 隊列はレフィーメを先頭に、リユ、僕、ヘニーの順だ。

 ヘニーはエルフなのだが、身体は小さい。最後方で、弓形の杖を構える。

 リユはドラゴンの血が流れている、竜人だ。そのためか、メンバーでもっとも背が高かった。

 レフィ―メは、僕とリユの間くらい。ヘニーよりやや背が高い感じ。とはいえ、パーティで最も重装備であり、頼もしい。

 彼女は出会ったときには捕まっていたので、弱いと印象を持たれているのがコンプレックスらしい。

「それは、民衆を盾に取られて非武装に徹したんでしょ? 立派な王族じゃないか」

「違う。民衆を守れていない時点で、ダメな王族」

 ストイックな王族だこって。

 ドワーフが納めるテッシムは、ピドー国王の策略によって壊滅させられかけた。今は、「ピドー絶対滅ぼす国家」になっている。実際、七割のテッシム兵が、ピドー打倒に参加した。

「わたしも参加したかった。ピドーをこの手で握りつぶせるなら」

「キミは、我が国を守ってくれ。血を流す必要はない」

「うむ。私怨を建国に注ぐべきではない」

 レフィーメはすぐに、拳を引っ込める。とはいえ、いずれまた怒りは再燃するだろう。そのときは、好きにさせてやるか。 

「敵です。左サイド!」

 僕たちは、身構える。

「クモ型が四部隊、カエル型が七部隊、トカゲとウシ型が、三部隊ずつです!」

 魔物たちはすべて、ピットフィーンドに寄生されている。何者かが、ダンジョンを汚染した可能性は高い。

 野盗は……魔物のエサになったっぽいな。野盗の巣窟を、魔物が襲ったのだろう。

「大型魔獣は、任せて」

 レフィーメのハルバートが、風を切った。ミノタウロスの腕や足を軽々と吹き飛ばし、首をはねる。魔族に汚染された魔物は、従来より数倍のパワーを持つ。それをあっという間に片付けるとは。

「すごいです。レフィーメさん」

 いつのまにか現れたコウモリ型モンスターを、ヘニーが丁寧に一体ずつ撃ち落とす。レフィーメの戦闘の分析に夢中で、敵なんて見てもいない。

「そうだよね。とんでもないよ」

 クモやトカゲの魔物を【電光石火】で貫きながら、僕はレフィーメの奮闘ぶりを観察した。

 カエル型モンスターが、唾液を吐く。

 すんでのところでリユはかわしたが、服が唾液をかすめてしまう。

「くう、毒じゃ!」

 唾液付着地点から、リユのドレススーツが溶かされてしまった。
 リユの太ももが、あわらになる。

「ゲゲゲーッ!」

 カエルモンスターが、ゲラゲラ笑いながら手を叩く。殺人より、人の羞恥を見るのが楽しいのか。

「ようもやってくれたのう! きさんらは、骨を晒せや!」

 リユの剣から、紅蓮の炎が放たれる。炎は、カエルたちを灰にした。

「ピットフィーンドが取り憑いたモンスター相手に、ここまでできるとは」

「いや。そうでもないわい」

 レフィーメから称賛を受けても、リユの顔は晴れない。

「ちょっと触らせて」

 溶け落ちたリユのスカートを、レフィ―メがめくった。

「お、おう!?」

 スカートを抑えつつ、リユはされるがままに。

「これ、誰が作ったの?」

「僕だけど」

 レフィーメに質問されて、僕は手を上げた。

「雑」

 酷い言われようだが、事実なので仕方がない。

「これは、ダンナ様が作ってくれたんじゃ。無下に扱うわけには」

「わたしなら、もっと強い装備にできる。全員の装備を見直すいい機会」

 そうかもしれないな。

「お願いできるか? こちらも、色々と実験したいんだ」

「承知した。お役に立てるなら」

 装備品の足しになるかもと、僕たちは倒した魔物たちから素材を回収した。
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