おひとりさま男子、カップルYouTuberになる ~他校に進学した優等生JKが婚約者だった~

椎名 富比路

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第四章 ドキドキ動画合宿! BANの危機があるからポロリはナシ!

第22話 バーベキュー

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 思わぬ海の家の珍味と遭遇した後は、浮き輪でまったりした。

「ホントに、誰もいないね」

 浮き輪に腰を降ろして、|夢希がくつろいでいる。

「そうだな。フェリー波でも来たら、面白いんだけどな。お、きたきた!」

 この海域は、たまに遠くでフェリーが横切るのだ。その波が、押し寄せてきた。

「ひあああああ!」

 夢希が、すっ転んだ。つられてオレも、波にさらわれる。

「ん、夢希はどこにいった?」

 ちょっと離れた位置で、女性の手がもがいていた。

 急いで、海へと潜る、夢希を抱きかかえて、オレは浮上した。

「夢希!? 大丈夫か?」

 オレは夢希を抱きしめて、海から顔を出す。
 息はしている。

「う、うん……」

 うわ、距離が近い。普段、メガネをかけている女性が裸眼になると、ちょっと意識してしまう。それに、地肌が直接オレの胸に当たって……!?

「夢希! お前、水着は?」

 何が起きたか、夢希は最初はわかっていなかった。段々と、青ざめていく。

「やばい。あれ高かったのに」

「よよよ、よしよし! 見つけた」

 ブラトップは、浮き輪に引っかかっていた。オレは手早く回収して、事なきを得る。

「ありがとう。待ってて」

 夢希がブラを回収してすぐに、背を向けた。

「その快斗カイト……見た?」

 胸を直しながら、夢希がオレに問いかけてきた。

「いや。海水で目を開けられてなかった」

 オレは本当に、何も見ていない。見えたのは、ぼんやりと夢希のシルエットだけである。

「そう。あの……ホントごめん」

「お前が謝ることじゃないって。しかし、ヤバいな」

 昼過ぎになり、水位が下がってきた。藻が濃くなっている。

 こうなると、毒を持った魚の領域に入ってしまう。

 さすがに、今日の海水浴はここまでだ。

 あれは、動画に撮っていなくてよかった。撮っていたら、真っ先に編集しなければならない。


 廃校を利用したキャンプ場に、足を運ぶ。

 そこの壁沿いにあるシャワーで、海水と砂を洗い流す。

 家族連れの子どもたちなんて、スクール水着を脱いで身体を洗っている。ずっと砂遊びをしていたからだろう。

「女の子まで、素っ裸になって。気にしていないのか?」

「あれは、さすがにマネできない」

「しなくていいからっ。張り合おうとしなくていいっての」

 シャワーを浴びる夢希が、「えへへぇ」と舌を出す。

 
 夕方から、バーベキューを開始した。

「よお、カイカイだ! 今日は夜から、バーベキューを開始するぞ」

 オレは、スマホカメラに向けてあいさつをする。

 具材は、親戚が買ってきた肉と海鮮だ。焼く場所は、さっきシャワーを借りたキャンプ場である。

「田舎の山でもバーベキューはしたけど、海の幸はあんまり出ないから新鮮」

 夢希ムギが、ウキウキしているように見えた。網に焼かれるホタテやエビを、凝視している。

「貝殻付きのホタテって、初めて食べる。貝殻ビキニでしか見たことないけど。今度やってあげようか?」

「遠慮しておきます」

 貝殻ビキニ姿の夢希なんて、想像もつかない。動画で撮ったら、それこそ削除待ったなしだろう。

 親戚は、星梨セイナおばさんと、ホッケで一杯やっていた。

「焼けたぞ。行ってくれ」

「お先にいっていいの?」

「客人だ。まずはお前からどうぞ」

「では、いただきます」

 焼き立てエビの皮むきに苦戦しながら、夢希がかじりつく。


 数秒、夢希が固まる。


「どうした?」


 しばらくすると、夢希のホホを透明な液体が伝う。


「お前、泣いてるのか?」

 エビ食って泣くやつなんて初めて見た。

「おいっしいいいいい」

 鼻をすすりながら、夢希がエビをガシガシと食らう。

「どうしたんだ? 食べさせてもらえない人みたいな、リアクションになってるぞ」

「だって、海産物ってあんまりウチで出ないから、おいしくて」

 両親が山育ちで、あまり海の幸に詳しくないからだそうで。

「ホント、おいっしい。貝殻つきのホタテって、こんな味になるんだね?」

「うまいか? だったら、じゃんじゃん行ってくれ。遠慮しないでいいぞ」

「はい。ああ、このハラミもおいしい。野菜の焼き加減もちょうどいい」

「うちで採れた野菜だ。ガンガンに行け」

 オレはすっかり燒く係になって、夢希の胃袋を満たしていく。

 おそらくオレが四割、夢希が六割位食っていた。

 動画でも、夢希がなにかを食べるシーンばかりが人気である。

「ん! 明日、花火大会なんてあるの?」

 夢希が、キャンプ場のポスターに目を通した。
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