おひとりさま男子、カップルYouTuberになる ~他校に進学した優等生JKが婚約者だった~

椎名 富比路

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第八章 おひとりさまYouTuber、登録者一万超え!?

第48話 プライベートばかりが充実していく動画投稿者

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『チクタク』とは、海外で開発されたショート専門の動画サイトだ。

 夢希の学年で、チクタクの動画をあげようとした生徒がいたらしい。
 遅くまで友だちと踊っていたら、知らない男連中から声をかけれられたという。運がいいのか悪いのか、学校の先生が通りかかって事なきを得たそうだ。

「でも運はいいよ、その子たち。何もされなかったみたいだし」

 内申書に傷がついただけで、済んだというが。女子生徒からしたら内申書に響くだけでもヤバいんだろうが、命や金、または人生を棒に振るよりはマシだ。

「だよな」

 着いていったら、ヤバかったかも。なにをされたか、わかったもんじゃない。

「カイカイの学校は?」

「知らない。そういう話はしないからな。耳にも入ってこないんだ」

 同級生と親しいわけでもないので、完全に学校のことは遮断している。

「マジでカイカイって、学校に思い入れがないよね?」

「ないなー。金を貯めて学校やめようかなって思ってくらいなんだ」

「カイカイさあ、モミジとも相談していたよね?」

「うん。もう学校が退屈で」

 編集に時間を割きたいと思う気持ちが日に日に膨れ上がっていた。

「まあ、とにかく動画だ。で、バイトの方なんだが」

 コラボ先の切り抜き編集などで、結構な貯金ができている。ほとんどは株式投資に回そうと思っていた。が、すでに星梨おばさんが、オレのお年玉の一部をインデックス投資で運用しているらしい。

「バイト代が入ったおかげで、物欲もちょっとだけ増えたぞ。買ったものは、これだ。ジャン! ビーズクッション!」

 人呼んで、「人をダメにするクッション」だ。

「見てくれ。このゴッテゴテなパステル調の色! オレがオレンジのクッションで、ムゥは真ピンクの抱きまくらだ!」

 海沿いのショッピングモールまで、買いに行った。そこには、ビーズクッションの専門店がある。

「これを担いで、モールを練り歩くのがいいんだ。『ああ、あの専門店に行ったのか!』と、注目されるんだぞ! 他人から変な目で見られるのは、ある意味で快感だな!」

「見られているのは、ソファだけどね」

 このクッションにもたれてゲームなんかしていたら、二時間爆睡してしまった。さすが、人を駄目にすると言われるだけあるな。
 まあ、人をダメにするソファを出した元祖は、生活雑貨店なんだけどな。

「わたしたち、プライベートばっかり充実するよね」

 そうなんだ。動画を伸ばす方法も、ちょっと考えたほうがいいんだろうけどな。

「というわけで、作戦会議も兼ねて、モミジに誘われたのでプールデートをすることになった。モミジがコスプレで、水着を見せたいらしいからな。向こうの動画サイトにも、告知があるはずだ。ではちょっと遅めの夏休み動画を、楽しみにしていてくれ。じゃあな!」
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