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夜のラーメンは、罪の味 ~家出少女と共に、とんこつしょうゆラーメンと替え〇〇~
人命救助
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その後も、わたしはみっちり騎士団の修行に付き合ったのでした。
着ぐるみを脱ぐと、二人とも汗だくです。
女性用のシャワー室を借りました。
「今日はありがとうっす。みんなクリスさんの動きに翻弄されて、いいトレーニングになったかと」
塀越しに、ハシオさんが語りかけてきます。
「だといいですけれど」
「すごいっすよ! あんな動き見たことありませんもん! 野獣っすよ野獣」
そこまで、ワイルドだったでしょうか?
ワイルドさで言えば、ハシオさんのプロポーションでしょうか。
細マッチョで腹筋も割れていながら、出るところはでているという。まるで、石膏像のような肉体美です。
「シスタークリスさん、どうしたっす?」
「いえいえ。なんでもありませんよー」
あまり女性を、ジロジロ見るものではありませんね。同性といえど。
それにしても、どうしてわたしの周りは破壊的なボディの持ち主ばかり集まるのでしょうね?
着替えも済ませ、訓練依頼は終了です。
お腹が空いてきました。
お昼は騎士団さんと一緒にシチューとパンだったのですが、もう胃の中は空っぽです。
何か、ガツンとくるものを食べないと。
「ぬわあん、疲れたもう」
ハシオさんが、背伸びをします。
「疲れた……」
大剣使いのミュラーさんもグロッキーです。わたしより動いていましたからね。
二人は冒険者の酒場で、エールを煽りました。わたしは、冷たいお茶と枝豆をいただいています。
「ミュラーさん、腹減んないっすか?」
ハシオさんが切り出します。
「ああ。もう限界だ」
「この辺に、ウマいラーメン屋ができたらしいんっすよ」
話を聞いた感じだと、引退した冒険者さんが経営しているそうですね。
「おっそっか。行きてえな!」
「今から行きましょうよ」
お酒のみの方は、「飲んだ後のラーメンはうまい」ってよくいいますね。
よくそんな罪深いことを平然と……。
「嬢ちゃんも来るだろ?」
「もちろん」
ついていくに決まっています。
ラーメンを食べに行く機会なんて、めったにありません。
今日は遅くなると、あらかじめ教会には言っていますからね。
「どんなラーメンが出るんですか?」
「安物っすよ。見た目は完璧『ザッツ 普通のしょうゆラーメン』なんすけど、コクがあってうまいらしいんすよ。特に唐揚げセットがヤバいらしくて。いやー話しているだけでヨダレ出そうっす」
「いいですね!」
「でしょ? ガッツリ系ラーメンもたしかにイケますけど、ああいう専門的じゃないラーメンにケチつけてくるやつは大っキライっす。ありえねえっすね。ラーメン好きの風上にもおけねえ!」
ラーメンに並々ならぬ情熱をお持ちのようです。
わたしたちの前方に、橋をが見えました。
橋の上には、一人の少女がうつむきながら川を見つめています。
平民、にしては小綺麗です。髪も整っていました。雰囲気が暗いです。
「訳ありでしょうか?」
「さあな……っ!」
我々が思案していると、少女が橋の柵をまたいでしまいました!
駆け出し、わたしは少女を止めに入ります。
しかし、一緒になって川へ落下してしまいました!
低い橋だったので、大して衝撃はありません。どうにか、岸まで泳ぎきります。
「嬢ちゃん、こっちだ!」
「捕まるっす!」
ミュラーさんとハシオさんが、わたしたちを引き上げてくれました。
「危ないじゃないですか!」
「どうして助けたの!?」
少女の目は、不安で濁りきっていました。
「自ら命を立つのは、良い判断とは言えません!」
震える少女の肩を、わたしは抱きしめます。
少女はわずかながら気が緩んだのか、おなかの虫が鳴きだしました。
「ところでハシオさん、ラーメン屋は?」
咳き込む少女に、温暖の魔法を唱えます。衣服がみるみる乾いていきました。若干、震えも止まった気がします。
ですが、本格的に温めるには何か食べさせないと。
「すぐそこっす」
「わかりました。お話はそちらで聞きましょうか」
少女はなおも抵抗しようとしました。が、おなかの虫が食い止めます。
着ぐるみを脱ぐと、二人とも汗だくです。
女性用のシャワー室を借りました。
「今日はありがとうっす。みんなクリスさんの動きに翻弄されて、いいトレーニングになったかと」
塀越しに、ハシオさんが語りかけてきます。
「だといいですけれど」
「すごいっすよ! あんな動き見たことありませんもん! 野獣っすよ野獣」
そこまで、ワイルドだったでしょうか?
ワイルドさで言えば、ハシオさんのプロポーションでしょうか。
細マッチョで腹筋も割れていながら、出るところはでているという。まるで、石膏像のような肉体美です。
「シスタークリスさん、どうしたっす?」
「いえいえ。なんでもありませんよー」
あまり女性を、ジロジロ見るものではありませんね。同性といえど。
それにしても、どうしてわたしの周りは破壊的なボディの持ち主ばかり集まるのでしょうね?
着替えも済ませ、訓練依頼は終了です。
お腹が空いてきました。
お昼は騎士団さんと一緒にシチューとパンだったのですが、もう胃の中は空っぽです。
何か、ガツンとくるものを食べないと。
「ぬわあん、疲れたもう」
ハシオさんが、背伸びをします。
「疲れた……」
大剣使いのミュラーさんもグロッキーです。わたしより動いていましたからね。
二人は冒険者の酒場で、エールを煽りました。わたしは、冷たいお茶と枝豆をいただいています。
「ミュラーさん、腹減んないっすか?」
ハシオさんが切り出します。
「ああ。もう限界だ」
「この辺に、ウマいラーメン屋ができたらしいんっすよ」
話を聞いた感じだと、引退した冒険者さんが経営しているそうですね。
「おっそっか。行きてえな!」
「今から行きましょうよ」
お酒のみの方は、「飲んだ後のラーメンはうまい」ってよくいいますね。
よくそんな罪深いことを平然と……。
「嬢ちゃんも来るだろ?」
「もちろん」
ついていくに決まっています。
ラーメンを食べに行く機会なんて、めったにありません。
今日は遅くなると、あらかじめ教会には言っていますからね。
「どんなラーメンが出るんですか?」
「安物っすよ。見た目は完璧『ザッツ 普通のしょうゆラーメン』なんすけど、コクがあってうまいらしいんすよ。特に唐揚げセットがヤバいらしくて。いやー話しているだけでヨダレ出そうっす」
「いいですね!」
「でしょ? ガッツリ系ラーメンもたしかにイケますけど、ああいう専門的じゃないラーメンにケチつけてくるやつは大っキライっす。ありえねえっすね。ラーメン好きの風上にもおけねえ!」
ラーメンに並々ならぬ情熱をお持ちのようです。
わたしたちの前方に、橋をが見えました。
橋の上には、一人の少女がうつむきながら川を見つめています。
平民、にしては小綺麗です。髪も整っていました。雰囲気が暗いです。
「訳ありでしょうか?」
「さあな……っ!」
我々が思案していると、少女が橋の柵をまたいでしまいました!
駆け出し、わたしは少女を止めに入ります。
しかし、一緒になって川へ落下してしまいました!
低い橋だったので、大して衝撃はありません。どうにか、岸まで泳ぎきります。
「嬢ちゃん、こっちだ!」
「捕まるっす!」
ミュラーさんとハシオさんが、わたしたちを引き上げてくれました。
「危ないじゃないですか!」
「どうして助けたの!?」
少女の目は、不安で濁りきっていました。
「自ら命を立つのは、良い判断とは言えません!」
震える少女の肩を、わたしは抱きしめます。
少女はわずかながら気が緩んだのか、おなかの虫が鳴きだしました。
「ところでハシオさん、ラーメン屋は?」
咳き込む少女に、温暖の魔法を唱えます。衣服がみるみる乾いていきました。若干、震えも止まった気がします。
ですが、本格的に温めるには何か食べさせないと。
「すぐそこっす」
「わかりました。お話はそちらで聞きましょうか」
少女はなおも抵抗しようとしました。が、おなかの虫が食い止めます。
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