75 / 289
第一部 完 後編 カレーうどんは、罪の味 ~ケータリングで食べるカレーうどん~
カレー味のカップ麺は、罪の味 (第一部 完
しおりを挟む
「あーあ」
おかげで、残しておいたポテチが全部、床に散らばってしまいました。
もったいない。
ですが、パンはちゃんと老女の手に渡ったようです。
老女は少年に泣きながら、何度もお礼を言います。パンをちぎって、少しずつ食べていました。
彼女のためにわたしがしてあげられることは、海鳥を追い払ってあげることくらいしかありません。
海鳥さんたちはというと、今度はわたしの足元に集まってきました。
地面に散らばったポテチをついばんでいます。
お食事にありつけて、よかったですね。
戻りましょう。
教会では、モーリッツさんがわたしを尋ねてきていました。
「ありがとうシスター。借金もなくなって、金も戻ってきた」
「よかったです」
「みんなのおかげだ。でも、商売は縮小しようと思う」
下手に手を伸ばすと、また利用されてしまうかもしれないと、お考えのようです。
「コツコツ、ほそぼそと、身の丈にあった商売をするよ。それで、分前だ」
モーリッツさんが、アイテムボックスに手を伸ばして、麻の袋を用意します。
中身は、多額の金貨でした。
「シスターには、お世話になりっぱなしだ。多額の報酬を用意したんだ……けど、あんたは受け取らないんだったよな?」
「はい。すべて、教会に寄付します」
エンシェント院長に管理してもらったほうが、いいでしょう。
わたしが持つと、全部胃袋に消えてしまうので。
「だが、シスターには喜んでもらいたい。で、他のパーティに相談したんだ」
結果、カップ麺の新作を一年分いただけました。
「ほおお、これは! カレー味のラーメンですね?」
「新作だ。俺とアニキで考えた。食べてくれ」
「さっそく、いただきます」
お湯を入れて蓋をして、温めます。
「うん……これは!」
辛さの中にもほのかな甘みがあって、ジャンクっぽい味わい。
平麺にしたことで、麺がドロっとしたスープを存分に吸い込んでいます。
「感想は?」
わたしは、サムズアップを決めました。
「罪深い!」
このコンビネーションを考えついた方は、神ですね?
もはやラーメン神。
なんでしょう。ニンジンやジャガイモが薄切りで入っていても、スープの邪魔にならないなんて。
いったい、どんなマジックなのですか?
むしろ、お湯で溶けたジャガイモがスープを更に濃厚なものにしてくれるとは!
なんという融合でしょう。
この発想を考えついた方に、わたしがいただくはずだった報酬をお支払いしたい!
いや受け取ってくれ!
そして、もっとこのカップ麺をください!
毎日食べます!
「はーあ。これは外で食べるのがベストですね。そんな気がします」
「キャンプ飯か! それもいいな!」
「これこそ、外へ遠征に行く方たちに提供すれば、喜ばれると思います」
「あんたがメチャクチャ気に入ってくれているんなら、大丈夫だな! ありがとうシスター!」
「はい。ごちそうさまでした」
満足したモーリッツさんが、帰っていきます。
これから船に乗って、他の土地へ向かうようです。カップ麺を売り込みに行くのだとか。
ですが、「手広くするのではなく、ノウハウだけ提供すればいいかな」とお考えだそうです。
「これは、またヒットを狙えると思うのですが?」
「儲けたいんじゃない。自分たちの味をみんなに知ってもらえたらいいんだよ」
素晴らしいお考えだと、わたしは思いました。
「海の向こうでも、流行るといいですね。ご兄弟の考えたラーメンが」
「ああ。きっと喜ばせてみせるよ。じゃあ、船が来る時間だから」
「お気をつけて」
モーリッツさんは、港に向かいます。
さて、わたしは教会を抜け出す算段を考え始めました。
例のジョギング女性から聞いた、新店舗に向かうために。
いったい、どんな「罪」がわたしを待っているのでしょうか?
なんだか、お腹が空いてきました。
(第一部 完)
おかげで、残しておいたポテチが全部、床に散らばってしまいました。
もったいない。
ですが、パンはちゃんと老女の手に渡ったようです。
老女は少年に泣きながら、何度もお礼を言います。パンをちぎって、少しずつ食べていました。
彼女のためにわたしがしてあげられることは、海鳥を追い払ってあげることくらいしかありません。
海鳥さんたちはというと、今度はわたしの足元に集まってきました。
地面に散らばったポテチをついばんでいます。
お食事にありつけて、よかったですね。
戻りましょう。
教会では、モーリッツさんがわたしを尋ねてきていました。
「ありがとうシスター。借金もなくなって、金も戻ってきた」
「よかったです」
「みんなのおかげだ。でも、商売は縮小しようと思う」
下手に手を伸ばすと、また利用されてしまうかもしれないと、お考えのようです。
「コツコツ、ほそぼそと、身の丈にあった商売をするよ。それで、分前だ」
モーリッツさんが、アイテムボックスに手を伸ばして、麻の袋を用意します。
中身は、多額の金貨でした。
「シスターには、お世話になりっぱなしだ。多額の報酬を用意したんだ……けど、あんたは受け取らないんだったよな?」
「はい。すべて、教会に寄付します」
エンシェント院長に管理してもらったほうが、いいでしょう。
わたしが持つと、全部胃袋に消えてしまうので。
「だが、シスターには喜んでもらいたい。で、他のパーティに相談したんだ」
結果、カップ麺の新作を一年分いただけました。
「ほおお、これは! カレー味のラーメンですね?」
「新作だ。俺とアニキで考えた。食べてくれ」
「さっそく、いただきます」
お湯を入れて蓋をして、温めます。
「うん……これは!」
辛さの中にもほのかな甘みがあって、ジャンクっぽい味わい。
平麺にしたことで、麺がドロっとしたスープを存分に吸い込んでいます。
「感想は?」
わたしは、サムズアップを決めました。
「罪深い!」
このコンビネーションを考えついた方は、神ですね?
もはやラーメン神。
なんでしょう。ニンジンやジャガイモが薄切りで入っていても、スープの邪魔にならないなんて。
いったい、どんなマジックなのですか?
むしろ、お湯で溶けたジャガイモがスープを更に濃厚なものにしてくれるとは!
なんという融合でしょう。
この発想を考えついた方に、わたしがいただくはずだった報酬をお支払いしたい!
いや受け取ってくれ!
そして、もっとこのカップ麺をください!
毎日食べます!
「はーあ。これは外で食べるのがベストですね。そんな気がします」
「キャンプ飯か! それもいいな!」
「これこそ、外へ遠征に行く方たちに提供すれば、喜ばれると思います」
「あんたがメチャクチャ気に入ってくれているんなら、大丈夫だな! ありがとうシスター!」
「はい。ごちそうさまでした」
満足したモーリッツさんが、帰っていきます。
これから船に乗って、他の土地へ向かうようです。カップ麺を売り込みに行くのだとか。
ですが、「手広くするのではなく、ノウハウだけ提供すればいいかな」とお考えだそうです。
「これは、またヒットを狙えると思うのですが?」
「儲けたいんじゃない。自分たちの味をみんなに知ってもらえたらいいんだよ」
素晴らしいお考えだと、わたしは思いました。
「海の向こうでも、流行るといいですね。ご兄弟の考えたラーメンが」
「ああ。きっと喜ばせてみせるよ。じゃあ、船が来る時間だから」
「お気をつけて」
モーリッツさんは、港に向かいます。
さて、わたしは教会を抜け出す算段を考え始めました。
例のジョギング女性から聞いた、新店舗に向かうために。
いったい、どんな「罪」がわたしを待っているのでしょうか?
なんだか、お腹が空いてきました。
(第一部 完)
0
あなたにおすすめの小説
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~
よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】
多くの応援、本当にありがとうございます!
職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。
持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。
偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。
「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。
草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。
頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男――
年齢なんて関係ない。
五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした
月神世一
ファンタジー
「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」
ブラック企業で過労死した日本人、カイト。
彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。
女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。
孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった!
しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。
ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!?
ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!?
世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる!
「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。
これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!
追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発
ハーフのクロエ
ファンタジー
アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる