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海の家は、罪な家

冷麺は、罪の味

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 これが、冷麺ですか。

「器が冷たいですね」

「氷で、冷やしています。器の中にも氷を入れています」

 麺はソバ麺ですね。

 あとはゆで卵、錦糸卵、ベーコン、きゅうりに、レモンですか。なんとも不思議そうな味わいです。

「この赤いのは、なんです?」

「キムチといいます。東洋のお漬物だそうで」

 なるほど。

 とにかく、食べるのが楽しみです。

「いただきます」

 まずは、レンゲでスープを。おおお、罪深うまい。

 香りがすごいです。

 レモンが、こんなに合うとは。
 どう考えてもどの味より象徴し過ぎると思っていたら、脇役でしたか。 
 しかし、レモンがないと味気ないという。このさじ加減、苦労なさったと思える味です。

 麺ですが、罪深い。

 弾力が、すごいですね。モッチモチです。
 下手をすると、すぐに全部吸い込んでしまいそうになりますから、注意せねば。
 この麺が具材とからめば、とんでもない勢いで味が群がってきます。
 なのに、どれもケンカしません。仲良く手を繋いでいますよ。

 それにこのキムチとやらが、いい味を出していますね。
 見た目がエゲツなく辛そうなのに、それほど刺激がありません。
 アクセント用の味付けなのですね。
 白菜や大根の甘みが強いです。
 これは、実に罪深い。

「うんま。酒に合うわぁ」

 カレーラス子爵などは、キムチを追加なさっています。

「ホント。特に東洋の酒と合うのよねえ」

 弟子のヘルトさんも、キムチをどっさりと。

「では、ライスをいただけますか?」

 やはり気になるのが、ライスとの相性ですよ。麺といえば、ライス。この組み合わせこそ、神懸かりというもの。

「どうぞ、シスター」

「ありがとうございます。ではいただきますね」

 さてさて。


 あ~っ。間違いなく罪深い。


 言葉が出ません。この罪は、抗いきれませんね。冷たい麺類ですから、ライスとは会いづらいだろうと思っていたのに。おソバでさえ、かやくごはんとなら合うという感じでした。


 こちらは、キムチというお漬物のおかげでしょう。ライスとベストマッチングなさっています。ライスが酸味を、程よく中和してくれました。

 ラーメンにきゅうりというアクセントも、実に不思議です。なのに、このおいしさは。

 なんともいえず、罪深い。

 スープまで、すべていただきました。

「ごちそうさまでした。これは、見事なお手前です」

「ありがとうございます。でもこれ、本来はシメなんですよ」

「シメ、ですか」

「はい。焼肉の」

 だから、テーブルにロースターがあるんですね。

 だとしたら、焼肉もいただきませんと。

 第二ラウンド、シスタークリス、動きます。
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