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一杯目 良照(らて)が飲むラテアート部のコーヒーは、苦い
よいエスプレッソの条件
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「飲んでいい?」
どうぞ、とまずは素のエスプレッソを飲んでもらう。
ミルク、砂糖の好みの量を聞いてから、ミルクを少し足して、カップを渡す。
「不味かったら言ってくれ。参考になる」
カップを傾けた瞬間、利香子は瞳を閉じた。
「うわぁ。泡までおいしい。泡の中に、濃厚でほろ苦いおいしさが詰まってるみたい。香りが直接口の中に広がるのも最高」
淹れたてのエスプレッソを飲み干し、利香子はうっとりしている。
どうやら、気に入ってくれたようだ。
「エスプレッソって、もっと苦いと思っていたわ」
「それがエスプレッソに対する誤解だ」
圧力をかけて抽出するので、ドリップコーヒーよりも、同じ量のお湯でも、成分が溶け出す量が多くなる。
つまり濃厚な味になるのだ。
「知ってるか? カフェインもエスプレッソの方が、ドリップコーヒーより少ないんだ」
抽出時間がドリップコーヒーより短いから、カフェインが溶けにくい。
俺が解説すると、利香子が驚いた顔に。
「そうなの?」
「そうなん?」
なんで良照《おまえ》が知らないんだよ?
「これがエスプレッソの味だ。じゃあ次は……」
と、カプチーノを用意しようとした矢先、開き戸が乱暴に開け放たれた。
開けたのは、男子生徒。
背が高く、髪は茶色い。かといって不良という印象を受けない不思議な生徒だった。
「悪い、かくまってくれ」
どうぞ、とまずは素のエスプレッソを飲んでもらう。
ミルク、砂糖の好みの量を聞いてから、ミルクを少し足して、カップを渡す。
「不味かったら言ってくれ。参考になる」
カップを傾けた瞬間、利香子は瞳を閉じた。
「うわぁ。泡までおいしい。泡の中に、濃厚でほろ苦いおいしさが詰まってるみたい。香りが直接口の中に広がるのも最高」
淹れたてのエスプレッソを飲み干し、利香子はうっとりしている。
どうやら、気に入ってくれたようだ。
「エスプレッソって、もっと苦いと思っていたわ」
「それがエスプレッソに対する誤解だ」
圧力をかけて抽出するので、ドリップコーヒーよりも、同じ量のお湯でも、成分が溶け出す量が多くなる。
つまり濃厚な味になるのだ。
「知ってるか? カフェインもエスプレッソの方が、ドリップコーヒーより少ないんだ」
抽出時間がドリップコーヒーより短いから、カフェインが溶けにくい。
俺が解説すると、利香子が驚いた顔に。
「そうなの?」
「そうなん?」
なんで良照《おまえ》が知らないんだよ?
「これがエスプレッソの味だ。じゃあ次は……」
と、カプチーノを用意しようとした矢先、開き戸が乱暴に開け放たれた。
開けたのは、男子生徒。
背が高く、髪は茶色い。かといって不良という印象を受けない不思議な生徒だった。
「悪い、かくまってくれ」
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