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一杯目 良照(らて)が飲むラテアート部のコーヒーは、苦い
漫研部長との戦い(何と戦っているんだ?
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「ちょっといい? ここに背が高くて茶髪の生徒が来なかった?」
黒髪ポニーテールを跳ね上げ、女生徒が家庭科室を見渡す。
小柄だが、上履きのラインがオレンジだ。
三年生か。
尋ねると、漫画研究部の部長だと名乗った。
「来てませんが?」
「ふーん」
漫研部長が、訝しげな視線を俺に向けてくる。
「鞄が一つ多いみたいだけど?」
ミスった。学生鞄が教卓からはみ出ていた。
その瞬間を見逃さず、先輩女子は怒鳴り声を上げた。
「隠れてたってムダなんだからね。出てきなさいよっ!」
三年に凄まれ、さすがに牧郎が教卓から顔を出す。
「ちょっと待ってくれ」
牧郎の姿を漫研女子から隠すように、俺は前に出た。
「なによ。部員確保ならこっちが先客なんですからね」
女子が睨んでくる。
先輩とは言え、少し頭に来た。なので、おちょくってやる事にした。
「ええと、部員が欲しいって言ってましたよね?」
「そうよ。こっちは部員が一人でも欲しいところなの。即売会前でテンパってんのよ。イライラさせないでくれる?」
高慢な態度にムカツきつつも、平静を装う。メガネを整え、脳内で言葉をまとめる。
「要するに、あなたは『部員』という『不特定多数の人間』が欲しいわけですよね? ですが、俺達が欲しいのは、『鈴原牧郎』という一個人だ」
「――!!」
漫研部長が、背筋に電流が走ったような表情になる。
黒髪ポニーテールを跳ね上げ、女生徒が家庭科室を見渡す。
小柄だが、上履きのラインがオレンジだ。
三年生か。
尋ねると、漫画研究部の部長だと名乗った。
「来てませんが?」
「ふーん」
漫研部長が、訝しげな視線を俺に向けてくる。
「鞄が一つ多いみたいだけど?」
ミスった。学生鞄が教卓からはみ出ていた。
その瞬間を見逃さず、先輩女子は怒鳴り声を上げた。
「隠れてたってムダなんだからね。出てきなさいよっ!」
三年に凄まれ、さすがに牧郎が教卓から顔を出す。
「ちょっと待ってくれ」
牧郎の姿を漫研女子から隠すように、俺は前に出た。
「なによ。部員確保ならこっちが先客なんですからね」
女子が睨んでくる。
先輩とは言え、少し頭に来た。なので、おちょくってやる事にした。
「ええと、部員が欲しいって言ってましたよね?」
「そうよ。こっちは部員が一人でも欲しいところなの。即売会前でテンパってんのよ。イライラさせないでくれる?」
高慢な態度にムカツきつつも、平静を装う。メガネを整え、脳内で言葉をまとめる。
「要するに、あなたは『部員』という『不特定多数の人間』が欲しいわけですよね? ですが、俺達が欲しいのは、『鈴原牧郎』という一個人だ」
「――!!」
漫研部長が、背筋に電流が走ったような表情になる。
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