3 / 49
第一章 魔獣少女と単眼魔王先輩
第3話 魔獣少女、対面の時
しおりを挟む
『ボサッとするな。大物が来るぞ!』
鉄骨とコンクリートが破壊されて、黒い生命体がノッシノッシと巨体を揺らす。
影の一体であるモコモコが、巨人の頭部に飛びつく。アフロの巨人ができあがった。一昔前の格ゲーで見たことがある姿に。
『これが、ヤツらの本体らしいな』
「こいつら、何なんです?」
『魔獣少女のしもべだ』
彼らは異世界から突然飛来し、対象者の心の弱さにつけ込んでくる。そうやって取り憑き、養分を取り込むのだ。
「あのアマァ。私の許可なくあいつに告白されて! 許せない!」
魔物が、姿を現す。まるまると太った女子高生の頭に、羊の角が生えていた。
『あれは【サテュロス】っていう、羊型の魔獣少女だな。欲情の塊を具現化すると、あの姿になる」
「アフロヘアに、ですか?」
『魔獣少女ってのは、いろんな形があるんだよ』
バロールがサテュロスと呼ぶ眼前の悪魔は、アフロヘアのデブだ。
「あの人は……」
『知り合いか?』
「全然。彼女の友だちの男子が、わたしに交際を迫ってきたんです」
中学時代の自分に言い寄ってきたイケメンの、友人だった女子だ。今では見る影もないが、雰囲気からして間違いない。
「聞いたことがあります。その男子が私をフってから、あの子、自分を見失って随分荒れたと」
わたしはイケメンの告白を断り、男子の方も納得してくれた。
あのまま交際しているものだと思っていたのだが、そうはならなかったようだ。
そこへ、あのアフロ魔獣が付け入ったのか。
『フラれた自分を、受け入れられなかったんだな?』
「だと思います。一途だったので」
美少女たるゆえ、汚点を許せなかったのだろう。
『完璧主義も、行き過ぎるとこうなるんだな』
「考えたくないですね」
『なんでソイツをフッたんだ?』
「イヤですよ。学校中に白い目で見られるなんて」
とにかくわたしは、目立ちたくなかった。それゆえ、どれだけカッコイイ男子に告られても女子の輪を乱すわけにはいかなかったのである。それだけだったのに。
「それに、わたしに因縁をふっかけてくる女子生徒がいて」
『あいつか?』
女子は生活習慣が不規則になり、誰からも振り向かれない姿になってしまった。あんな風に。
それにしても、魔物と契約なんて。
『不思議で仕方ないだろう? そんなもんなのさ、魔物ってのは。相手の一番弱いところを突き、取り込んでしまう。相手の願望を叶える代わりに、相手を自分の血肉としてしまうんだ』
現代社会に、魔物はそのまま顕現できない。魔王となってようやく、現実世界でも本来の力と姿を取り戻せるのだ。
「じゃあ、あなたは特に優しめの魔物さんなんですね?」
『なんでそう言える?』
「何も要求してこなかったので」
わたしが指摘すると、バロールは露骨に慌てる。
『こ、これから要求するの!』
「ふうん。まあ、いいですけどね」
『ごちゃごちゃ言うな。対決するぞ』
「はい」
わたしは、刀を構えてデブの前に出た。
「見つけたああ! わたしの指示なしにケンヤと話したクソ女!」
「へん。魔獣少女の本性を現しやがったか、サテュロス!」
バロールが、わたしの声帯を使って話す。勝手にノドを使われたが、痛みやらかゆみやらはない。
『ほほう、私がわかるのか。貴様は?』
「狭窄公っていえばわかるかい?」
その名前を聞いて、相手は露骨に嫌な顔を見せた。
『あの、同胞を退治して回っているクソヤロウかい?』
バロールに、そんな過去が。
「そうだ。テメエらに魔王殺しの汚名を着せられ、逃げ回っていた。だが、それも今日で終わりだ。ダチの敵は、オレサマが取る」
『なにをバカな!』
バロールを恐れていないのだろう、サテュロスは不敵に笑った。
『勝てると思っているのか。この異世界最強と言われた、サテュロスに?』
自信ありげに、サテュロスはバロールを見下す。
だが、もっとエラそうにバロールは告げた。
「ああ。テメエは、世界で二番目の魔獣少女だからな」
相手に手の甲を見せて、Vサインをしながら。
『二番目? この私がか?』
「ああ、そうだ。二番目がエラそうにしちゃあ、いけないぜ」
『ほざけクソヤロウが!』
また、ニョロニョロの影が迫ってくる。あの細い影は、この魔獣少女が出していたのか。
「くっ!」
避けた……と思ったのだが、影が服をかすめた。
「思っていたより、動きが鈍いな」
「そりゃあそうですよ! 魔獣少女、ですか? なりたてホヤホヤなんですから!」
いきなり「機敏に動いて戦え」といったって、今まで平凡に過ごしてきたJKに華麗なファイトを求められても。
「戦闘服が!?」
魔獣少女のバトルスーツが、足から胸元までスリットが入っていた。バリカンで切り裂かれたみたいになっている。
『あはは。魔王バロール、サイクロプス族の頂点が、たいしたことないな』
ニヤニヤ笑う。
また影が放たれた。
バトルスーツが、ドンドンとカットされていく。
『いい見世物だ。そそるじゃないか。天下のバロールが、こんなにナイスバディだったとは』
サテュロスの腰から、何かが突き出た。デロンと、屹立している。
あれは、ジンギスカンのチーズ入りフランクフルト(意味深!
チーズフランクが、ラム肉独特の匂いを放つ。
逃げないと。そう思っているのに、目は完全にフランクへ釘付けになっていた。
身体も熱くなっている。
ヘソの下が、うずいて仕方ない。
「どうなってるんです? バロールさん、あなたのせいですか?」
「ああ。発情期だ」
鉄骨とコンクリートが破壊されて、黒い生命体がノッシノッシと巨体を揺らす。
影の一体であるモコモコが、巨人の頭部に飛びつく。アフロの巨人ができあがった。一昔前の格ゲーで見たことがある姿に。
『これが、ヤツらの本体らしいな』
「こいつら、何なんです?」
『魔獣少女のしもべだ』
彼らは異世界から突然飛来し、対象者の心の弱さにつけ込んでくる。そうやって取り憑き、養分を取り込むのだ。
「あのアマァ。私の許可なくあいつに告白されて! 許せない!」
魔物が、姿を現す。まるまると太った女子高生の頭に、羊の角が生えていた。
『あれは【サテュロス】っていう、羊型の魔獣少女だな。欲情の塊を具現化すると、あの姿になる」
「アフロヘアに、ですか?」
『魔獣少女ってのは、いろんな形があるんだよ』
バロールがサテュロスと呼ぶ眼前の悪魔は、アフロヘアのデブだ。
「あの人は……」
『知り合いか?』
「全然。彼女の友だちの男子が、わたしに交際を迫ってきたんです」
中学時代の自分に言い寄ってきたイケメンの、友人だった女子だ。今では見る影もないが、雰囲気からして間違いない。
「聞いたことがあります。その男子が私をフってから、あの子、自分を見失って随分荒れたと」
わたしはイケメンの告白を断り、男子の方も納得してくれた。
あのまま交際しているものだと思っていたのだが、そうはならなかったようだ。
そこへ、あのアフロ魔獣が付け入ったのか。
『フラれた自分を、受け入れられなかったんだな?』
「だと思います。一途だったので」
美少女たるゆえ、汚点を許せなかったのだろう。
『完璧主義も、行き過ぎるとこうなるんだな』
「考えたくないですね」
『なんでソイツをフッたんだ?』
「イヤですよ。学校中に白い目で見られるなんて」
とにかくわたしは、目立ちたくなかった。それゆえ、どれだけカッコイイ男子に告られても女子の輪を乱すわけにはいかなかったのである。それだけだったのに。
「それに、わたしに因縁をふっかけてくる女子生徒がいて」
『あいつか?』
女子は生活習慣が不規則になり、誰からも振り向かれない姿になってしまった。あんな風に。
それにしても、魔物と契約なんて。
『不思議で仕方ないだろう? そんなもんなのさ、魔物ってのは。相手の一番弱いところを突き、取り込んでしまう。相手の願望を叶える代わりに、相手を自分の血肉としてしまうんだ』
現代社会に、魔物はそのまま顕現できない。魔王となってようやく、現実世界でも本来の力と姿を取り戻せるのだ。
「じゃあ、あなたは特に優しめの魔物さんなんですね?」
『なんでそう言える?』
「何も要求してこなかったので」
わたしが指摘すると、バロールは露骨に慌てる。
『こ、これから要求するの!』
「ふうん。まあ、いいですけどね」
『ごちゃごちゃ言うな。対決するぞ』
「はい」
わたしは、刀を構えてデブの前に出た。
「見つけたああ! わたしの指示なしにケンヤと話したクソ女!」
「へん。魔獣少女の本性を現しやがったか、サテュロス!」
バロールが、わたしの声帯を使って話す。勝手にノドを使われたが、痛みやらかゆみやらはない。
『ほほう、私がわかるのか。貴様は?』
「狭窄公っていえばわかるかい?」
その名前を聞いて、相手は露骨に嫌な顔を見せた。
『あの、同胞を退治して回っているクソヤロウかい?』
バロールに、そんな過去が。
「そうだ。テメエらに魔王殺しの汚名を着せられ、逃げ回っていた。だが、それも今日で終わりだ。ダチの敵は、オレサマが取る」
『なにをバカな!』
バロールを恐れていないのだろう、サテュロスは不敵に笑った。
『勝てると思っているのか。この異世界最強と言われた、サテュロスに?』
自信ありげに、サテュロスはバロールを見下す。
だが、もっとエラそうにバロールは告げた。
「ああ。テメエは、世界で二番目の魔獣少女だからな」
相手に手の甲を見せて、Vサインをしながら。
『二番目? この私がか?』
「ああ、そうだ。二番目がエラそうにしちゃあ、いけないぜ」
『ほざけクソヤロウが!』
また、ニョロニョロの影が迫ってくる。あの細い影は、この魔獣少女が出していたのか。
「くっ!」
避けた……と思ったのだが、影が服をかすめた。
「思っていたより、動きが鈍いな」
「そりゃあそうですよ! 魔獣少女、ですか? なりたてホヤホヤなんですから!」
いきなり「機敏に動いて戦え」といったって、今まで平凡に過ごしてきたJKに華麗なファイトを求められても。
「戦闘服が!?」
魔獣少女のバトルスーツが、足から胸元までスリットが入っていた。バリカンで切り裂かれたみたいになっている。
『あはは。魔王バロール、サイクロプス族の頂点が、たいしたことないな』
ニヤニヤ笑う。
また影が放たれた。
バトルスーツが、ドンドンとカットされていく。
『いい見世物だ。そそるじゃないか。天下のバロールが、こんなにナイスバディだったとは』
サテュロスの腰から、何かが突き出た。デロンと、屹立している。
あれは、ジンギスカンのチーズ入りフランクフルト(意味深!
チーズフランクが、ラム肉独特の匂いを放つ。
逃げないと。そう思っているのに、目は完全にフランクへ釘付けになっていた。
身体も熱くなっている。
ヘソの下が、うずいて仕方ない。
「どうなってるんです? バロールさん、あなたのせいですか?」
「ああ。発情期だ」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
男として王宮に仕えていた私、正体がバレた瞬間、冷酷宰相が豹変して溺愛してきました
春夜夢
恋愛
貧乏伯爵家の令嬢である私は、家を救うために男装して王宮に潜り込んだ。
名を「レオン」と偽り、文官見習いとして働く毎日。
誰よりも厳しく私を鍛えたのは、氷の宰相と呼ばれる男――ジークフリード。
ある日、ひょんなことから女であることがバレてしまった瞬間、
あの冷酷な宰相が……私を押し倒して言った。
「ずっと我慢していた。君が女じゃないと、自分に言い聞かせてきた」
「……もう限界だ」
私は知らなかった。
宰相は、私の正体を“最初から”見抜いていて――
ずっと、ずっと、私を手に入れる機会を待っていたことを。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる