メカクレ根暗少女が、サイクロプス魔王と契約して魔獣少女になり、魔界の頂点を目指す! でも、キャットファイトだなんて聞いてませんが!?

椎名 富比路

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第一章 魔獣少女と単眼魔王先輩

第4話 魔獣少女、逆転

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 魔獣少女は命のやり取りをしている故に、万年発情期なのだという。常に、子孫を残すことを最優先するのだ。

「オレサマたち魔獣少女は、次世代の頂点を決めるバトルをしている最中だ」

 しかし、それは「メスを探す」意味もあるという。

「女の子同士で、そんな」
「だが、特別に力が与えられる。その……子作りの」

 あくまでも擬似的なものだが、それっぽいモノは腰に顕現してしまうそうな。 

「もしも魔獣少女に純潔なんざ奪われたりなんかしたら、そいつの性ドレイになっちまう。最悪、妊娠だ」

 もちろん魔獣少女としての資格を失い、頂点を決めるバトルには参加できなくなる。

「大ピンチじゃないですか!」

 口では拒絶しているのに、好奇心のほうが勝っていた。もう、立っていられない。

「どうすれば?」

 わたしは腰が引けて、足をモジモジさせる。

「あれは、一発食ってやればいい。あのどデカいフランクを腹に詰め込めば、こっちだって大人しくなるだろう」

 相手の魔力も奪えるという。

「口で、ってことですか?」

 あれを、食べる? ラム肉って、食べたことないよ。イタリア系ファミレスで食べている人を見たけど、匂いをかいで癖が強いなって思って頼まなかった。

「慣れれば案外、ラムっていけるもんだ」
「そうは言いますが」

 しかし、今はその方法しかない。

『観念したか?』

 ラム肉のフランクを、グンと顔に押し付けられた。

 わたしは、覚悟を決めてそのフランクを口で包み込んだ。

『おっふ。殊勝じゃないか。天下のバロールが、私のジンギスカンをくわえてくれるなんて』

 征服欲を満たされたのか、サテュロスがこちらを見下ろして悦ぶ。

 ああ、弾力がすごい。舐めると余計に匂いがきつくなってきた。でも、悪くない。かじると、肉汁がジュワッと溢れてくる。

『い、いいぞ。いいぞ! うまいじゃないか。これまでどんな男どもをトリコにしてきた?』
「はあ、はあ。初めてです」
『なんと! その豊満な身体を、誰にも捧げずに。お前、素質あるよ。私の専属オモチャにならないか?』
「お断りですぅ。早く終わって。はむう」

 わたしが首を上下に動かすと、相手も腰をカクカクさせてきた。

『お、くるくるう!』

 早い。チーズが駆け巡ってくるのがわかる。

『ぬふうっ!』

 サテュロスがうめいた瞬間、ドップ……とチーズがわたしのノドを焼く。

「んぷう!」

 あまりの勢いに吐き出しそうになったが、しっかりと受け止める。

「はあ、吐き出す、な。これは、魔力のカタマリだ。全部食えば、相手を弱らせるこ、とができるぜ」

 バロールも苦しそうだが、耐えた。ミチミチに中身が詰まったソーセージを、噛みしめる。

『はあ、はあ! すごい。これが、かつて魔王と呼ばれた女のバキュームッ』 

 しかし、サテュロスにだんだんと余裕がなくなってきた。

「ま、待て。ん待って!」

 JKの声に戻っている。

「ダメ、ンダメエ!」

 腰がビクンビクンとなって、JKはわたしを引き剥がそうとした。声もうっとりした感じになっている。気持ちいいのではないのか? それにしても、悩ましい。もっといじめたくなる。

「なんなんれひょう?」

 すっかりしなびたチーズフランクを、わたしはさらにしごく。

「これはな、賢者タイムだ」

 魔獣少女は、一度魔力を放出してしまうと、充填時間となる。その間は、全身が敏感になっているそうだ。ちょうど、達した直後の男性のように。

「もっと、食ってやれ。本音は気持ちいいんだ。見ろよ。すごい嬉しそうだろ?」
「そうですね」

 わたしがジュボジュボと食べるたびに、JKの腰がハネる。もはや、怖かったサテュロスの気配を感じない。

「また、また出る!」

 サテュロスの全身が、ビンと直立する。

 コッテリしたチーズが、打ち止めの合図だったようだ。サテュロスが、ヒザからドサリと崩れ落ちる。その姿に、こちらへの攻撃意思はない。

 結局わたしは、フランクを全部食べてしまった。夕飯食べられるかな?

 口角についたチーズも、ペロリと舐め取る。

 その光景を見て、サテュロスはさらにビクン、と反応していた。

「さて、反撃開始だ。刀を自分の前にかざせ」
「はいっ」

 わたしは、刀を正面に構える。

 目から、緑色のビームが発射された。そのままバロールは、刀身に光線を浴びせる。

 刀が、緑色に光った。

「そいつを振り下ろせ。そしたら衝撃波がババっと出て、変身が解ける」
「殺したりしない?」

 相手を傷つけるなら、嫌だな。

「死にはしない! 相手と魔獣少女との関係を断つだけだ」

 ならばいいか。わたしは、刀を頭の上へ持ち上げる。

「最後に聞く。オレサマのダチ、九尾の狐ヘカトンケイルを殺したやつに心当たりはあるか?」

 サテュロスは、ただ首を振るばかり。

「ウソをつくな!」
『ホントだ。ウソじゃない!』
「そうか。だったら用はない」

 相手を一直線に切り裂くように、わたし、というかわたしの身体を借りたバロールは素振りをした。

「くらえ、邪眼・一文字切り!」

 ホントに、緑色の衝撃波が出る。サテュロスの身体を駆け抜けていった。

「んひい!」

 サテュロスは、JKの身体から出ていく。


 同時に、太ったJKだけが残った。

「死んだんですか?」
「いや。気を失っているだけだ」

 辺りの景色も、みるみる変わる。工場跡だと思っていた場所は、市民公園だった。児童たちが、母親とともに遊具で遊んでいる。

「ともあれ、初討伐お疲れ、ってとこかな?」

 わたしの目から、ポンッと緑色のマスコットが飛び出してきた。

「姿を見せたらヤバイですよ!」
『いいんだよ。これは会話用の幻影だ』

 本体は、わたしの中に眠っているという。 

『改めて、オレサマは狭窄公きょうさくこう【バロール】。魔王の一人だった』

 だった……か。

「友人を殺されたんですね?」
『ああ。魔王候補の誰かにな』
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