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白い恋人
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「清浦 亜咲花さん、ちょっといい?」
オレは、おさげの少女を、屋上に呼び出した。
おさげの少女、清浦 亜咲花さんは、うつむいている。
「どうして、キミの待受の写真、オレなの?」
ビクッと、清浦さんが身体を硬直させた。
オレは、隣の席で見てしまったのだ。
この女生徒の待受を。
一面、オレの顔が写っていたのだ。
修学旅行で、北海道に行ったときの写真である。
オレと清浦さんは、同じ班になった。
たしか、班で山の景色をスケッチしたんだっけ。
オレはカメラ目線でもなく、どこで撮られたかも覚えていない。
ただ、そのときの清浦さんは、妙に血の気が多い表情だった。
修学旅行から帰ってからも、清浦さんはスマホを見つめながら、「カワイイ」と時々つぶやいている。
かわいいだって? オレが?
幼なじみの女子にオレのカワイさレベルを尋ねてみたが、「マイナスに振り切れているけど」と冷たく返された。
なんとしても、確かめなければならない。
清浦さんに直接尋ねてみる。
クラスで一番の地味子と言われているが、超絶美少女で隠れファンも多い。
そんな子に、もしオレが思われているのだとしたら……最高じゃん。
「ひょっとして、オレの、こと」
「そそそ、そんなわけないでしょ⁉」
真っ赤になって、清浦さんは怒り出す。
「ここ、よく見てみなさいよ!」
清浦さんは、スマホに指を置く。
ピンチアウトさせ、めいっぱい画像を拡大させた。
オレの写真なんて通り過ぎ、木の枝にズーム。
「ココ見てココ!」
そこに写っていたのは、シマエナガである。
ユーラシア大陸を主な生息地とする、小さな鳥をいう。
日本では、冬の北海道にだけ現れるという、雪の妖精だ。
地元民でさえ、めったに見られないという。
「通称、白い恋人」
「お菓子の名前の元ネタ?」
「違うわよ」
秒で返答が来た。
「見て、あたしのメッセアプリ。シマエナガのスタンプばっかりでしょ?」
清浦さんのメッセを見せてもらう。
スタンプ枠にはシマエナガのイラストがズラーッと整列していた。
「シマエナガ、好きなんだね」
「ええ。大好き」
優しい笑顔になって、シマエナガを見つめている。
「まさか、北海道のあんな地味な山で発見できるなんて! これは、運命の出会いなんだから!」
やや興奮気味に、清浦さんはスマホを胸に当てた。
「そう。運命の、出会い……」
それだけつぶやいて、清浦さんは階段を駆け下りていく。
オレも退散し、結果を幼なじみに報告する。
「あーあ。脈なしだったわー」
「どうかしらね」
思わせぶりなセリフを、幼なじみはつぶやいた。
「なんでそう言えるんだよ?」
「だって亜咲花ちゃん、あんたのこと『ごめんなさい』って言ってないんでしょ?」
「まあ、告白してないからな」
「じゃあさ、あんたの気持ち次第なんじゃない?」
「それって、どういう?」
「ごちゃごちゃ言ってないで走れ、シマエナガ!」
オレは、幼なじみに背中を押された。
オレは、おさげの少女を、屋上に呼び出した。
おさげの少女、清浦 亜咲花さんは、うつむいている。
「どうして、キミの待受の写真、オレなの?」
ビクッと、清浦さんが身体を硬直させた。
オレは、隣の席で見てしまったのだ。
この女生徒の待受を。
一面、オレの顔が写っていたのだ。
修学旅行で、北海道に行ったときの写真である。
オレと清浦さんは、同じ班になった。
たしか、班で山の景色をスケッチしたんだっけ。
オレはカメラ目線でもなく、どこで撮られたかも覚えていない。
ただ、そのときの清浦さんは、妙に血の気が多い表情だった。
修学旅行から帰ってからも、清浦さんはスマホを見つめながら、「カワイイ」と時々つぶやいている。
かわいいだって? オレが?
幼なじみの女子にオレのカワイさレベルを尋ねてみたが、「マイナスに振り切れているけど」と冷たく返された。
なんとしても、確かめなければならない。
清浦さんに直接尋ねてみる。
クラスで一番の地味子と言われているが、超絶美少女で隠れファンも多い。
そんな子に、もしオレが思われているのだとしたら……最高じゃん。
「ひょっとして、オレの、こと」
「そそそ、そんなわけないでしょ⁉」
真っ赤になって、清浦さんは怒り出す。
「ここ、よく見てみなさいよ!」
清浦さんは、スマホに指を置く。
ピンチアウトさせ、めいっぱい画像を拡大させた。
オレの写真なんて通り過ぎ、木の枝にズーム。
「ココ見てココ!」
そこに写っていたのは、シマエナガである。
ユーラシア大陸を主な生息地とする、小さな鳥をいう。
日本では、冬の北海道にだけ現れるという、雪の妖精だ。
地元民でさえ、めったに見られないという。
「通称、白い恋人」
「お菓子の名前の元ネタ?」
「違うわよ」
秒で返答が来た。
「見て、あたしのメッセアプリ。シマエナガのスタンプばっかりでしょ?」
清浦さんのメッセを見せてもらう。
スタンプ枠にはシマエナガのイラストがズラーッと整列していた。
「シマエナガ、好きなんだね」
「ええ。大好き」
優しい笑顔になって、シマエナガを見つめている。
「まさか、北海道のあんな地味な山で発見できるなんて! これは、運命の出会いなんだから!」
やや興奮気味に、清浦さんはスマホを胸に当てた。
「そう。運命の、出会い……」
それだけつぶやいて、清浦さんは階段を駆け下りていく。
オレも退散し、結果を幼なじみに報告する。
「あーあ。脈なしだったわー」
「どうかしらね」
思わせぶりなセリフを、幼なじみはつぶやいた。
「なんでそう言えるんだよ?」
「だって亜咲花ちゃん、あんたのこと『ごめんなさい』って言ってないんでしょ?」
「まあ、告白してないからな」
「じゃあさ、あんたの気持ち次第なんじゃない?」
「それって、どういう?」
「ごちゃごちゃ言ってないで走れ、シマエナガ!」
オレは、幼なじみに背中を押された。
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