クラス一の美少女地味子の待受が、オレの写真だった

椎名 富比路

文字の大きさ
1 / 1

白い恋人

しおりを挟む
清浦キヨウラ 亜咲花アサカさん、ちょっといい?」

 オレは、おさげの少女を、屋上に呼び出した。

 おさげの少女、清浦 亜咲花さんは、うつむいている。



「どうして、キミの待受の写真、オレなの?」

 ビクッと、清浦さんが身体を硬直させた。

 オレは、隣の席で見てしまったのだ。
 この女生徒の待受を。

 一面、オレの顔が写っていたのだ。

 修学旅行で、北海道に行ったときの写真である。
 オレと清浦さんは、同じ班になった。
 たしか、班で山の景色をスケッチしたんだっけ。

 オレはカメラ目線でもなく、どこで撮られたかも覚えていない。

 ただ、そのときの清浦さんは、妙に血の気が多い表情だった。
 
 修学旅行から帰ってからも、清浦さんはスマホを見つめながら、「カワイイ」と時々つぶやいている。

 かわいいだって? オレが? 

 幼なじみの女子にオレのカワイさレベルを尋ねてみたが、「マイナスに振り切れているけど」と冷たく返された。

 なんとしても、確かめなければならない。

 清浦さんに直接尋ねてみる。

 
 クラスで一番の地味子と言われているが、超絶美少女で隠れファンも多い。
 そんな子に、もしオレが思われているのだとしたら……最高じゃん。

 
「ひょっとして、オレの、こと」
 

「そそそ、そんなわけないでしょ⁉」

 真っ赤になって、清浦さんは怒り出す。
 
「ここ、よく見てみなさいよ!」

 清浦さんは、スマホに指を置く。
 ピンチアウトさせ、めいっぱい画像を拡大させた。

 オレの写真なんて通り過ぎ、木の枝にズーム。

「ココ見てココ!」
 
 
 そこに写っていたのは、シマエナガである。

 ユーラシア大陸を主な生息地とする、小さな鳥をいう。
 
 日本では、冬の北海道にだけ現れるという、雪の妖精だ。

 地元民でさえ、めったに見られないという。

「通称、白い恋人」
 
「お菓子の名前の元ネタ?」

「違うわよ」

 秒で返答が来た。

「見て、あたしのメッセアプリ。シマエナガのスタンプばっかりでしょ?」

 清浦さんのメッセを見せてもらう。

 スタンプ枠にはシマエナガのイラストがズラーッと整列していた。

「シマエナガ、好きなんだね」
 
「ええ。大好き」
 優しい笑顔になって、シマエナガを見つめている。


「まさか、北海道のあんな地味な山で発見できるなんて! これは、運命の出会いなんだから!」
 やや興奮気味に、清浦さんはスマホを胸に当てた。
 
 
「そう。運命の、出会い……」
 それだけつぶやいて、清浦さんは階段を駆け下りていく。

 オレも退散し、結果を幼なじみに報告する。
 
「あーあ。脈なしだったわー」

  
「どうかしらね」

 思わせぶりなセリフを、幼なじみはつぶやいた。

「なんでそう言えるんだよ?」
 

「だって亜咲花ちゃん、あんたのこと『ごめんなさい』って言ってないんでしょ?」

「まあ、告白してないからな」

「じゃあさ、あんたの気持ち次第なんじゃない?」

「それって、どういう?」

「ごちゃごちゃ言ってないで走れ、シマエナガ!」

 オレは、幼なじみに背中を押された。
しおりを挟む
感想 1

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(1件)

オズ研究所《横須賀ストーリー紅白へ》

また読ませて戴きます✨🤗✨✨✨

2022.03.07 椎名 富比路

ありがとうございます!

解除

あなたにおすすめの小説

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

アルファポリスとカクヨムってどっちが稼げるの?

無責任
エッセイ・ノンフィクション
基本的にはアルファポリスとカクヨムで執筆活動をしています。 どっちが稼げるのだろう? いろんな方の想いがあるのかと・・・。 2021年4月からカクヨムで、2021年5月からアルファポリスで執筆を開始しました。 あくまで、僕の場合ですが、実データを元に・・・。

魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな

七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」 「そうそう」  茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。  無理だと思うけど。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

陰キャの俺が学園のアイドルがびしょびしょに濡れているのを見てしまった件

暁ノ鳥
キャラ文芸
陰キャの俺は見てしまった。雨の日、校舎裏で制服を濡らし恍惚とする学園アイドルの姿を。「見ちゃったのね」――その日から俺は彼女の“秘密の共犯者”に!? 特殊な性癖を持つ彼女の無茶な「実験」に振り回され、身も心も支配される日々の始まり。二人の禁断の関係の行方は?。二人の禁断の関係が今、始まる!

幼馴染に告白したら、交際契約書にサインを求められた件。クーリングオフは可能らしいけど、そんなつもりはない。

久野真一
青春
 羽多野幸久(はたのゆきひさ)は成績そこそこだけど、運動などそれ以外全般が優秀な高校二年生。  そんな彼が最近考えるのは想い人の、湯川雅(ゆかわみやび)。異常な頭の良さで「博士」のあだ名で呼ばれる才媛。  彼はある日、勇気を出して雅に告白したのだが―  「交際してくれるなら、この契約書にサインして欲しいの」とずれた返事がかえってきたのだった。  幸久は呆れつつも契約書を読むのだが、そこに書かれていたのは予想と少し違った、想いの籠もった、  ある意味ラブレターのような代物で―  彼女を想い続けた男の子と頭がいいけどどこかずれた思考を持つ彼女の、ちょっと変な、でもほっとする恋模様をお届けします。  全三話構成です。

後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます

なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。 だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。 ……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。 これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。

投稿インセンティブで月額23万円を稼いだ方法。

克全
エッセイ・ノンフィクション
「カクヨム」にも投稿しています。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。