28 / 29
第四章 突然のセミリタイアしくじり
第29話 ナイトプールで気晴らし
しおりを挟む
「プールだ!」
憂さ晴らしだとばかりに、穂村先輩は大はしゃぎである。
先日は、ボクも先輩も丸一日フロに入れなかった。入浴して血の巡りがよくなると、せっかく塞がった抜歯痕から出血してしまうからだという。
うがいもロクにできず、不自由が続いた。
数日ぶりのフロだが、せっかくならとスーパー銭湯に来たのである。
身体を洗ってからプールを楽しみ、また入浴しようとなった。
さらにせっかくだからと、ナイトプールを楽しむことに。
「どうだろう、沖くん? 攻め過ぎだろうか?」
先輩の水着は、ビキニだ。ヒモとまでは行かないが、競泳水着寄りの大胆なスタイルである。
ボディラインがはっきり出ているためか、恥ずかしいようだ。
こんなに、胸が大きかったのか。寄せてあげてるものだとばかり思っていたが、天然モノだったとは。
「似合っていますよ。夜ですから、そこまで視線も気になりませんし」
ホントは、すごい似合っている。こんな素敵な女性が友だちにいるんだぞと、自慢したいくらいだ。
反面、他の誰かに奪われてしまうんじゃないかという危機感も、芽生える。
穂村先輩は、ボクのものではないのに。
「そうか。うれしいな」
身体をモジモジさせながら、穂村先輩は申し訳程度のパレオを巻く。
「今日は、ジャンジャン遊ぼうっ」
といっても、浮き輪に浮かんで酒を飲む程度だ。
「ナイトプールというのは、もっと陽キャがやるものだとおもっていたが」
「もう寒いですからね。利用者も少ないですね」
「この規模は、かえって魅力的だな」
人がまばらな中、ボクたちは浮き輪でプカプカする。
「こうやって温水でのんびりしているのも、なんだかいい時間だ」
「そうですねぇ。都会のど真ん中に、こんなアクティビティがあるとは」
「うむ。スーパー銭湯も、粋ではないか」
すっかり、穂村先輩はストレス解消ができたようだ。
「とはいえ、来年以降は少額非課税制度への投資割合を、減らさないと」
インプラント代が高額なため、投資金額が大幅に減少するのが確定した。
ふたりとも奥歯がないため、おつまみだって柔らかい焼きそばである。
「トロピカルカクテルなのに、焼きそばは、カッコつかないですが」
「私たちらしくていい」
先輩が満足しているなら、いいか。
「沖くん。キミまで巻き込んだ形になって、すまないな」
「どうせボクも、いずれ抜かないといけなかったんです」
「二馬力だったら、非課税制度もよりうまく活用できるんだけどなぁ」
「ボクに、そういう相手はいませんよ」
「……なあ、私とは、どうだ?」
憂さ晴らしだとばかりに、穂村先輩は大はしゃぎである。
先日は、ボクも先輩も丸一日フロに入れなかった。入浴して血の巡りがよくなると、せっかく塞がった抜歯痕から出血してしまうからだという。
うがいもロクにできず、不自由が続いた。
数日ぶりのフロだが、せっかくならとスーパー銭湯に来たのである。
身体を洗ってからプールを楽しみ、また入浴しようとなった。
さらにせっかくだからと、ナイトプールを楽しむことに。
「どうだろう、沖くん? 攻め過ぎだろうか?」
先輩の水着は、ビキニだ。ヒモとまでは行かないが、競泳水着寄りの大胆なスタイルである。
ボディラインがはっきり出ているためか、恥ずかしいようだ。
こんなに、胸が大きかったのか。寄せてあげてるものだとばかり思っていたが、天然モノだったとは。
「似合っていますよ。夜ですから、そこまで視線も気になりませんし」
ホントは、すごい似合っている。こんな素敵な女性が友だちにいるんだぞと、自慢したいくらいだ。
反面、他の誰かに奪われてしまうんじゃないかという危機感も、芽生える。
穂村先輩は、ボクのものではないのに。
「そうか。うれしいな」
身体をモジモジさせながら、穂村先輩は申し訳程度のパレオを巻く。
「今日は、ジャンジャン遊ぼうっ」
といっても、浮き輪に浮かんで酒を飲む程度だ。
「ナイトプールというのは、もっと陽キャがやるものだとおもっていたが」
「もう寒いですからね。利用者も少ないですね」
「この規模は、かえって魅力的だな」
人がまばらな中、ボクたちは浮き輪でプカプカする。
「こうやって温水でのんびりしているのも、なんだかいい時間だ」
「そうですねぇ。都会のど真ん中に、こんなアクティビティがあるとは」
「うむ。スーパー銭湯も、粋ではないか」
すっかり、穂村先輩はストレス解消ができたようだ。
「とはいえ、来年以降は少額非課税制度への投資割合を、減らさないと」
インプラント代が高額なため、投資金額が大幅に減少するのが確定した。
ふたりとも奥歯がないため、おつまみだって柔らかい焼きそばである。
「トロピカルカクテルなのに、焼きそばは、カッコつかないですが」
「私たちらしくていい」
先輩が満足しているなら、いいか。
「沖くん。キミまで巻き込んだ形になって、すまないな」
「どうせボクも、いずれ抜かないといけなかったんです」
「二馬力だったら、非課税制度もよりうまく活用できるんだけどなぁ」
「ボクに、そういう相手はいませんよ」
「……なあ、私とは、どうだ?」
0
あなたにおすすめの小説
「25歳OL、異世界で年上公爵の甘々保護対象に!? 〜女神ルミエール様の悪戯〜」
透子(とおるこ)
恋愛
25歳OL・佐神ミレイは、仕事も恋も完璧にこなす美人女子。しかし本当は、年上の男性に甘やかされたい願望を密かに抱いていた。
そんな彼女の前に現れたのは、気まぐれな女神ルミエール。理由も告げず、ミレイを異世界アルデリア王国の公爵家へ転移させる。そこには恐ろしく気難しいと評判の45歳独身公爵・アレクセイが待っていた。
最初は恐怖を覚えるミレイだったが、公爵の手厚い保護に触れ、次第に心を許す。やがて彼女は甘く溺愛される日々に――。
仕事も恋も頑張るOLが、異世界で年上公爵にゴロニャン♡ 甘くて胸キュンなラブストーリー、開幕!
---
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
身を引いたのに、皇帝からの溺愛が止まりません ~秘された珠の還る場所~
ささゆき細雪
恋愛
五年前、内乱の混乱のなかで姿を消した最愛の妃・白瑤華(はくようか)。
彼女を失った皇帝・景玄耀(けいげんよう)は、その後ただ一人を想い続けながら執務に追われていた。そんなある日、書類に彼女の名前を発見し、居ても立っても居られなくなる。
――死んだはずの彼女が、生きている?
同姓同名かもしれないが確かめずにいられなくなった彼は地方巡察を決行。そこで、彼によく似た幼子とともに彼女と再会、地方官吏として働く瑤華と、珠児(しゅじ)を見て、皇帝は決意する――もう二度と、逃がさないと。
「今さら、逃げ道があると思うなよ」
瑤華を玄耀は責めずに、待ちの姿勢で包み込み、囲い込んでいく。
秘された皇子と、選び直した愛。
三人で食卓を囲む幸福が、国をも動かすことになるなんて――?
* * *
後宮から逃げ出して身を引いたのに、皇帝の溺愛は止まらない――これはそんな、中華風異世界ロマンス。
余命僅かな大富豪を看取って、円満に未亡人になるはずでした
ぜんだ 夕里
恋愛
傾きかけた家を救うため、私が結んだのはあまりにも不謹慎な契約――余命いくばくもない大富豪の辺境伯様と結婚し、彼の最期を穏やかに看取ることで莫大な遺産を相続する、というものだった。
しかし、人の死を利用して富を得るなど不正義!
そう考えた私が立てたのは、前代未聞の計画。
「そうだ、遺産が残らないくらい贅沢の限りを尽くしてもらえば、すべて丸く収まるじゃない!」
押しつけられた身代わり婚のはずが、最上級の溺愛生活が待っていました
cheeery
恋愛
名家・御堂家の次女・澪は、一卵性双生の双子の姉・零と常に比較され、冷遇されて育った。社交界で華やかに振る舞う姉とは対照的に、澪は人前に出されることもなく、ひっそりと生きてきた。
そんなある日、姉の零のもとに日本有数の財閥・凰条一真との縁談が舞い込む。しかし凰条一真の悪いウワサを聞きつけた零は、「ブサイクとの結婚なんて嫌」と当日に逃亡。
双子の妹、澪に縁談を押し付ける。
両親はこんな機会を逃すわけにはいかないと、顔が同じ澪に姉の代わりになるよう言って送り出す。
「はじめまして」
そうして出会った凰条一真は、冷徹で金に汚いという噂とは異なり、端正な顔立ちで品位のある落ち着いた物腰の男性だった。
なんてカッコイイ人なの……。
戸惑いながらも、澪は姉の零として振る舞うが……澪は一真を好きになってしまって──。
「澪、キミを探していたんだ」
「キミ以外はいらない」
腹黒上司が実は激甘だった件について。
あさの紅茶
恋愛
私の上司、坪内さん。
彼はヤバいです。
サラサラヘアに甘いマスクで笑った顔はまさに王子様。
まわりからキャーキャー言われてるけど、仕事中の彼は腹黒悪魔だよ。
本当に厳しいんだから。
ことごとく女子を振って泣かせてきたくせに、ここにきて何故か私のことを好きだと言う。
マジで?
意味不明なんだけど。
めっちゃ意地悪なのに、かいま見える優しさにいつしか胸がぎゅっとなってしまうようになった。
素直に甘えたいとさえ思った。
だけど、私はその想いに応えられないよ。
どうしたらいいかわからない…。
**********
この作品は、他のサイトにも掲載しています。
その出会い、運命につき。
あさの紅茶
恋愛
背が高いことがコンプレックスの平野つばさが働く薬局に、つばさよりも背の高い胡桃洋平がやってきた。かっこよかったなと思っていたところ、雨の日にまさかの再会。そしてご飯を食べに行くことに。知れば知るほど彼を好きになってしまうつばさ。そんなある日、洋平と背の低い可愛らしい女性が歩いているところを偶然目撃。しかもその女性の名字も“胡桃”だった。つばさの恋はまさか不倫?!悩むつばさに洋平から次のお誘いが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる