月25万の不労所得を得てセミリタイアした元女上司を宗教勧誘から助けたら、「話し相手」として雇ってくれた

椎名 富比路

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第四章 突然のセミリタイアしくじり

第29話 ナイトプールで気晴らし

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「プールだ!」

 憂さ晴らしだとばかりに、穂村先輩は大はしゃぎである。

 先日は、ボクも先輩も丸一日フロに入れなかった。入浴して血の巡りがよくなると、せっかく塞がった抜歯痕から出血してしまうからだという。

 うがいもロクにできず、不自由が続いた。

 数日ぶりのフロだが、せっかくならとスーパー銭湯に来たのである。

 身体を洗ってからプールを楽しみ、また入浴しようとなった。

 さらにせっかくだからと、ナイトプールを楽しむことに。

「どうだろう、おきくん? 攻め過ぎだろうか?」

 先輩の水着は、ビキニだ。ヒモとまでは行かないが、競泳水着寄りの大胆なスタイルである。

 ボディラインがはっきり出ているためか、恥ずかしいようだ。

 こんなに、胸が大きかったのか。寄せてあげてるものだとばかり思っていたが、天然モノだったとは。

「似合っていますよ。夜ですから、そこまで視線も気になりませんし」

 ホントは、すごい似合っている。こんな素敵な女性が友だちにいるんだぞと、自慢したいくらいだ。
 反面、他の誰かに奪われてしまうんじゃないかという危機感も、芽生える。

 穂村先輩は、ボクのものではないのに。

「そうか。うれしいな」

 身体をモジモジさせながら、穂村先輩は申し訳程度のパレオを巻く。
 
「今日は、ジャンジャン遊ぼうっ」

 といっても、浮き輪に浮かんで酒を飲む程度だ。

「ナイトプールというのは、もっと陽キャがやるものだとおもっていたが」

「もう寒いですからね。利用者も少ないですね」

「この規模は、かえって魅力的だな」

 人がまばらな中、ボクたちは浮き輪でプカプカする。

「こうやって温水でのんびりしているのも、なんだかいい時間だ」

「そうですねぇ。都会のど真ん中に、こんなアクティビティがあるとは」

「うむ。スーパー銭湯も、粋ではないか」

 すっかり、穂村先輩はストレス解消ができたようだ。

「とはいえ、来年以降は少額非課税制度への投資割合を、減らさないと」

 インプラント代が高額なため、投資金額が大幅に減少するのが確定した。

 ふたりとも奥歯がないため、おつまみだって柔らかい焼きそばである。

「トロピカルカクテルなのに、焼きそばは、カッコつかないですが」

「私たちらしくていい」

 先輩が満足しているなら、いいか。

「沖くん。キミまで巻き込んだ形になって、すまないな」

「どうせボクも、いずれ抜かないといけなかったんです」
 
「二馬力だったら、非課税制度もよりうまく活用できるんだけどなぁ」

「ボクに、そういう相手はいませんよ」

「……なあ、私とは、どうだ?」
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