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第一章 美人社長とゲームを一緒に遊ぶのは辞令ですか?
カリスマ様がみてる
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「つまり、このキャラクターを操っているプレイヤーのことだよ」
見ず知らずの人に、中の人の説明を語る。
よく見ると、奇妙な光景だよな。
「ああ、それは、申し訳ない……」
ペコリと、2Dのキャラが頭を下げる。
アバターに実装されているエフェクトの一種だ。
「あんた、中身も女性なんだろ? オレが出会いちゅ……コホン、交際目的に近づいたと思うんだったら、身を引きますが」
また、『出会い厨』なんて専門用語が出そうになった。
「じゃあ、オレは行くから」
さっさとダンジョンへ行こう。
と思ったが、サムライが行く手を遮る。
「いやあ、あなたはそんなタイプに見えないな。引き続きレクチャーをお願いしたい! それと、私に敬語は不要だ」
「わかりま……わかった。じゃあパーティを組もうぜ」
まずオレは、自分の所持していた『ショートソード』をイーさんに渡す。
初期にコボルドを殴って手に入れたドロップアイテムだ。
「ハナちゃん殿、サムライの私に西洋剣は装備できないのでは?」
その段階からか。
「いいんだよ。持ってみな」
半信半疑で、イーさんはショートソードを持つ。
「おお、装備名が変わった」
剣はたちまち、『小刀』へと変換された。
このゲームは、「同種類の装備なら、職業ごとの武装に変換される」のである。
これにより、ファンタジー的な雰囲気は壊れず、「特殊な職業だと装備できない」といったキャラごとの差も出ない。
「これで振りが早くなる。当分はこれで戦闘をやろうか」
「うむ。かたじけない」
また、イーさんのアバターが頭を下げる。
「課金して手に入れた上質の刀だが、やむを得ない。しばらくは封印だな」
「強くなったら、より強力な刀をドロップできるよ」
課金や店売りに頼るより、さっさと戦場に出てレベルを上げた方が覚えは早い。
それが、このゲームの特徴だ。
無駄に長いチュートリアルがないのも、魅力である。
そのせいで、イーさんのような初心者は路頭に迷うのだが。
またスライムの集団が、こちらへ近づいてくる。
「頭で考えるより、戦って肌で覚えよう」
「よし。やるぞ」
あれだけタイピングが早いのだ。コツさえ掴めば楽勝だろう。
「とうっ。はっ。やっ! すごいすごい。スパスパ倒せるぞ!」
振りが早くなったイーさんは、自分を取り囲むスライムをバシバシやっつけていく。
オレの見込んだとおり、イーさんは飲み込みが早かった。
あれだけ苦戦していたスライムに囲まれても、どうにか生き延びる。
「魔法も覚えたぞ」
「……魔法のレベルが上がったんだ。『ヒール』と『ファイアーボール』は、誰でも持ってる初期装備なんだけど」
レベルが三になったあたりで、イーさんは仕事に戻ると言い出す。
「今日はありがとう。また潜ることがあったら、ゲーム内で連絡する」
「わかった。そんときはよろしく。オレはもう少し強いところに行って、狩りをしてくる」
イーさんと別れて、お目当てだった狩り場へ直行した。
この間見つけた、レベル上げとアイテム堀りにちょうどいいダンジョンである。
ずっとスライムばかりと戦っていたから、知らぬ間にフラストレーションが溜まっていたようだ。
夢中になって狩りまくる。
◇ * ◇ * ◇ * ◇
みんなが休憩を終える中、オレはソロ狩りをしていた。
辞めどきが見つからない。しかも、セーブ禁止とか出ている。
これは本格的にマズイかも。
とはいえ、手を止められない。
「あとちょっとは、もうヤバい」という教訓をオレは頭から除外していた。危険な兆候である。
「花咲、さっさと仕事に戻れよ。お前、タダでさえ課長に睨まれてるんだからな」
「ういーっす。もうちょっとだけ潜るわー」
しかし、そろそろ頃合いかなと思っていた時点で、昼休みが終わっていた。
「こらぁ花咲ぃ! 花咲 電太はおるか!?」
中年オヤジが、社食に入室してわめいている。
課長だ。
俺を探しているみらしい。
「まーたサボッとるのか! どこだ花咲ぃ!」
「やべ! さっさとログアウトして」
オレはアイテムボックス内から、セーブ先へワープするアイテムを探す。
しかし、こんな時に限って見つからない。
「あれ、どこだっけ?」
「あれ、どこだっけ?」
どこへやってしまったか、思い出せない。
しまった。イーさんに一個あげちゃったんだ。自力で帰らねば。
大急ぎで、ダンジョンを駆け抜ける。敵なんか無視だ無視。
「もうすぐ、もうすぐ出口だ! あっ!」
まだログアウトしていないのに、ノートPCがパタンと閉じてしまった。
正確には、何者かの強い力で畳まれたのである。
「おい何をす――」
てっきり課長の仕業かと思った。
しかし違う。
目の前にいるのは、スタイルのいい女性だ。
すぐ目の前に、大胆なスリットの入ったタイトスカートが見えた。
二七という若さの中に、威圧感が混じる。
白いYシャツを突き破らんとするメロンカップの上には、眼鏡を掛けた鋭い眼光があった。
「えっ、イーさん!?」
その姿は、さっきまでゲーム画面にいた、イーさんを想起させる。
「……!?」
女性は首をかしげた。
そこでオレはようやく、現実に覚醒する。
目の前に立つ女性の正体を、思い出したからだ。
我が社に君臨する若き覇王が、オレを見下ろしている。
「飯塚、久里須社長……」
社長とオレの目が合う。
その瞬間、ゲーム内でハナちゃんがモンスターから攻撃を受けた。
「ぎゃー」と断末魔の叫び声を上げ、オレのアバターはダウンする。
見ず知らずの人に、中の人の説明を語る。
よく見ると、奇妙な光景だよな。
「ああ、それは、申し訳ない……」
ペコリと、2Dのキャラが頭を下げる。
アバターに実装されているエフェクトの一種だ。
「あんた、中身も女性なんだろ? オレが出会いちゅ……コホン、交際目的に近づいたと思うんだったら、身を引きますが」
また、『出会い厨』なんて専門用語が出そうになった。
「じゃあ、オレは行くから」
さっさとダンジョンへ行こう。
と思ったが、サムライが行く手を遮る。
「いやあ、あなたはそんなタイプに見えないな。引き続きレクチャーをお願いしたい! それと、私に敬語は不要だ」
「わかりま……わかった。じゃあパーティを組もうぜ」
まずオレは、自分の所持していた『ショートソード』をイーさんに渡す。
初期にコボルドを殴って手に入れたドロップアイテムだ。
「ハナちゃん殿、サムライの私に西洋剣は装備できないのでは?」
その段階からか。
「いいんだよ。持ってみな」
半信半疑で、イーさんはショートソードを持つ。
「おお、装備名が変わった」
剣はたちまち、『小刀』へと変換された。
このゲームは、「同種類の装備なら、職業ごとの武装に変換される」のである。
これにより、ファンタジー的な雰囲気は壊れず、「特殊な職業だと装備できない」といったキャラごとの差も出ない。
「これで振りが早くなる。当分はこれで戦闘をやろうか」
「うむ。かたじけない」
また、イーさんのアバターが頭を下げる。
「課金して手に入れた上質の刀だが、やむを得ない。しばらくは封印だな」
「強くなったら、より強力な刀をドロップできるよ」
課金や店売りに頼るより、さっさと戦場に出てレベルを上げた方が覚えは早い。
それが、このゲームの特徴だ。
無駄に長いチュートリアルがないのも、魅力である。
そのせいで、イーさんのような初心者は路頭に迷うのだが。
またスライムの集団が、こちらへ近づいてくる。
「頭で考えるより、戦って肌で覚えよう」
「よし。やるぞ」
あれだけタイピングが早いのだ。コツさえ掴めば楽勝だろう。
「とうっ。はっ。やっ! すごいすごい。スパスパ倒せるぞ!」
振りが早くなったイーさんは、自分を取り囲むスライムをバシバシやっつけていく。
オレの見込んだとおり、イーさんは飲み込みが早かった。
あれだけ苦戦していたスライムに囲まれても、どうにか生き延びる。
「魔法も覚えたぞ」
「……魔法のレベルが上がったんだ。『ヒール』と『ファイアーボール』は、誰でも持ってる初期装備なんだけど」
レベルが三になったあたりで、イーさんは仕事に戻ると言い出す。
「今日はありがとう。また潜ることがあったら、ゲーム内で連絡する」
「わかった。そんときはよろしく。オレはもう少し強いところに行って、狩りをしてくる」
イーさんと別れて、お目当てだった狩り場へ直行した。
この間見つけた、レベル上げとアイテム堀りにちょうどいいダンジョンである。
ずっとスライムばかりと戦っていたから、知らぬ間にフラストレーションが溜まっていたようだ。
夢中になって狩りまくる。
◇ * ◇ * ◇ * ◇
みんなが休憩を終える中、オレはソロ狩りをしていた。
辞めどきが見つからない。しかも、セーブ禁止とか出ている。
これは本格的にマズイかも。
とはいえ、手を止められない。
「あとちょっとは、もうヤバい」という教訓をオレは頭から除外していた。危険な兆候である。
「花咲、さっさと仕事に戻れよ。お前、タダでさえ課長に睨まれてるんだからな」
「ういーっす。もうちょっとだけ潜るわー」
しかし、そろそろ頃合いかなと思っていた時点で、昼休みが終わっていた。
「こらぁ花咲ぃ! 花咲 電太はおるか!?」
中年オヤジが、社食に入室してわめいている。
課長だ。
俺を探しているみらしい。
「まーたサボッとるのか! どこだ花咲ぃ!」
「やべ! さっさとログアウトして」
オレはアイテムボックス内から、セーブ先へワープするアイテムを探す。
しかし、こんな時に限って見つからない。
「あれ、どこだっけ?」
「あれ、どこだっけ?」
どこへやってしまったか、思い出せない。
しまった。イーさんに一個あげちゃったんだ。自力で帰らねば。
大急ぎで、ダンジョンを駆け抜ける。敵なんか無視だ無視。
「もうすぐ、もうすぐ出口だ! あっ!」
まだログアウトしていないのに、ノートPCがパタンと閉じてしまった。
正確には、何者かの強い力で畳まれたのである。
「おい何をす――」
てっきり課長の仕業かと思った。
しかし違う。
目の前にいるのは、スタイルのいい女性だ。
すぐ目の前に、大胆なスリットの入ったタイトスカートが見えた。
二七という若さの中に、威圧感が混じる。
白いYシャツを突き破らんとするメロンカップの上には、眼鏡を掛けた鋭い眼光があった。
「えっ、イーさん!?」
その姿は、さっきまでゲーム画面にいた、イーさんを想起させる。
「……!?」
女性は首をかしげた。
そこでオレはようやく、現実に覚醒する。
目の前に立つ女性の正体を、思い出したからだ。
我が社に君臨する若き覇王が、オレを見下ろしている。
「飯塚、久里須社長……」
社長とオレの目が合う。
その瞬間、ゲーム内でハナちゃんがモンスターから攻撃を受けた。
「ぎゃー」と断末魔の叫び声を上げ、オレのアバターはダウンする。
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