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第四章 レトロゲーで懐かしみますか?
こばやかわ禁止令
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今日は、ひめにこチャンネル生放送のテストだ。
回線の具合や、PCの不備などをチェックする。特に今回、「リスナーと通信対戦で、一緒に遊ぶ」というコンセプトなので、失敗ができない。
収益化記念として、リスナーを招いて勝負する。
テストプレイの場所として、オレと社長は公民館を借りた。回線テストのためである。ノートPCのUSBポートに、HDMIの端子を差し込んだ。miniをノートと繋げる。
「よし、準備完了だ。イーさん」
「ではさっそく、『クラセちゃん』を練習しようっ。ハナちゃん」
二人きりで、ゲームをする。よって呼び方も、ハナちゃんイーさんだ。
「私も、リスナーに混じって遊ぼうかな?」
「キッズは、容赦ないからなぁ。弱いとみたら一方的に殴られて終わりそうだな」
「そうか。当分は身内だけで遊ぶか」
興奮するイーさんをたしなめ、オレもコントローラーを握る。って……。
「なんだこのコントローラーは!? ちっさ!」
「ゲームより、このコントローラーに慣れる必要があるな」
片手でもスッポリ収まってしまうんじゃないのか?
ゲームを起動させる。
リスナーと遊ぶゲームのハードは、八〇年代に誕生した元祖ゲーム機のmini版である。そこに収録された『熱血乙女 クラセちゃん』だ。レディースのクラセちゃんが、街を牛耳るヤンキーをボコるシリーズである。
シリーズの中で、社長は「運動会と称して街中で暴れ回る」タイトルを選んだ。最新機種でリメイクもされているが、認知度の判断で旧版が採用された。ゆくゆくは、新版もプレイしていくつもりである。
「夢だったのだ。友だちとわいわい『クラセちゃん体育祭』で遊ぶのが」
やけに、今日の社長はやる気だ。実家だと、誰も遊んでくれないどころか、ゲーム禁止だったらしい。
「会話についていけなくて、寂しかったなぁ」
しみじみと、イーさんは語る。
「私は、この赤い制服の学校を選ぼう」
「冷嬢高校」か。悪役令嬢ばかりがいる学校で、双子の女子格闘家が仕切っている。
「ハナちゃんは、どの学園を選ぶんだ?」
「オレは「乙女連合」を選ぶぜ。緑色の制服のヤツな」
頭突きが得意な石頭のポニテが先導する、各学校の寄せ集めチームだ。
「相手はひめにこと……ギャング梶原!?」
とんだ大物の名前があがり、オレは緊張で手が震えた。
「誰だ。そのギャング何某というのは?」
「ああ、あんたは知らないか。超有名なゲームライターだよ。モヒカンとグラサンがトレードマークなんだ」
たしか、グレースさんが「今日は特別ゲストがいるので」って話していたっけ。ゲームライターと知り合いとか、どんなパイプがあるんだよ。
ひめにこは主人公の通う、白い制服の「情熱高校」を選択。余った青制服の「バラ園女子」が、自然とギャング梶原に。
プレイする高校を選び終えたので、ゲームを始める。
街を走り回る障害物競走だ。障害物といっても、待ち構えるのは民家や地下道やネコだ。
「レンガを投げるとか、倫理に反するな」
「そんなことを言っていると負けるぞ。ほらドリンクを」
パワーアップドリンクを飲むと、ステータスが上がって有利になる。みんな気を遣って、ステータスの上がるアイテムはイーさんに優先して渡した。ただ、優しいのではない。そうでもしないとイーさんだけが取り残されるからだ。
「下水を泳ぐとか、衛生面とかまるで無視だな」
「その直後に、食事中の民家に不法侵入して突っ切るとか、環境破壊もいいところだよな」
昔のゲームは、すげえ。こいつらお嬢様も混じっているのに、平気でヨゴレなバトルをやっている。
忖度プレイのおかげで、イーさんは二着でゴールした。オレとひめにこは空気を読んで、イーさんを勝たせているが……。
「このギャング梶原とやら、情け容赦ないな」
彼は解説こそ初心者向けに親切だが、プレイはガチなスタイルを貫いている。しかし、ここまでキッズくさいプレイングだったかな?
その後「金のくす玉割り」では、ギャング梶原が一等になった。
いよいよ花形、「かちぬき格闘」を残すのみとなる。
「こばやかわを使いたかったんだ!」
イーさんが格闘戦に使うキャラは、「冷嬢 影の最強」と称される「こばやかわ」だ。マッハ逆水平なる、連打チョップを得意とする。
「オレが学生当時、『こばやかわ禁止令』が出たくらい強かったぞ」
「私は彼女の強さを未体験なのだ。少し遊ばせてもらう」
試合開始直後、オレはいきなりチョップハメを喰らった。
「おお、強い強い! これは使用禁止になるな!」
ウキウキしているイーさんの横で、オレは不穏な動きを感じ取る。
「気をつけろ。バラ園がなにか仕掛けてる!」
バラ園のキャラが、片足立ちで身構えていた。
「やべえっ。あれは「発剄パンチ」だ!」
オレたち全員、なすすべなく吹っ飛ばされた。
「発剄パンチ」とは、見えないオーラを発射して、相手を吹っ飛ばす技である。
「戦闘方がキッズすぎるだろ。ホントに手加減しないな、ギャング梶原は」
チョップの連打から解放されたオレは、ギャングのキャラを優先的に倒しに掛かった。ひめにこも同じ考えに至ったらしく、ギャングに襲いかかる。
「せーのの合図でオーラを避けて! せーのっ」
「ほっ」
当たってしまったが、イーさんのダメージは宰相に抑えられた。
「イーさん、こいつはチョップでハメていい! キッズにはキッズだ!」
結局、イーさんがハメ手で勝つ。ここからが本番……のはずだった。
「ぎゃああこばやかわがああああああっ!」
哀れ、こばやかわはリングアウトしてしまう。
総合成績一位は獲ったものの、イーさんは気持ちよく勝てなかったのでご不満の様子だ。
「もう一回やろう!」
「あとでな」
それにしても、ギャング梶原はプレイが雑だったな。あんな感じだったっけ?
回線の具合や、PCの不備などをチェックする。特に今回、「リスナーと通信対戦で、一緒に遊ぶ」というコンセプトなので、失敗ができない。
収益化記念として、リスナーを招いて勝負する。
テストプレイの場所として、オレと社長は公民館を借りた。回線テストのためである。ノートPCのUSBポートに、HDMIの端子を差し込んだ。miniをノートと繋げる。
「よし、準備完了だ。イーさん」
「ではさっそく、『クラセちゃん』を練習しようっ。ハナちゃん」
二人きりで、ゲームをする。よって呼び方も、ハナちゃんイーさんだ。
「私も、リスナーに混じって遊ぼうかな?」
「キッズは、容赦ないからなぁ。弱いとみたら一方的に殴られて終わりそうだな」
「そうか。当分は身内だけで遊ぶか」
興奮するイーさんをたしなめ、オレもコントローラーを握る。って……。
「なんだこのコントローラーは!? ちっさ!」
「ゲームより、このコントローラーに慣れる必要があるな」
片手でもスッポリ収まってしまうんじゃないのか?
ゲームを起動させる。
リスナーと遊ぶゲームのハードは、八〇年代に誕生した元祖ゲーム機のmini版である。そこに収録された『熱血乙女 クラセちゃん』だ。レディースのクラセちゃんが、街を牛耳るヤンキーをボコるシリーズである。
シリーズの中で、社長は「運動会と称して街中で暴れ回る」タイトルを選んだ。最新機種でリメイクもされているが、認知度の判断で旧版が採用された。ゆくゆくは、新版もプレイしていくつもりである。
「夢だったのだ。友だちとわいわい『クラセちゃん体育祭』で遊ぶのが」
やけに、今日の社長はやる気だ。実家だと、誰も遊んでくれないどころか、ゲーム禁止だったらしい。
「会話についていけなくて、寂しかったなぁ」
しみじみと、イーさんは語る。
「私は、この赤い制服の学校を選ぼう」
「冷嬢高校」か。悪役令嬢ばかりがいる学校で、双子の女子格闘家が仕切っている。
「ハナちゃんは、どの学園を選ぶんだ?」
「オレは「乙女連合」を選ぶぜ。緑色の制服のヤツな」
頭突きが得意な石頭のポニテが先導する、各学校の寄せ集めチームだ。
「相手はひめにこと……ギャング梶原!?」
とんだ大物の名前があがり、オレは緊張で手が震えた。
「誰だ。そのギャング何某というのは?」
「ああ、あんたは知らないか。超有名なゲームライターだよ。モヒカンとグラサンがトレードマークなんだ」
たしか、グレースさんが「今日は特別ゲストがいるので」って話していたっけ。ゲームライターと知り合いとか、どんなパイプがあるんだよ。
ひめにこは主人公の通う、白い制服の「情熱高校」を選択。余った青制服の「バラ園女子」が、自然とギャング梶原に。
プレイする高校を選び終えたので、ゲームを始める。
街を走り回る障害物競走だ。障害物といっても、待ち構えるのは民家や地下道やネコだ。
「レンガを投げるとか、倫理に反するな」
「そんなことを言っていると負けるぞ。ほらドリンクを」
パワーアップドリンクを飲むと、ステータスが上がって有利になる。みんな気を遣って、ステータスの上がるアイテムはイーさんに優先して渡した。ただ、優しいのではない。そうでもしないとイーさんだけが取り残されるからだ。
「下水を泳ぐとか、衛生面とかまるで無視だな」
「その直後に、食事中の民家に不法侵入して突っ切るとか、環境破壊もいいところだよな」
昔のゲームは、すげえ。こいつらお嬢様も混じっているのに、平気でヨゴレなバトルをやっている。
忖度プレイのおかげで、イーさんは二着でゴールした。オレとひめにこは空気を読んで、イーさんを勝たせているが……。
「このギャング梶原とやら、情け容赦ないな」
彼は解説こそ初心者向けに親切だが、プレイはガチなスタイルを貫いている。しかし、ここまでキッズくさいプレイングだったかな?
その後「金のくす玉割り」では、ギャング梶原が一等になった。
いよいよ花形、「かちぬき格闘」を残すのみとなる。
「こばやかわを使いたかったんだ!」
イーさんが格闘戦に使うキャラは、「冷嬢 影の最強」と称される「こばやかわ」だ。マッハ逆水平なる、連打チョップを得意とする。
「オレが学生当時、『こばやかわ禁止令』が出たくらい強かったぞ」
「私は彼女の強さを未体験なのだ。少し遊ばせてもらう」
試合開始直後、オレはいきなりチョップハメを喰らった。
「おお、強い強い! これは使用禁止になるな!」
ウキウキしているイーさんの横で、オレは不穏な動きを感じ取る。
「気をつけろ。バラ園がなにか仕掛けてる!」
バラ園のキャラが、片足立ちで身構えていた。
「やべえっ。あれは「発剄パンチ」だ!」
オレたち全員、なすすべなく吹っ飛ばされた。
「発剄パンチ」とは、見えないオーラを発射して、相手を吹っ飛ばす技である。
「戦闘方がキッズすぎるだろ。ホントに手加減しないな、ギャング梶原は」
チョップの連打から解放されたオレは、ギャングのキャラを優先的に倒しに掛かった。ひめにこも同じ考えに至ったらしく、ギャングに襲いかかる。
「せーのの合図でオーラを避けて! せーのっ」
「ほっ」
当たってしまったが、イーさんのダメージは宰相に抑えられた。
「イーさん、こいつはチョップでハメていい! キッズにはキッズだ!」
結局、イーさんがハメ手で勝つ。ここからが本番……のはずだった。
「ぎゃああこばやかわがああああああっ!」
哀れ、こばやかわはリングアウトしてしまう。
総合成績一位は獲ったものの、イーさんは気持ちよく勝てなかったのでご不満の様子だ。
「もう一回やろう!」
「あとでな」
それにしても、ギャング梶原はプレイが雑だったな。あんな感じだったっけ?
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