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第七章 コレは社員旅行ですか? 合宿にしか思えないのですが?
花火イベントとトラブル
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「はいOK! お疲れさまです!」
ぴよぴよさんから、完了の合図を受ける。
はあっ、と、オレたちは深く息を吐いた。
「こんなんで、よかったんでしょうか?」
不安になって、オレはぴよぴよんさんに確認を取る。
「見た目には、盛り上がっている風に見えました。OKですよ」
OKなのか。だったらいいけれど。
「なんか、しまらなくないすか?」
マヒルちゃんは、不満げだ。
「もっと色っぽい会話を、期待していたんすけど」
「いや、これでいいんだ。男女の会話って、『自分がリードしないと』とか、『自分がお話を繋げなきゃ』とかって思っている人ほど、会話が続かなくなるんだ。いっそ共通の話題を探して盛り上がった方がいい。誰かと仲良くなるには、一緒にいる時間の方が大事なんだ」
ぴよぴよさんがフォローしてくれる。
「確か大学でも、『親友になるためには、二〇〇時間は共に過ごす必要がある』と学んだっけ」
イーさんも、納得していた。
「ぴよぴよさんも、そうでした?」
「うん。ボクたちはどっちも絵を描くでしょ? 気に入った絵師さんとかの話題が豊富なんだ。共通の趣味があるのはいいことだよ」
「好みが合わなくて、ケンカしたりしなかったんですか?」
あまり同じ趣味がかち合いすぎてはカップル仲が悪くなると、よく耳にするが。
「しょっちゅうさ。でもボクはロボや乗り物、萌え絵に寄ってるし、家内は渋めなタッチとモモンスター系が好きだから、深刻な対立にはなりづらいんだ」
そんなもんかねえ。
あと、ゲーム画面は映さないという。キャラを特定されてしまう可能性があるからだ。
「では社長、最後は花火大会を映しましょうか」
まずは、浴衣を選ぶところから始める。
レンタルショップへ向かい、ひめにこに似合いそうな生地を探す。
ひめにこ用の浴衣を探している間、他のメンバーは着替えを終えた。
「どれが似合うと思う?」
イーさんの質問に、オレはすぐに返答する。
「このおとなしめな浴衣なんでどうだろう?」
オレは、花火が柳のように舞うシックな柄を選んだ。
「その心は?」
「派手なチョイスだと、ひめにこのビジュアルが浮くんだよ」
ひめにこは基本、バストアップだけを映す。あまり着飾ってしまっても意味がない。
かといって、それを見越して豪華な浴衣の生地を選ぶと、今度はせっかくのひめにこらしさが消えてしまう。
「ひめにこの美しさに、どうあっても浴衣が負けてしまうと?」
「だな。『浴衣を着ていますよ』程度の衣装が一番いいと思う」
「しかし、ひめにこなら個性的な柄を選びそうだが?」
水鉄砲やら風船やらをアップリケ帳に散りばめた水色の柄を、イーさんは選ぶ。
オレも、「変な浴衣の方が、ひめにこらしいかな」って迷った。たしかにひめにこなら、こんな男の子が好きっぽい絵柄を選びそうである。
「けどさぁ、オレたちはあまりにも『宇宙人である設定』にこだわりすぎてるんじゃないか。そう思うんだ」
奇抜であればいい、というもんでもない。「着物そのものが珍しい」って方向性に持っていけないか。そう思えた。
「普通が一番だと?」
「花火を見る以上、設定は夜だしな」
納得してもらえるように、解説を終える。
「キミらしい、奥深い意見だ。では、この衣装にしよう」
オレが選んだ浴衣を持ち、イーさんは更衣室へ。
「あれっすか? 変な浴衣を着て隣に立つなってことではなくて?」
「それは違うよ、マヒルちゃん」
デートなんだから適度な服装で来い、って言われれば、オレのほうがアウトだろう。
「ひめにこ的には、あれが一番似合うよ」
自分用のレンタル甚平を受け取って、オレも着替えを済ませる。
「どうだろうか?」
更衣室から出ると、浴衣を着たイーさんが迎えてくれた。
「すごく似合ってるよ、イーさん」
「ありがとう。ハナちゃん」
こころなしか、イーさんがオドオドしているように見える。
「どうしたんだ?」
「照れてるんすよ。好意を持った相手に褒められて」
イーさんが、飯塚社長がオレに好意を? まさか。
「とにかく行こう。花火が始まっちまう」
とくに、今日は小さい子どももいる。花火は楽しみに違いない。
……と思っていたオレがバカだった。
梶原親父娘は縁日に直行し、花火そっちのけで遊んでやがる。
「ほらほらアンちゃん、赤と緑の花火が上がってるよ。きれいだねぇ」
「今忙しい」
おおう……。
すっかり父親と射的で盛り上がっていた。
オレがいくら花火が打ち上がる空を指差しても、関心を示さない。
「すいません。こんな夫と娘で」
ご時世的に夏休みを減らされたので、アンちゃんは遊べるうちに遊びたいのだとか。
「こちらは私が見ています。お二方は楽しんでらして」
「あたしも混ざる! お二人はしっぽりと!」
マヒルちゃんも、梶原さんの隣でライフルにコルクを詰めだす。浴衣の裾を男らしくまくりあげ、ミニ浴衣みたいにしていた。
「では、ボクたちだけで撮影を……おやおや」
今度は、ぴよぴよさんの赤ちゃんが泣き出す。これだけ騒いでいたら、眠れないのかも。
「すいません花咲さん。花火の映像はスキを見て撮っておきます。デートシーンは、お任せしても」
「そうですね」
スマホさえアレば、撮影には困らない。
「行こうか、イーさん」
オレたちだけで、縁日を回ることに。
ぴよぴよさんから、完了の合図を受ける。
はあっ、と、オレたちは深く息を吐いた。
「こんなんで、よかったんでしょうか?」
不安になって、オレはぴよぴよんさんに確認を取る。
「見た目には、盛り上がっている風に見えました。OKですよ」
OKなのか。だったらいいけれど。
「なんか、しまらなくないすか?」
マヒルちゃんは、不満げだ。
「もっと色っぽい会話を、期待していたんすけど」
「いや、これでいいんだ。男女の会話って、『自分がリードしないと』とか、『自分がお話を繋げなきゃ』とかって思っている人ほど、会話が続かなくなるんだ。いっそ共通の話題を探して盛り上がった方がいい。誰かと仲良くなるには、一緒にいる時間の方が大事なんだ」
ぴよぴよさんがフォローしてくれる。
「確か大学でも、『親友になるためには、二〇〇時間は共に過ごす必要がある』と学んだっけ」
イーさんも、納得していた。
「ぴよぴよさんも、そうでした?」
「うん。ボクたちはどっちも絵を描くでしょ? 気に入った絵師さんとかの話題が豊富なんだ。共通の趣味があるのはいいことだよ」
「好みが合わなくて、ケンカしたりしなかったんですか?」
あまり同じ趣味がかち合いすぎてはカップル仲が悪くなると、よく耳にするが。
「しょっちゅうさ。でもボクはロボや乗り物、萌え絵に寄ってるし、家内は渋めなタッチとモモンスター系が好きだから、深刻な対立にはなりづらいんだ」
そんなもんかねえ。
あと、ゲーム画面は映さないという。キャラを特定されてしまう可能性があるからだ。
「では社長、最後は花火大会を映しましょうか」
まずは、浴衣を選ぶところから始める。
レンタルショップへ向かい、ひめにこに似合いそうな生地を探す。
ひめにこ用の浴衣を探している間、他のメンバーは着替えを終えた。
「どれが似合うと思う?」
イーさんの質問に、オレはすぐに返答する。
「このおとなしめな浴衣なんでどうだろう?」
オレは、花火が柳のように舞うシックな柄を選んだ。
「その心は?」
「派手なチョイスだと、ひめにこのビジュアルが浮くんだよ」
ひめにこは基本、バストアップだけを映す。あまり着飾ってしまっても意味がない。
かといって、それを見越して豪華な浴衣の生地を選ぶと、今度はせっかくのひめにこらしさが消えてしまう。
「ひめにこの美しさに、どうあっても浴衣が負けてしまうと?」
「だな。『浴衣を着ていますよ』程度の衣装が一番いいと思う」
「しかし、ひめにこなら個性的な柄を選びそうだが?」
水鉄砲やら風船やらをアップリケ帳に散りばめた水色の柄を、イーさんは選ぶ。
オレも、「変な浴衣の方が、ひめにこらしいかな」って迷った。たしかにひめにこなら、こんな男の子が好きっぽい絵柄を選びそうである。
「けどさぁ、オレたちはあまりにも『宇宙人である設定』にこだわりすぎてるんじゃないか。そう思うんだ」
奇抜であればいい、というもんでもない。「着物そのものが珍しい」って方向性に持っていけないか。そう思えた。
「普通が一番だと?」
「花火を見る以上、設定は夜だしな」
納得してもらえるように、解説を終える。
「キミらしい、奥深い意見だ。では、この衣装にしよう」
オレが選んだ浴衣を持ち、イーさんは更衣室へ。
「あれっすか? 変な浴衣を着て隣に立つなってことではなくて?」
「それは違うよ、マヒルちゃん」
デートなんだから適度な服装で来い、って言われれば、オレのほうがアウトだろう。
「ひめにこ的には、あれが一番似合うよ」
自分用のレンタル甚平を受け取って、オレも着替えを済ませる。
「どうだろうか?」
更衣室から出ると、浴衣を着たイーさんが迎えてくれた。
「すごく似合ってるよ、イーさん」
「ありがとう。ハナちゃん」
こころなしか、イーさんがオドオドしているように見える。
「どうしたんだ?」
「照れてるんすよ。好意を持った相手に褒められて」
イーさんが、飯塚社長がオレに好意を? まさか。
「とにかく行こう。花火が始まっちまう」
とくに、今日は小さい子どももいる。花火は楽しみに違いない。
……と思っていたオレがバカだった。
梶原親父娘は縁日に直行し、花火そっちのけで遊んでやがる。
「ほらほらアンちゃん、赤と緑の花火が上がってるよ。きれいだねぇ」
「今忙しい」
おおう……。
すっかり父親と射的で盛り上がっていた。
オレがいくら花火が打ち上がる空を指差しても、関心を示さない。
「すいません。こんな夫と娘で」
ご時世的に夏休みを減らされたので、アンちゃんは遊べるうちに遊びたいのだとか。
「こちらは私が見ています。お二方は楽しんでらして」
「あたしも混ざる! お二人はしっぽりと!」
マヒルちゃんも、梶原さんの隣でライフルにコルクを詰めだす。浴衣の裾を男らしくまくりあげ、ミニ浴衣みたいにしていた。
「では、ボクたちだけで撮影を……おやおや」
今度は、ぴよぴよさんの赤ちゃんが泣き出す。これだけ騒いでいたら、眠れないのかも。
「すいません花咲さん。花火の映像はスキを見て撮っておきます。デートシーンは、お任せしても」
「そうですね」
スマホさえアレば、撮影には困らない。
「行こうか、イーさん」
オレたちだけで、縁日を回ることに。
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