29 / 31
第四章 ちゅうせいしぼう! (途中で何度も挫折しかけたけど、ここまで頑張ってこられた理由は、みんなの声援と支援と希望!)
テトの迷い
しおりを挟む
たしかに、テトはこれまでセリスと何度も組み手をしてきた。
その数倍はスピードがある。
しかし、クセまでは拭い切れていない。
セリスは感覚だけで、全て捌ききる。
ライカが教えたとおりに。
「うまい!」
思わず、ライカが声を上げた。
「そこです!」
セリスの掌打が、魔王のアゴを捉える。
魔王の身体が一瞬揺らぐ。
「畳みかけて、セリスさん!」
ライカが檄を飛ばす。
セリスも拳に力を込めた。二撃目を。
しかし、魔王が息を吹き返す方が早い。
魔王は床に手を付いて、倒れる寸前でセリスに足払いを見舞う。
続けざまに足刀を脇腹に受けた。
セリスが吹き飛ぶ。
長テーブルに背中を打ち付け、地面に一回転した。
「セリスさん!」
駆け寄ろうとしたライカを、セリスは制する。
セリスは躊躇っていた。
その油断によって、魔王の蘇生を許してしまう。
油断していては勝てない相手だとわかっているのに、踏み切れていない。
「笑止な。この程度の相手を恐れていたとは。我ながら無駄な時を過ごした。そんな甘い思考では妾を倒す事などできん」
気だるそうに、魔王が髪をかき上げる。
「テトさん、目を覚まして下さい」
セリスに呼びかけられて、魔王は首を振った。
「我はテトなどという矮小な存在ではない。魔王ベルナテット」
「それが、あなたの限界です。魔王」
「……何?」
ライカの言葉に、魔王が初めて怒りを露わにする。
「セリスさん、もうこの人は、あなたの知っているテトさんではありません。存分に手を下しましょう」
「ライカ殿、これでは火に油を注ぐことにしかならんぞ!」
カメリエが、慌てふためく。
「大丈夫。最後に勝つのは、テトさんです」
「言っている意味が分からんぞい!」
言葉の意図が掴めず、カメリエは頭を抱える。
「何を言っているのか。お前は聖女ではなく、魔王の勝ちを予想するのか?」
同じく魔王も、ライカの言葉を笑い飛ばした。
「あなたが勝つと、誰が言ったんです? 必ずテトさんが、あなたを自分の身体から追い出すはず。勝つのはセリスさんとテトさん両名です」
二人の意志によって、魔王はこの世界から消え去る。
自分になら、それができるはずだ。
「わたしは負けません、あなたなんか、絶対に!」
セリスが構え直す。
「やれるものならやってみるがよい!」
魔王ベルナテットが、怒りに震える。
手を変え品を変え、セリスは攻めの手を緩めない。
だが、ことごとく魔王に傷を付けられずにいた。
「どうして。訓練は同時に受けていたはずなのに」
自分と魔王との間に、ここまでの差が開いているとは。
「覚悟が違うのじゃ。お主と我では。この世界を統べようとする覚悟が。全てを手にしようとする覚悟がのう」
得意げに、テトが言い放つ。
「知っておるぞ。お主はあれに惚れておるな」
たった一言で、セリスの心臓が跳ね上がった。
一瞬で、セリスの脳内がライカの笑顔で満杯になる。
首を振って、頭から邪念を追い払う。
今は自分の幸せなんて考えてはいけない。
そう思えば思うほど、セリスの胸は張り裂けそうになる。
「じゃが、安心せい。お主を倒し、あ奴は我がしもべとしよう。お前の分までたっぷりと、あやつを愛してやろうではないか」
「そんな事させない! させませんから!」
怒りに任せたセリスのパンチは空振りした。蹴りも肘打ちも。
カウンターで膝蹴りを腹に受けた。
肺の中の酸素が一気に放出される。
しかし、すぐに体力が回復するような感覚に見舞われた。
武具が回復させてくれたのか。
頭を振って、気持ちを切り替える。
目の前にいる人は、テトではない。魔王だ。
ならば打ち込む。
「ようやくやる気が出たか? ならばこちらからいくぞ」
前蹴りが飛んでくる。
思い出すんだ。
雷漸拳の攻めを、かつて自分が教わってきた技の数々を。
セリスは足首を掴んだ。
後ろに下がって、攻撃の勢いを殺す。
その状態からのカウンターを狙う。
前に足を踏み込んで、手の平を打ち込んだ。
「やあ!」
腹に、掌打を見舞う。
「な……これは」
だが、打撃の勢いが波紋を描くように、魔王に届かない。
空気の壁があるような感覚が手に触れている。
「これが聖女武具、魔王武具の真髄。単純な打撃や武器による攻撃は、全身を覆う強力なプラーナによって阻まれるのだ」
あらゆる攻撃は、武具によって阻止されてしまう。
これではいつまでも決着が付かず、千日手になるではないか。
「テトさん、目を覚まして下さい!」
「無駄だ。テトの意識は余の力で押さえつけてある」
「だったら……」
セリスは、腰の剣を抜いた。
鞘しかない剣に力を込めると、プラーナでできた蒼い刀身が姿を現す。
「よかろう。雷漸拳同士の戦いでは勝負が付かぬ」
対する魔王も、腰の剣を引き抜く。
鞘から禍々しい紫の刀身が。
セリスの剣と、魔王の剣が競り合う。
だが、変化は起きていた。
先ほどからずっと、魔王の攻撃は決定打に欠けている。
いまいち力は入りきっていない。
やはり、人を傷つけたトラウマが蘇ってしまうのだ。
しかし、テトも同じ状態に見えた。
顔で分かる。
先ほどから、手を抜いているかのような太刀筋だ。
腰が入っていない。
「どうした、この身体は⁉ とどめを刺さぬか!」
「テトさんなら、わたしの気持ちが分かるはずです!」
「おのれ、聖女め!」
魔王の顔に、初めて人間らしい表情が浮かぶ。
一瞬だけ、テトに戻った気がした。
魔王は、テトのいかにも人間らしい感情を昂ぶらせ、そそのかしている。
「聞こえますか、テトさん。あなたなら、自分の手で元のテトさんに戻れます」
テトが抱いている感情は、多分、セリスにも芽生えていて……。
「呼びかけても無駄だ。最も欲していた物を勝ち得た貴様の声になど、此奴は耳を貸さぬ」
セリスは首を振る。
「違う! わたしは、何も得ていない!」
「うるさい! お前は全てを持っていて、妾は!」
魔王の剣が、セリスの肌を斬りつけた。
血は出ていない。
プラーナがわずかに漏れたような疲労感がする。
この剣は、肌を傷つけないのでは?
「ライカさんは、あなたが戻ってくると信じてる。わたしだって同じです。だから、一緒に帰りましょう。その為に、わたしを傷つけてもいい」
セリスは構えを解いた。
「自らの死を選ぶか、聖女。ならば望み通り、冥土へと送ってやろう!」
無防備のセリスに、魔王が剣を突き出す。
しかし、いくらセリスが待っても、魔王は斬りかかってこない。
魔王の全身に、汗がドッと噴き出している。
顔は歪み、剣を突き出した構えのまま動かないでいた。
「どうしたのだ!?」
魔王自身、現状を理解できないでいるようだ。
セリスには分かっていた。
迷っている。テトは。
魔王の制御下で、彼女は戦っているのだ。
唇を噛みしめ、テトは苦しんでいる。
剣を前に突き出そうとする度に、手を震わせて首を振った。
元のテトらしい、精悍な顔が蘇っていく。
「テトさん、自分に負けないで!」
「傀儡は傀儡らしく、自分を見失っておれば、ここまで苦しまずに済んだものを!」
だが、魔王の制御が、セリスの願いさえ踏みにじる。
「所詮、人間は魔王の制御からは逃れられん!」
歯を食いしばりながら、テトがセリスに突きを仕掛けた。
やられる――セリスの脳裏に敗北のイメージが浮かぶ。
このままテトは、ベルナテットに飲み込まれてしまったのだろうか?
誰も助けられなくて、何が聖女だろう。
諦観が、セリスを襲った。
だが、剣はセリスを貫かない。
「こしゃくな」
セリスの心臓ギリギリの所で、魔王の突きは踏みとどまっている。
魔王の顔に、一瞬だけテトの表情が戻った気がした。
その数倍はスピードがある。
しかし、クセまでは拭い切れていない。
セリスは感覚だけで、全て捌ききる。
ライカが教えたとおりに。
「うまい!」
思わず、ライカが声を上げた。
「そこです!」
セリスの掌打が、魔王のアゴを捉える。
魔王の身体が一瞬揺らぐ。
「畳みかけて、セリスさん!」
ライカが檄を飛ばす。
セリスも拳に力を込めた。二撃目を。
しかし、魔王が息を吹き返す方が早い。
魔王は床に手を付いて、倒れる寸前でセリスに足払いを見舞う。
続けざまに足刀を脇腹に受けた。
セリスが吹き飛ぶ。
長テーブルに背中を打ち付け、地面に一回転した。
「セリスさん!」
駆け寄ろうとしたライカを、セリスは制する。
セリスは躊躇っていた。
その油断によって、魔王の蘇生を許してしまう。
油断していては勝てない相手だとわかっているのに、踏み切れていない。
「笑止な。この程度の相手を恐れていたとは。我ながら無駄な時を過ごした。そんな甘い思考では妾を倒す事などできん」
気だるそうに、魔王が髪をかき上げる。
「テトさん、目を覚まして下さい」
セリスに呼びかけられて、魔王は首を振った。
「我はテトなどという矮小な存在ではない。魔王ベルナテット」
「それが、あなたの限界です。魔王」
「……何?」
ライカの言葉に、魔王が初めて怒りを露わにする。
「セリスさん、もうこの人は、あなたの知っているテトさんではありません。存分に手を下しましょう」
「ライカ殿、これでは火に油を注ぐことにしかならんぞ!」
カメリエが、慌てふためく。
「大丈夫。最後に勝つのは、テトさんです」
「言っている意味が分からんぞい!」
言葉の意図が掴めず、カメリエは頭を抱える。
「何を言っているのか。お前は聖女ではなく、魔王の勝ちを予想するのか?」
同じく魔王も、ライカの言葉を笑い飛ばした。
「あなたが勝つと、誰が言ったんです? 必ずテトさんが、あなたを自分の身体から追い出すはず。勝つのはセリスさんとテトさん両名です」
二人の意志によって、魔王はこの世界から消え去る。
自分になら、それができるはずだ。
「わたしは負けません、あなたなんか、絶対に!」
セリスが構え直す。
「やれるものならやってみるがよい!」
魔王ベルナテットが、怒りに震える。
手を変え品を変え、セリスは攻めの手を緩めない。
だが、ことごとく魔王に傷を付けられずにいた。
「どうして。訓練は同時に受けていたはずなのに」
自分と魔王との間に、ここまでの差が開いているとは。
「覚悟が違うのじゃ。お主と我では。この世界を統べようとする覚悟が。全てを手にしようとする覚悟がのう」
得意げに、テトが言い放つ。
「知っておるぞ。お主はあれに惚れておるな」
たった一言で、セリスの心臓が跳ね上がった。
一瞬で、セリスの脳内がライカの笑顔で満杯になる。
首を振って、頭から邪念を追い払う。
今は自分の幸せなんて考えてはいけない。
そう思えば思うほど、セリスの胸は張り裂けそうになる。
「じゃが、安心せい。お主を倒し、あ奴は我がしもべとしよう。お前の分までたっぷりと、あやつを愛してやろうではないか」
「そんな事させない! させませんから!」
怒りに任せたセリスのパンチは空振りした。蹴りも肘打ちも。
カウンターで膝蹴りを腹に受けた。
肺の中の酸素が一気に放出される。
しかし、すぐに体力が回復するような感覚に見舞われた。
武具が回復させてくれたのか。
頭を振って、気持ちを切り替える。
目の前にいる人は、テトではない。魔王だ。
ならば打ち込む。
「ようやくやる気が出たか? ならばこちらからいくぞ」
前蹴りが飛んでくる。
思い出すんだ。
雷漸拳の攻めを、かつて自分が教わってきた技の数々を。
セリスは足首を掴んだ。
後ろに下がって、攻撃の勢いを殺す。
その状態からのカウンターを狙う。
前に足を踏み込んで、手の平を打ち込んだ。
「やあ!」
腹に、掌打を見舞う。
「な……これは」
だが、打撃の勢いが波紋を描くように、魔王に届かない。
空気の壁があるような感覚が手に触れている。
「これが聖女武具、魔王武具の真髄。単純な打撃や武器による攻撃は、全身を覆う強力なプラーナによって阻まれるのだ」
あらゆる攻撃は、武具によって阻止されてしまう。
これではいつまでも決着が付かず、千日手になるではないか。
「テトさん、目を覚まして下さい!」
「無駄だ。テトの意識は余の力で押さえつけてある」
「だったら……」
セリスは、腰の剣を抜いた。
鞘しかない剣に力を込めると、プラーナでできた蒼い刀身が姿を現す。
「よかろう。雷漸拳同士の戦いでは勝負が付かぬ」
対する魔王も、腰の剣を引き抜く。
鞘から禍々しい紫の刀身が。
セリスの剣と、魔王の剣が競り合う。
だが、変化は起きていた。
先ほどからずっと、魔王の攻撃は決定打に欠けている。
いまいち力は入りきっていない。
やはり、人を傷つけたトラウマが蘇ってしまうのだ。
しかし、テトも同じ状態に見えた。
顔で分かる。
先ほどから、手を抜いているかのような太刀筋だ。
腰が入っていない。
「どうした、この身体は⁉ とどめを刺さぬか!」
「テトさんなら、わたしの気持ちが分かるはずです!」
「おのれ、聖女め!」
魔王の顔に、初めて人間らしい表情が浮かぶ。
一瞬だけ、テトに戻った気がした。
魔王は、テトのいかにも人間らしい感情を昂ぶらせ、そそのかしている。
「聞こえますか、テトさん。あなたなら、自分の手で元のテトさんに戻れます」
テトが抱いている感情は、多分、セリスにも芽生えていて……。
「呼びかけても無駄だ。最も欲していた物を勝ち得た貴様の声になど、此奴は耳を貸さぬ」
セリスは首を振る。
「違う! わたしは、何も得ていない!」
「うるさい! お前は全てを持っていて、妾は!」
魔王の剣が、セリスの肌を斬りつけた。
血は出ていない。
プラーナがわずかに漏れたような疲労感がする。
この剣は、肌を傷つけないのでは?
「ライカさんは、あなたが戻ってくると信じてる。わたしだって同じです。だから、一緒に帰りましょう。その為に、わたしを傷つけてもいい」
セリスは構えを解いた。
「自らの死を選ぶか、聖女。ならば望み通り、冥土へと送ってやろう!」
無防備のセリスに、魔王が剣を突き出す。
しかし、いくらセリスが待っても、魔王は斬りかかってこない。
魔王の全身に、汗がドッと噴き出している。
顔は歪み、剣を突き出した構えのまま動かないでいた。
「どうしたのだ!?」
魔王自身、現状を理解できないでいるようだ。
セリスには分かっていた。
迷っている。テトは。
魔王の制御下で、彼女は戦っているのだ。
唇を噛みしめ、テトは苦しんでいる。
剣を前に突き出そうとする度に、手を震わせて首を振った。
元のテトらしい、精悍な顔が蘇っていく。
「テトさん、自分に負けないで!」
「傀儡は傀儡らしく、自分を見失っておれば、ここまで苦しまずに済んだものを!」
だが、魔王の制御が、セリスの願いさえ踏みにじる。
「所詮、人間は魔王の制御からは逃れられん!」
歯を食いしばりながら、テトがセリスに突きを仕掛けた。
やられる――セリスの脳裏に敗北のイメージが浮かぶ。
このままテトは、ベルナテットに飲み込まれてしまったのだろうか?
誰も助けられなくて、何が聖女だろう。
諦観が、セリスを襲った。
だが、剣はセリスを貫かない。
「こしゃくな」
セリスの心臓ギリギリの所で、魔王の突きは踏みとどまっている。
魔王の顔に、一瞬だけテトの表情が戻った気がした。
0
あなたにおすすめの小説
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない
しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?
タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。
白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。
しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。
王妃リディアの嫉妬。
王太子レオンの盲信。
そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。
「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」
そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。
彼女はただ一言だけ残した。
「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」
誰もそれを脅しとは受け取らなかった。
だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
辺境ぐうたら日記 〜気づいたら村の守り神になってた〜
自ら
ファンタジー
異世界に転移したアキト。 彼に壮大な野望も、世界を救う使命感もない。 望むのはただ、 美味しいものを食べて、気持ちよく寝て、静かに過ごすこと。 ところが―― 彼が焚き火をすれば、枯れていた森が息を吹き返す。 井戸を掘れば、地下水脈が活性化して村が潤う。 昼寝をすれば、周囲の魔物たちまで眠りにつく。 村人は彼を「奇跡を呼ぶ聖人」と崇め、 教会は「神の化身」として祀り上げ、 王都では「伝説の男」として語り継がれる。 だが、本人はまったく気づいていない。 今日も木陰で、心地よい風を感じながら昼寝をしている。 これは、欲望に忠実に生きた男が、 無自覚に世界を変えてしまう、 ゆるやかで温かな異世界スローライフ。 幸せは、案外すぐ隣にある。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる