30 / 31
第四章 ちゅうせいしぼう! (途中で何度も挫折しかけたけど、ここまで頑張ってこられた理由は、みんなの声援と支援と希望!)
決着!
しおりを挟む
「そこだ!」
セリスは一気に攻め立てようとする。
しかし、それがいけなかった。
「甘い!」
テトの心を奪い去るように、魔王が息を吹き返す。
魔王の剣がセリスの肩を舐め取る。
肩にプラーナを噴き出し、セリスは膝を突く。
プラーナを抑え込まざるを得ない。
肩からのプラーナ放出は防げた。
たが、消費を少しでも抑えたい状況でこれはまずい。
「テトの心を取り戻そうと打って出たようだが、その行為が殺気を呼んだ」
どうすればいい。どうすれば、テトを呼び戻せる?
とはいえ、魔王の精神も擦り切れている頃だろう。
先ほどの攻撃で、セリスを殺そうと思えば殺せたはずなのだ。
それなのに、力が入りきっていなかった。
セリスだって同じである。プラーナの消耗も著しい。
これが最後の一撃だ。あと一撃で、全てが決まる。
プラーナの消費量で言えば、セリスの方が激しい。
「ライカさん、すぐ終わらせますから、待っていて下さい」
「何を抜かすかぁ!」
ベルナテットが、紫に輝く剣を振り下ろす。
考えろセリス。今までの修行を思い出せ。
雷漸拳を信じろ。信じるんだ。
今のベルナテットは雷漸拳を捨てた状態。
心を預け切れていない。
セリスとベルナテットの違いは、そこだけだ。
自分は、雷漸拳に心を委ねる。
走馬燈のように、修行に明け暮れた日々を思い出す。
雷漸拳は、ただの拳法ではなく、ダイエットのための道具でもない。雷漸拳は守りの型だ。そこに活路があるはず。
もっと思い出せ。まだ何かある。
かつて、ライカはルドン卿をどうやって倒した?
あの剣豪を一撃で倒した技は何だったか?
セリスが刹那の刻を、一撃に賭けた。
ぬるり、と身体が動く。
まるで自分ではないみたいに。
自分が何をすべきかは、武具が教えてくれる。
気がつけば、斬撃を受け流していた。
ゼロ距離で回避し、剣の軌道を逸らす。剣を犠牲にして。
「武器を失ったお主など、妾の敵では」
「それはどうでしょう?」
プラーナの総量で劣っているなら、これしかない。
セリスはそう思った。
「電光パンチ!」
セリスは、テトのみぞおちにカウンターパンチを見舞う。
それが最初に教わった打撃だ。
「なあ⁉」
今までのセリスではありえない動きに、魔王が戦慄する。
ダイエット一ヶ月前、手すりを拭くように手を動かして、打ち込んだのを思い出す。
その時は自分も、雷漸拳を信じ切れていなかった。
今は違う。雷漸拳が自分を導いてくれている。
セリスは両手を交差させた。
かつて、ルドン卿を倒したライカのように。
自分とライカをシンクロさせた。
雷漸拳は守りの型だ。そして攻撃は最大の防御なり。
「無駄だ。打撃は魔王武具によって吸収され――」
「ぬん!」
体内にある全てのプラーナを、一気に魔王の中へと注ぎ込んだ。
ドスン、という激しい轟音が鳴り響く。
魔王の身体が、プラーナの放出によって弾き飛ばされる。
派手にテーブルへと突っ込んだ。
体内のプラーナに直接作用する雷漸拳に、ヨロイは無意味。
「ハア、ハア、ハア……」
セリスは息を荒くした。
もう一滴のプラーナも残っていない。
手の感覚もマヒしている。
全身に力が入らない。
指がブルブルと震えている。
「まだ、だ!」
魔王が、ガレキの中から這い出てきた。
「我に打撃を打ち込んだ程度で、いい気になるでないわ!」
セリスを指差し、魔王ベルナテット怒号を上げる。
反撃をしようにも、セリスはもう力を使い果たしていた。
このままでは。
「もう大丈夫です、セリスさん」
「うむ。見事なり聖女殿」
隣に、ライカとカメリエが駆けつける。
「ここまで来てまだ立ち上がるとは、魔王もしぶといのう!」
「いえ、勝負ありです」
だが、ライカは余裕の表情を浮かべた。
「バカな⁉ 妾はまだダメージらしいダメージなんぞ負って……な、なんだこれは!?」
魔王の身体に、異変が起き始める。
武具が維持し切れていない。
今にも金具が外れようとしている。
「ああっ!」
とうとう、武具のパーツが飛び散った。
武具から解放されたテトが、糸の切れた操り人形のように膝から崩れ落ちる。
「ほれっ!」
魔法による体移動で、カメリエがテトの身体をふわりと抱きかかえた。
『バカな。まさか、武具の拘束が解けるとは』
魔王武具そのものが、言葉を発する。
「雷漸拳は、体内に直接作用する技を持っています。セリスさんに潜む聖女としてのプラーナが、あなたのプラーナに直接ダメージを与えたことによって、あなたは力を保持できなくなったのです」
プラーナの流れを変えて、邪悪なプラーナだけを放出したのだ。
テトが雷漸拳を習っていたから、為せる技である。
『なら、今度は聖女の身体をいただくとしよう!』
魔王武具の次なる標的は、セリスのようだ。
「やらせません!」
意識を集中させ、再び剣から刀身を生み出す。
セリスの剣が、魔王の武具を斬りつけた。
テトから離れた以上、もう容赦はしない。
『ぬうわあああああっ!』
切り裂かれた箇所から、黒いプラーナが溢れ出した。
魔王武具が、勢いを失っていく。
武具は、プラーナの結晶体だ。
同じプラーナ同士によって攻撃できる。
やがて、武具は全てのプラーナを吐き出した。
単なる布きれと化して、魔王武具は床に落ちる。
魔王城からプラーナが放たれた。
氷漬けのようになっていた極寒のウーイックに、プラーナが降り注ぐ。
魔王が吸い上げていたエネルギーが、土地や魔物たちへと戻っていった。
ずっと感じていた寒気も収まる。
「勝った……?」
布に近づいていくが、魔王武具は反応を見せない。
「はい。セリスさんの勝利です」
ライカの言葉を受け、セリスは剣を落とした。
全身の力が抜け、倒れ込む。
とっさに、ライカがセリスを支えてくれた。
「見て下さい」
ライカに促され、外を見る。
まだ完全とは言わないが、ウーイックに緑が戻ったように思えた。
魔王の暴走が収まったのだ。
これでもう、魔王領は安心できるだろう。
「わたし、勝ったんですね」
「はい。テトさんも無事です。あなたは見事、魔王を撃ち倒したのです」
ライカの腕に抱かれながら、ようやくセリスは勝利を確信する。
「あの、セリス様」
「テトさん! 気がついたんですね?」
カメリエの手の中で、テトが目を覚ます。
「セリスお嬢様、この度は、ご無礼を」
「いいんです。幸い、被害は出ていません」
魔物や森も、無事である。
魔物たちも穏やかであり、人を襲う気配はない。
「疲れましたね。これから何をしたいですか?」
「お腹いっぱい食べたいです」
正直に言う。今だけは、ただの空腹を抱えた少女に戻りたい。
「帰りましょうテトさん」
セリスが、テトの手を取ろうとした。
しかし、テトは手を握り返そうとはしない。
まだ、自分がしでかしたことに責任を感じているのだろう。
「私は魔王の子孫、これ以上聖女様の施しを受けるわけには」
「そんなの、放棄すればいいじゃないですか」
「え?」
テトがセリスに視線を向けた。
「魔王の驚異は去りました。魔物さんだって、もう魔王に従う必要もないんです」
ライカも、セリスの言葉にうなずいている。
「魔物たちは、魔王に強制的に従っていただけです。魔王さえいなくなれば、彼らも安心してすごせます。あなたは魔王になる必要はない。ただのテトさんに戻っていいんですよ」
うつむいていたテトが、顔を上げた。
「私は、あの場所にいていいのでしょうか?」
「はい。一緒に帰りましょう。テトさん」
「セリス様、ありがとうございます」
こうして、魔王の脅威は去った。
魔物たちに見送られながら、テトは魔王の領土を離れる。
魔王領に、テトはずっと手を振っていた。
セリスは一気に攻め立てようとする。
しかし、それがいけなかった。
「甘い!」
テトの心を奪い去るように、魔王が息を吹き返す。
魔王の剣がセリスの肩を舐め取る。
肩にプラーナを噴き出し、セリスは膝を突く。
プラーナを抑え込まざるを得ない。
肩からのプラーナ放出は防げた。
たが、消費を少しでも抑えたい状況でこれはまずい。
「テトの心を取り戻そうと打って出たようだが、その行為が殺気を呼んだ」
どうすればいい。どうすれば、テトを呼び戻せる?
とはいえ、魔王の精神も擦り切れている頃だろう。
先ほどの攻撃で、セリスを殺そうと思えば殺せたはずなのだ。
それなのに、力が入りきっていなかった。
セリスだって同じである。プラーナの消耗も著しい。
これが最後の一撃だ。あと一撃で、全てが決まる。
プラーナの消費量で言えば、セリスの方が激しい。
「ライカさん、すぐ終わらせますから、待っていて下さい」
「何を抜かすかぁ!」
ベルナテットが、紫に輝く剣を振り下ろす。
考えろセリス。今までの修行を思い出せ。
雷漸拳を信じろ。信じるんだ。
今のベルナテットは雷漸拳を捨てた状態。
心を預け切れていない。
セリスとベルナテットの違いは、そこだけだ。
自分は、雷漸拳に心を委ねる。
走馬燈のように、修行に明け暮れた日々を思い出す。
雷漸拳は、ただの拳法ではなく、ダイエットのための道具でもない。雷漸拳は守りの型だ。そこに活路があるはず。
もっと思い出せ。まだ何かある。
かつて、ライカはルドン卿をどうやって倒した?
あの剣豪を一撃で倒した技は何だったか?
セリスが刹那の刻を、一撃に賭けた。
ぬるり、と身体が動く。
まるで自分ではないみたいに。
自分が何をすべきかは、武具が教えてくれる。
気がつけば、斬撃を受け流していた。
ゼロ距離で回避し、剣の軌道を逸らす。剣を犠牲にして。
「武器を失ったお主など、妾の敵では」
「それはどうでしょう?」
プラーナの総量で劣っているなら、これしかない。
セリスはそう思った。
「電光パンチ!」
セリスは、テトのみぞおちにカウンターパンチを見舞う。
それが最初に教わった打撃だ。
「なあ⁉」
今までのセリスではありえない動きに、魔王が戦慄する。
ダイエット一ヶ月前、手すりを拭くように手を動かして、打ち込んだのを思い出す。
その時は自分も、雷漸拳を信じ切れていなかった。
今は違う。雷漸拳が自分を導いてくれている。
セリスは両手を交差させた。
かつて、ルドン卿を倒したライカのように。
自分とライカをシンクロさせた。
雷漸拳は守りの型だ。そして攻撃は最大の防御なり。
「無駄だ。打撃は魔王武具によって吸収され――」
「ぬん!」
体内にある全てのプラーナを、一気に魔王の中へと注ぎ込んだ。
ドスン、という激しい轟音が鳴り響く。
魔王の身体が、プラーナの放出によって弾き飛ばされる。
派手にテーブルへと突っ込んだ。
体内のプラーナに直接作用する雷漸拳に、ヨロイは無意味。
「ハア、ハア、ハア……」
セリスは息を荒くした。
もう一滴のプラーナも残っていない。
手の感覚もマヒしている。
全身に力が入らない。
指がブルブルと震えている。
「まだ、だ!」
魔王が、ガレキの中から這い出てきた。
「我に打撃を打ち込んだ程度で、いい気になるでないわ!」
セリスを指差し、魔王ベルナテット怒号を上げる。
反撃をしようにも、セリスはもう力を使い果たしていた。
このままでは。
「もう大丈夫です、セリスさん」
「うむ。見事なり聖女殿」
隣に、ライカとカメリエが駆けつける。
「ここまで来てまだ立ち上がるとは、魔王もしぶといのう!」
「いえ、勝負ありです」
だが、ライカは余裕の表情を浮かべた。
「バカな⁉ 妾はまだダメージらしいダメージなんぞ負って……な、なんだこれは!?」
魔王の身体に、異変が起き始める。
武具が維持し切れていない。
今にも金具が外れようとしている。
「ああっ!」
とうとう、武具のパーツが飛び散った。
武具から解放されたテトが、糸の切れた操り人形のように膝から崩れ落ちる。
「ほれっ!」
魔法による体移動で、カメリエがテトの身体をふわりと抱きかかえた。
『バカな。まさか、武具の拘束が解けるとは』
魔王武具そのものが、言葉を発する。
「雷漸拳は、体内に直接作用する技を持っています。セリスさんに潜む聖女としてのプラーナが、あなたのプラーナに直接ダメージを与えたことによって、あなたは力を保持できなくなったのです」
プラーナの流れを変えて、邪悪なプラーナだけを放出したのだ。
テトが雷漸拳を習っていたから、為せる技である。
『なら、今度は聖女の身体をいただくとしよう!』
魔王武具の次なる標的は、セリスのようだ。
「やらせません!」
意識を集中させ、再び剣から刀身を生み出す。
セリスの剣が、魔王の武具を斬りつけた。
テトから離れた以上、もう容赦はしない。
『ぬうわあああああっ!』
切り裂かれた箇所から、黒いプラーナが溢れ出した。
魔王武具が、勢いを失っていく。
武具は、プラーナの結晶体だ。
同じプラーナ同士によって攻撃できる。
やがて、武具は全てのプラーナを吐き出した。
単なる布きれと化して、魔王武具は床に落ちる。
魔王城からプラーナが放たれた。
氷漬けのようになっていた極寒のウーイックに、プラーナが降り注ぐ。
魔王が吸い上げていたエネルギーが、土地や魔物たちへと戻っていった。
ずっと感じていた寒気も収まる。
「勝った……?」
布に近づいていくが、魔王武具は反応を見せない。
「はい。セリスさんの勝利です」
ライカの言葉を受け、セリスは剣を落とした。
全身の力が抜け、倒れ込む。
とっさに、ライカがセリスを支えてくれた。
「見て下さい」
ライカに促され、外を見る。
まだ完全とは言わないが、ウーイックに緑が戻ったように思えた。
魔王の暴走が収まったのだ。
これでもう、魔王領は安心できるだろう。
「わたし、勝ったんですね」
「はい。テトさんも無事です。あなたは見事、魔王を撃ち倒したのです」
ライカの腕に抱かれながら、ようやくセリスは勝利を確信する。
「あの、セリス様」
「テトさん! 気がついたんですね?」
カメリエの手の中で、テトが目を覚ます。
「セリスお嬢様、この度は、ご無礼を」
「いいんです。幸い、被害は出ていません」
魔物や森も、無事である。
魔物たちも穏やかであり、人を襲う気配はない。
「疲れましたね。これから何をしたいですか?」
「お腹いっぱい食べたいです」
正直に言う。今だけは、ただの空腹を抱えた少女に戻りたい。
「帰りましょうテトさん」
セリスが、テトの手を取ろうとした。
しかし、テトは手を握り返そうとはしない。
まだ、自分がしでかしたことに責任を感じているのだろう。
「私は魔王の子孫、これ以上聖女様の施しを受けるわけには」
「そんなの、放棄すればいいじゃないですか」
「え?」
テトがセリスに視線を向けた。
「魔王の驚異は去りました。魔物さんだって、もう魔王に従う必要もないんです」
ライカも、セリスの言葉にうなずいている。
「魔物たちは、魔王に強制的に従っていただけです。魔王さえいなくなれば、彼らも安心してすごせます。あなたは魔王になる必要はない。ただのテトさんに戻っていいんですよ」
うつむいていたテトが、顔を上げた。
「私は、あの場所にいていいのでしょうか?」
「はい。一緒に帰りましょう。テトさん」
「セリス様、ありがとうございます」
こうして、魔王の脅威は去った。
魔物たちに見送られながら、テトは魔王の領土を離れる。
魔王領に、テトはずっと手を振っていた。
0
あなたにおすすめの小説
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない
しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?
タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。
白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。
しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。
王妃リディアの嫉妬。
王太子レオンの盲信。
そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。
「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」
そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。
彼女はただ一言だけ残した。
「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」
誰もそれを脅しとは受け取らなかった。
だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
辺境ぐうたら日記 〜気づいたら村の守り神になってた〜
自ら
ファンタジー
異世界に転移したアキト。 彼に壮大な野望も、世界を救う使命感もない。 望むのはただ、 美味しいものを食べて、気持ちよく寝て、静かに過ごすこと。 ところが―― 彼が焚き火をすれば、枯れていた森が息を吹き返す。 井戸を掘れば、地下水脈が活性化して村が潤う。 昼寝をすれば、周囲の魔物たちまで眠りにつく。 村人は彼を「奇跡を呼ぶ聖人」と崇め、 教会は「神の化身」として祀り上げ、 王都では「伝説の男」として語り継がれる。 だが、本人はまったく気づいていない。 今日も木陰で、心地よい風を感じながら昼寝をしている。 これは、欲望に忠実に生きた男が、 無自覚に世界を変えてしまう、 ゆるやかで温かな異世界スローライフ。 幸せは、案外すぐ隣にある。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる