6 / 7
006
しおりを挟む
「どういう事だよ……!」
猫村沖雪の頭にあったのは、己の無力さと、組織の無慈悲さ。その理不尽さが、彼の頭に血を上らせた。
「なんで僕がこんな目に遭わなきゃいけないんだ……! 何でだよ……! 全部説明しろよ……ッ!」
「説明を受けてーのはこっちだ馬鹿が」
「!」
「お前は誰で、何のために、ここへ来た?」
いつまでも被害者ヅラしてんじゃねー。
と、夢見勝。
沖雪は爆発させようとした怒りを──理不尽に苛まれた自身の怒りという名の爆弾の、解除コードを入力されたように黙り込んでしまった。
ずっと、厭悪した理不尽さと共にあった、唯一の、拠り所のないモノ。どうしても怒りに任せられなかったモノ。
それが、自分自身そのものだったからだ。
解明されない、自分自身。
猫村沖雪。
お前は、誰だ?
「うわあああああああああああああああッ!」
勝は沖雪の号哭を聞いて、ソファに座り込んだ。湯村原水との戦闘アーカイブを見る限り、彼にも力はある。しかし、ユーという存在、また、彼自身の力の無自覚が──誰も解明の仕様のない謎が、沖雪を傷つけているのだと知っていた。
「落ち着けよ。水でも飲め」
勝は冷静に、机の上に水の入ったコップを創造した。
「……いいから、ただの水だよ」
男の不細工な泣き顔をいつまでも見ていられるほど、勝も悠長な人物ではなかった。それはともかくとしても、そうした気遣いで、沖雪を一旦は冷静にさせることに成功した──そして、彼の暴走しかけた霊力も。
「これはな、俺の能力。想像したものを創造する。漫画なんかだったらなんかカッケー名前でもあるんだろうが、生憎ウチらはただの殺し屋集団だからな。実際の異能力なんてこんなもんだ」
「ありがとう……」
沖雪もソファに座り込み、一息ついたようである。それを機に、話を進めることを決めた勝は、続けて口を開く。
「これが俺たちで、お前だ」
「僕……」
水を一口飲み、自分の体を見るようにする沖雪。
「それによかったじゃねえか、とりあえず、手枷は外れたんだしな」
「え、あっ、ホントだ!」
「…………」
その手でコップを掴んでいたのに、気付いていなかったのか。
外れ、床に転がっている手枷は、先ほどの暴走しかけた霊力を吸収し、解析し終わったのだろう。流石に、勝のとってつけたような気遣いだけでは、沖雪の暴走は止められなかった。この枷がなければ、再びユーと言う名の少女が現れただろう。
そうなっていれば、勝は彼女を殺さなければならなかった。そういう命令を受けていた。
「お前さ、死んだ後って、人間はどこに行くと思う?」
「どこって……。天国とか、地獄とか、そういう話?」
「そーゆー話」
うーん。と、沖雪。実際、死んだらどうなるのだろうと考えた事がないと言えば嘘になるが、死にたいと考えたことはない。そうした話を真面目に、しかも異常時に訊かれる事になるとは想定していなかった為、一時的に、思考が渋滞する。
先程まで死にかけた思いはしたが……。
「分かんない」
そうして少しの間考えた末に、沖雪は端的に答える形となった。
それが結果的に、勝にとってはよく誘導出来た問答だったと言えた。
「ここに来るんだよ、ここ、破界にな」
「……ッ」
「まあ来るっつっても、俺やお前みたいなのは稀だよ。みんな散り散りになって、この世界の一部になんのさ。窓の外を見ろ」
沖雪はソファから立ち上がり、窓の外を見る。空には不気味さを感じるけれど、空を除けば、ただの森だ。一面、木に覆われている。
「散り散りになった人間は土になる。木になるし、葉にもなる。そうして俺たちの世界となって、いてくれている」
「……嘘だろ……」
「嘘じゃねえよ。お前、俺たちの通信手段を知りてーだろ」
心の内を読まれたか?
沖雪は一瞬で動揺を隠す。
「……簡単に教えてくれるとは考えてないけど」
「じゃあ簡単に教えてやる。この木、全てが俺たちの意思疎通をこなしてくれる。通信機になるんだ」
「……それこそ嘘だろ」
「嘘かどうかはてめーで判断していいが、これまで体験した全てを総浚いして考えとけ」
「…………」
沖雪は、夢見勝という、まだ出会って数時間もしていない男が、決して嘘をついていないことを知っていた。これは特別、この世界に来て身につけたものではなく、ただ、勝の何かを知っただけだ。この男の、心の何かを。
「じゃあ一体、僕たちはなんなのさ。土や木にならなかった僕らは?」
当然の疑問に辿り着いた沖雪を誘導するように、勝は言葉を選ぶ。ここまで、沖雪と接して知った能力と言えば、それは彼の底知れぬ潜在能力と言うべきだろう。感情によって左右されやすく、上下し、爆発する。
爆発した際の後処理としての腕を買われているのか、ついでに共倒れを計画されているのかは知らないが、よくもこんな爆弾──化物をこちらに流したものだと、愛染心の憎たらしい笑みを頭に浮かべながら、勝は話を進めた。
「戦士だ。目下に広がるクソみたいに並ぶこの木たちが、俺たちの通信手段としてしか機能していないように、俺たちは俺たちで、敵を殺す物としての機能しか持ち合わせてねーのさ」
「……何だよそれ」
やはり、納得できないようである沖雪の態度にフォーカスを当て、勝は話を転換させる。
「俺たちはあの浮島に落ちた瞬間から、分かってんだよ。自分が死んだことも、これから戦う敵の存在もな。ただ、お前だけはそれを理解出来ねえ。どういう事だ?」
「それは! 僕だって知りたいよ」
「だろ? 自然の摂理に反したもんは気になるし、謎だし、それに怖えんだよ。お前の受けてる待遇や、それに伴って感じてる理不尽は、そこから埋め合わせされてると思って我慢しとけ」
「みんなは、僕が怖いのか……?」
沖雪の反応に、勝はやはり自身が前提として話している事が正しいのだと確信する。
デストロイヤーは生まれながらにして自身の使命を知っている。本能的に悟るのだ。しかし、沖雪はその使命を知らずにここにいる。
「……ニュートンは林檎が落ちてきたのを見て重力っつーもんを発見したらしいが、落ちて当たり前とされた林檎が空にすっ飛んでって、『俺は林檎じゃねえ! 蜜柑だ!』って叫んでたらどうするよ。そりゃお前ヤバいだろ。例えるならその蜜柑がお前──俺たち林檎──赤色の群れに混ざった橙色の謎。重力で落ちてくるはずの林檎の木から何故か蜜柑が、しかも落ちてくるんじゃなくて浮いたまま、己を林檎ではないと否定し、林檎の群れをざわめかす。林檎の群れは蜜柑を見てどう思う?」
「……警戒する」
妙に回りくどい例え話だが、彼らが林檎、自分が蜜柑だと言われて、これまで浴びた洗礼を回想しながら、当然の帰結に沖雪は辿り着いた。
「ま、そういう事だ。蜜柑も林檎も、互いを知らねえ──違いを知らねーんだ。この騒動が、この規模で収まって良かったと考えておこうぜ。少なくとも俺が林檎の大将なら、浮いてる蜜柑を引きずり落として、林檎の重さでぶっ潰して、『さて、変な奴は殺したから仕事仕事!』っつって話を進めてるぜ。そうしなかった正十字一番隊長には感謝しとけ」
「しとけって言われて単純に出来るわけではないけれど……。やっぱり、僕にはここの世界は理解できないし、僕自身の事も理解出来てない。それにさっき、あんたが言ったんじゃないか! 処分されるって」
沖雪は勝のフォローとも取れる例えを受け取ったが、それが全く意味をなさないというのを、先回りして勝に伝えられたのだった。己が他と違うから、処分されると。
勝から宣告を受けたのだ。
ただ、勝の顔は変わらず、勝気でいる。何か、この現状を打破出来ると言える何かを、この男は知っているのか?
沖雪は変わりつつある自身の現在に危機感を覚えながら、同時に、勝に対する意識を改め始めた。
「そりゃ蜜柑のままだからな。お前がそうして未完成でいるままじゃあ、処分──廃棄だ。それじゃあお話にならねえ。まずは林檎にならなきゃな」
「どうやって──」
「焦るな。時間はまだある」
勝は人差し指を立て、前のめりになる沖雪を牽制した。
「不幸中の幸い、お前はフルーツだろ? 俺たちもだ」
猫村沖雪の頭にあったのは、己の無力さと、組織の無慈悲さ。その理不尽さが、彼の頭に血を上らせた。
「なんで僕がこんな目に遭わなきゃいけないんだ……! 何でだよ……! 全部説明しろよ……ッ!」
「説明を受けてーのはこっちだ馬鹿が」
「!」
「お前は誰で、何のために、ここへ来た?」
いつまでも被害者ヅラしてんじゃねー。
と、夢見勝。
沖雪は爆発させようとした怒りを──理不尽に苛まれた自身の怒りという名の爆弾の、解除コードを入力されたように黙り込んでしまった。
ずっと、厭悪した理不尽さと共にあった、唯一の、拠り所のないモノ。どうしても怒りに任せられなかったモノ。
それが、自分自身そのものだったからだ。
解明されない、自分自身。
猫村沖雪。
お前は、誰だ?
「うわあああああああああああああああッ!」
勝は沖雪の号哭を聞いて、ソファに座り込んだ。湯村原水との戦闘アーカイブを見る限り、彼にも力はある。しかし、ユーという存在、また、彼自身の力の無自覚が──誰も解明の仕様のない謎が、沖雪を傷つけているのだと知っていた。
「落ち着けよ。水でも飲め」
勝は冷静に、机の上に水の入ったコップを創造した。
「……いいから、ただの水だよ」
男の不細工な泣き顔をいつまでも見ていられるほど、勝も悠長な人物ではなかった。それはともかくとしても、そうした気遣いで、沖雪を一旦は冷静にさせることに成功した──そして、彼の暴走しかけた霊力も。
「これはな、俺の能力。想像したものを創造する。漫画なんかだったらなんかカッケー名前でもあるんだろうが、生憎ウチらはただの殺し屋集団だからな。実際の異能力なんてこんなもんだ」
「ありがとう……」
沖雪もソファに座り込み、一息ついたようである。それを機に、話を進めることを決めた勝は、続けて口を開く。
「これが俺たちで、お前だ」
「僕……」
水を一口飲み、自分の体を見るようにする沖雪。
「それによかったじゃねえか、とりあえず、手枷は外れたんだしな」
「え、あっ、ホントだ!」
「…………」
その手でコップを掴んでいたのに、気付いていなかったのか。
外れ、床に転がっている手枷は、先ほどの暴走しかけた霊力を吸収し、解析し終わったのだろう。流石に、勝のとってつけたような気遣いだけでは、沖雪の暴走は止められなかった。この枷がなければ、再びユーと言う名の少女が現れただろう。
そうなっていれば、勝は彼女を殺さなければならなかった。そういう命令を受けていた。
「お前さ、死んだ後って、人間はどこに行くと思う?」
「どこって……。天国とか、地獄とか、そういう話?」
「そーゆー話」
うーん。と、沖雪。実際、死んだらどうなるのだろうと考えた事がないと言えば嘘になるが、死にたいと考えたことはない。そうした話を真面目に、しかも異常時に訊かれる事になるとは想定していなかった為、一時的に、思考が渋滞する。
先程まで死にかけた思いはしたが……。
「分かんない」
そうして少しの間考えた末に、沖雪は端的に答える形となった。
それが結果的に、勝にとってはよく誘導出来た問答だったと言えた。
「ここに来るんだよ、ここ、破界にな」
「……ッ」
「まあ来るっつっても、俺やお前みたいなのは稀だよ。みんな散り散りになって、この世界の一部になんのさ。窓の外を見ろ」
沖雪はソファから立ち上がり、窓の外を見る。空には不気味さを感じるけれど、空を除けば、ただの森だ。一面、木に覆われている。
「散り散りになった人間は土になる。木になるし、葉にもなる。そうして俺たちの世界となって、いてくれている」
「……嘘だろ……」
「嘘じゃねえよ。お前、俺たちの通信手段を知りてーだろ」
心の内を読まれたか?
沖雪は一瞬で動揺を隠す。
「……簡単に教えてくれるとは考えてないけど」
「じゃあ簡単に教えてやる。この木、全てが俺たちの意思疎通をこなしてくれる。通信機になるんだ」
「……それこそ嘘だろ」
「嘘かどうかはてめーで判断していいが、これまで体験した全てを総浚いして考えとけ」
「…………」
沖雪は、夢見勝という、まだ出会って数時間もしていない男が、決して嘘をついていないことを知っていた。これは特別、この世界に来て身につけたものではなく、ただ、勝の何かを知っただけだ。この男の、心の何かを。
「じゃあ一体、僕たちはなんなのさ。土や木にならなかった僕らは?」
当然の疑問に辿り着いた沖雪を誘導するように、勝は言葉を選ぶ。ここまで、沖雪と接して知った能力と言えば、それは彼の底知れぬ潜在能力と言うべきだろう。感情によって左右されやすく、上下し、爆発する。
爆発した際の後処理としての腕を買われているのか、ついでに共倒れを計画されているのかは知らないが、よくもこんな爆弾──化物をこちらに流したものだと、愛染心の憎たらしい笑みを頭に浮かべながら、勝は話を進めた。
「戦士だ。目下に広がるクソみたいに並ぶこの木たちが、俺たちの通信手段としてしか機能していないように、俺たちは俺たちで、敵を殺す物としての機能しか持ち合わせてねーのさ」
「……何だよそれ」
やはり、納得できないようである沖雪の態度にフォーカスを当て、勝は話を転換させる。
「俺たちはあの浮島に落ちた瞬間から、分かってんだよ。自分が死んだことも、これから戦う敵の存在もな。ただ、お前だけはそれを理解出来ねえ。どういう事だ?」
「それは! 僕だって知りたいよ」
「だろ? 自然の摂理に反したもんは気になるし、謎だし、それに怖えんだよ。お前の受けてる待遇や、それに伴って感じてる理不尽は、そこから埋め合わせされてると思って我慢しとけ」
「みんなは、僕が怖いのか……?」
沖雪の反応に、勝はやはり自身が前提として話している事が正しいのだと確信する。
デストロイヤーは生まれながらにして自身の使命を知っている。本能的に悟るのだ。しかし、沖雪はその使命を知らずにここにいる。
「……ニュートンは林檎が落ちてきたのを見て重力っつーもんを発見したらしいが、落ちて当たり前とされた林檎が空にすっ飛んでって、『俺は林檎じゃねえ! 蜜柑だ!』って叫んでたらどうするよ。そりゃお前ヤバいだろ。例えるならその蜜柑がお前──俺たち林檎──赤色の群れに混ざった橙色の謎。重力で落ちてくるはずの林檎の木から何故か蜜柑が、しかも落ちてくるんじゃなくて浮いたまま、己を林檎ではないと否定し、林檎の群れをざわめかす。林檎の群れは蜜柑を見てどう思う?」
「……警戒する」
妙に回りくどい例え話だが、彼らが林檎、自分が蜜柑だと言われて、これまで浴びた洗礼を回想しながら、当然の帰結に沖雪は辿り着いた。
「ま、そういう事だ。蜜柑も林檎も、互いを知らねえ──違いを知らねーんだ。この騒動が、この規模で収まって良かったと考えておこうぜ。少なくとも俺が林檎の大将なら、浮いてる蜜柑を引きずり落として、林檎の重さでぶっ潰して、『さて、変な奴は殺したから仕事仕事!』っつって話を進めてるぜ。そうしなかった正十字一番隊長には感謝しとけ」
「しとけって言われて単純に出来るわけではないけれど……。やっぱり、僕にはここの世界は理解できないし、僕自身の事も理解出来てない。それにさっき、あんたが言ったんじゃないか! 処分されるって」
沖雪は勝のフォローとも取れる例えを受け取ったが、それが全く意味をなさないというのを、先回りして勝に伝えられたのだった。己が他と違うから、処分されると。
勝から宣告を受けたのだ。
ただ、勝の顔は変わらず、勝気でいる。何か、この現状を打破出来ると言える何かを、この男は知っているのか?
沖雪は変わりつつある自身の現在に危機感を覚えながら、同時に、勝に対する意識を改め始めた。
「そりゃ蜜柑のままだからな。お前がそうして未完成でいるままじゃあ、処分──廃棄だ。それじゃあお話にならねえ。まずは林檎にならなきゃな」
「どうやって──」
「焦るな。時間はまだある」
勝は人差し指を立て、前のめりになる沖雪を牽制した。
「不幸中の幸い、お前はフルーツだろ? 俺たちもだ」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる