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24、敵襲。迎え撃つリーベル騎士団

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「何だか胸騒ぎがするな。ははっ、歳を取るといかんな。俺もそろそろ引退か・・・・」

ここリーベルではすでにアルファザードがヤプールに侵攻を始めたとの情報がもたらされていた。

デニーロは久しぶりに自宅屋敷でのんびり寛いでいた。今は書斎で以前から気になっていた本を読み始めたところだった。

「旦那様失礼します。」そう言って部屋に入ってきたのは長年のこの屋敷に仕える家令のハンターだ。

「今しがたキーン・バルデス様がいらっしゃいました。急いでお話ししたい事があるとの事です。」

「分かった。すぐに行こう。」そう言うとガウンを羽織り応接室へ向かった。

応接室に入るとバルデスが立ち上がった。

「夜分に恐れ入ります。先ほど国境をこえてアルファザード騎士団が我が国にも侵攻して来たとの報告がありました。奴らは我々が想定していた道を進行しているようです。先ほど騎士団内には秘書官が非常事態宣言を出し、副団長のデニス様の指揮の元、すでに兵を整えつつあります。」

「報告ありがとう。やはり奴らはヤプールとウチを同時に侵攻してきたな。思い上がりも甚だしい。では私も着替えすぐに向かおう。」

「分かりました。私はこのまま騎士団に戻ります。」

「いや、バルデスちょっと待ってくれ。君には先に行って欲しい所があるんだ。」そう言うと行き先を耳打ちした。

「えっ、でも彼は・・・・」

「あぁ知っている。でもこれは彼が言い出した事なんだ。だからすぐに伝えに行ってやってくれ。そしてバルデス、作戦はもう頭に叩き込んでるな?この戦いは君が指揮を取りたまえ。私はこのまま王宮に入り万が一に備え王の側に控える。」

「・・・・・・分かりました。では私は失礼します。」

「ーーーーバルデス」

「何ですか?デニーロ団長。」

「ーーこの作戦は何を見ても一切迷うんじゃないぞ?常に己を冷静に保つんだ。」

「分かりました。ではこれから彼の元に向かいます。」

「あぁ頼んだぞバルデス。」



そしてそれからしばらくして、キーン・バルデスを先頭にリーベル騎士団が領土を侵攻中のアルファザード騎士団を撃つべく出陣した。そしてバルデスの背後には何故かラリー補佐官が付き従っていた。


今回リーベル騎士団はラリーの細かな指示でわざわざ国境付近の道をアルファザード騎士団のために緻密にした。


それに合わせて騎士団と警備隊の合同チームを現地に送り込み即時対応出来るように配置してある。


今はゆっくり、ゆっくりとアルファザード騎士団が罠にかかるのを先に現地入りしている騎士団がバレないように見守っている筈だ。


バルデス達が現地に到着する頃には、見事にアルファザード騎士団が地形を上手く利用した袋小路に追い詰められていた。


そして現地に到着したバルデスの号令で一斉に集中砲火を浴びせアルファザード騎士団はほとんどの兵を失い逃げ始めた。


その様子を見たバルデスは素早く自陣の兵をまとめて落ち着かせそして大声で叫んだ。


「皆の者、我々はこのままアルファザードに向かう。目的地はアルファザード王宮、目的はアルファザード国王の首で有る。この戦いは先にこちらへ侵攻してきたアルファザードに非がある。我々にはアルファザードを叩く大義がある。油断せず心してかかれ。そして必ずや勝利を我が物とする。1人残らず生きて帰ろうぞ!分かったか!!」


そう叫ぶと兵士たちは口々に雄叫びを上げながら「敵はアルファザードにあり!!」と叫んでアルファザードへの道を進み始めた。


「ラリー殿、貴殿の作戦がピッタリと嵌まったな。」馬に揺られながらバルデスがラリーに話しかけた。

「いえ、まだまだこれからです。今はまだ序章に過ぎません。私たちはあと3時間後にはアルファザード王宮です。うまく嵌ればあと数時間後にはアルファザードを陥落できると思います。あくまで私の予想ですが」そう話しバルデスの表情を見た。


「それに先ほどすでに後方隊も出発したとの報告を受けました。アルファザードを落とすなら今しかありません。バルデス殿、騎士団がアルファザード王宮内に入ったら私は一旦隊を離れ別行動します。何とぞお許し下さい。」

「あぁ、理解している。例のだな」

「えぇ、彼女の存在は我々にとって障害でしかありません。何とか居場所を探し出して僕が突き止めます。」

「心当たりでもあるのか?」

「えぇ、バルデス殿の内偵の報告書の中にありました。もしかしたら聖女は・・・・」

「聖女がどうかしたのか?」

「いえ、何でもありません。そろそろ市街地です、やはり思ったように街中でも手薄ですね。でも何が起こるか分かりません。気を引き締めて行きましょう。」


そろそろ夜が明けあと少しで日が昇ろうとする時間帯だ。


街中には人は殆どいない。兵士も殆どいない。兵士は恐らくかき集められてヤプールに向かっているのだろう。


ここでバルデスは足を止めた。

「デニス殿?」と後方を進んでいる副団長に声をかけた。

「いかがした?バルデス殿。」

「この街の様子をどう捉えますか?」

「思った以上に人がいない。しかし気を抜くには少々早いな。」

「私もそう思っていたところです。デニス殿、済まないがいくつか隊を率いて後方に着いてくれないか?」

「分かった。デニーロ団長からバルデス殿の指示にしたがってくれと頼まれている。君の指示に従おう。」そう話すとデニスは何名かの隊長に声をかけて後方へ下がっていった。

「さぁ、いよいよアルファザード王宮だ。油断するなよ。」再び騎士団に声をかけると慎重にアルファザード王宮へ向かい始めた。
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