恋に堕ちる─別れさせ屋としての最後の仕事。彼と出会って私はまた恋をする。─

七転び八起き

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第12話 安らぎ

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『俺のそばにいて欲しい』

 突然言われた言葉に身動きがとれなくなってしまった。

「それは一体どういう……」

 気持ちが追いつかない。
 立て続けの出来事に困惑していた。

 その時、突然強烈なめまいと吐き気に襲われた。
 私はその場にうずくまった。

「ごめん、俺が余計なことを言った」

 沢村さんのせいじゃない。
 自分が悪いんだ。

 その後、気が遠くなって、何も聞こえなくなってしまった。

 ***

 ──ふと、目を覚ました時には、私は病院のベッドの上にいた。
 手に点滴の針が刺さっていた。

 そして、しばらくすると、カーテンが開いた。

「あ、よかった。大丈夫?」

 沢村さんだった。

「あの、私は一体……」
「駅で倒れて、救急車呼んだ」

 ベッドの横の椅子に彼は座った。

「ありがとうございます。ご迷惑おかけして申し訳ありません」
「いや、別に何も迷惑ではないよ。心配してたんだよ」

 でもこの人は私に構っている暇はないはず。

「あの、お仕事に戻ってください。もう大丈夫ですので」
「俺のことは心配しなくていい」

 そう言われると、何も言えなくなってしまう。

 しばらく沈黙が続いた。

「早川には釘を刺しておく。だから気にせず出社していい」
「え、でも、あれは早川さんのせいじゃ……」
「早川と彼女の問題だろ」

 そうではあるんだけど、完全に無関係ではない。

「もし、嫌がらせのようなものが続くなら警察に言うべきだ」
「はい……」

 その後、沢村さんは立ち上がった。

「俺は会社に戻る。退院して落ち着いたら、また普通に出勤してくれ」
「……わかりました。ありがとうございます」

 私は頭を下げた。

「俺があの時言ったことはあまり気にしなくていい。ただ……伝えたかっただけだ」

 その後、沢村さんはカーテンの向こうに行ってしまった。

 私はそんなに価値がある女じゃない。
 汚れた仕事をした。
 あの人はもっとちゃんとした人と恋愛をすべきだ。
 よくわからない。自分がどうすればいいのか。

 窓の外を見て、沢村さんが病院から出ていく姿が見えた。その時彼が振り返った。
 目が合ってしまった。
 彼は優しく微笑んで手を上げた。

 胸が暖かくなる。
 まだ怖いけど、この人がいれば、私はなんとか契約期間は乗り越えられるかもしれない。

 私は沢村さんにメッセージを送った。

『ありがとうございます』

 そしてまた眠りについた。
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