恋に堕ちる─別れさせ屋としての最後の仕事。彼と出会って私はまた恋をする。─

七転び八起き

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第22話 運命

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 早川さんを支えながら歩く夜道。

 このままずっと、この時間が続けばいいと思ってしまう自分がいた。
 今この瞬間だけは余計な事は考えず、この人のそばにいたかった。

 途中に公園があった。
 そこのベンチに早川さんを座らせて、私は水を買ってきた。

「どうぞ」

 早川さんはそれを受け取った。

「ありがとう」

 その水を半分くらい飲んで、少し酔いが落ち着いた感じがした。

「迷惑かけてごめん」
「迷惑じゃないです。嬉しいです」

 また考えないで言ってしまった……。

「すみません!不謹慎でした」

 少しだけ早川さんが微笑んだ。

「俺の何がいいの?何も思い当たらない」
「私もわかりません。ただ、再会した時思ったんです。この出会いは運命だって」

 早川さんは悩んでいた。

「運命……なのか?」
「はい。私にとっては」
「俺は君を突き放した」
「はい、ショックでした。でもあの仕事をしていた女なんて信用できなくて当然なので、仕方ないと思ってます」

 早川さんはため息をついている。

「私が目障りなら、距離を置きます……」
「言っただろ。俺も春日さんに惹かれてるって。だから辛い」

 早川さんはスマホを取り出した。

「相変わらずすごい通知の数……」

 彼女さんか……。

「私はそこに首を突っ込めませんが……ちゃんと彼女さんと向き合った方がいいと思います」
「……そうだな」

 早川さんは立ち上がった。

「俺が彼女と別れたら……春日さんは俺と真剣に向き合えるの?」
「はい……そうしたいです」
「そうか」

 暫く沈黙が流れた。

「俺は別れてもすぐに付き合うとかはできないかもしれない。気持ちの整理が必要だ」
「はい。私は待ちます」

 たとえ私が選ばれなくても。

「沢村さんとはどうするんだよ」

 その時、現実に引き戻された。

 何度も助けられた。
 あの人がいるから、今私はここにいる。
 あの人にも真剣に想われている。

 早川さんが好きなのに、沢村さんと会うと心が揺れる。

「……君も気持ちを整理した方がいい。その上で俺を選ぶなら……今度は俺が君を助ける」

 その時の早川さんの表情はさっきとは違って真っ直ぐだった。

 月の光が私たちを照らす。

 私はちゃんと選べるのか。

 どちらか一人を。
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