恋に堕ちる─別れさせ屋としての最後の仕事。彼と出会って私はまた恋をする。─

七転び八起き

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第26話 自由に

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 春日さんに言ってしまった本音。

「寂しい」
「行くなよ」

 まだ香織との関係を終わらせられてないのに、中途半端な事をしてしまった。

 もうあの子はいなくなる。
 心に穴が空いたようだ。
 何のしがらみもなければ、このまま俺のものにしたい。
 失いたくない。

 だから、もう、俺も進まないといけない。
 香織のトーク画面にメッセージを送る。

『今日仕事が終わったら話したいことがある。』

 そんな簡単にはいかないのは十分わかっている。
 でも逃げていても仕方ない。

 しっかりと決着をつけるんだ。
 この関係に。

 ***

 待ち合わせたのは、たまに二人で行っていた夜景の見える公園だった。

「蒼真……」

 香織の声がする。
 振り返ると、あの頃と重なって見えた。

 ──が、違う。
 怯えている。

 俺が何をしようとしているのか察しているのか……。

「お疲れ様……」

 香織は少し震えている。

 夜景はあの時と変わらない。
 俺たちがおかしくなってしまった。

「香織」
「うん」
「今日が最後だ」

 何て言われるのか……
 俺はどう乗り越えればいいのか……
 ただ、意思だけは貫きたい。

「うん……わかった」

 ……は?

 香織の顔を見たら、特に表情は変わらない。

「蒼真のこと、今も大好きだけど、私のことをどんどん嫌いになっていくのわかってるから、もう諦める」

 大声でまた喚かれる覚悟はしていた。
 こんなにあっさり?

「でもさ……あの女は嫌」
「え?」
「別れさせ屋の女」

 表情は変わってないが瞳が揺れている。

「あいつは許さない。私たちの関係を壊した」
「香織、何度も言ってるけど、別れさせ屋を使った時点で俺とお前は終わったんだよ」
「だって、蒼真もお父さんみたいに、突然いなくなっちゃうかもしれないって、怖かったの」

 そういうことか……
 両親が離婚した傷で俺を信用できなくなったのか。

「それに結局蒼真はあの女が好きなんでしょ?」

 本当の事を言っていいのか……

「じゃあ結局、別れさせ屋に彼氏を奪われたと同じじゃない」

 その時俺の中で何かが切れた。

「何も知らないくせに、勝手に決めつけるな!」

 香織は驚いている。
 俺も自分に驚いている。

「蒼真……どうしたの?」

 冷静になれ……

「俺の人生だ。どうしようが俺の勝手だ。邪魔するなら許さない」

 香織の目から涙が溢れた。

「蒼真……大好きなの、離れたくない」

 その泣き声をずっと聞いていた。
 心を鬼にして。
 揺らいではいけない。
 俺はもう我慢したくない。
 自由になりたい。

 香織との過去もいい思い出だった。
 だから簡単に捨てられなかった。
 恨まれてもいい。

 俺はただ、あの人の側にいたいんだ。
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