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第31話 運命
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早川さんが退職したことを聞いてから、ずっと彼のことが気になっていた。
なぜ退職をしたのか、今どこにいるのか。
無事に生きていてくれればいい。そう思う自分もいるけど、やっぱりもう一度会いたかった。
会ってちゃんと確かめたかった、自分の気持ちを。
連絡先はあるのに、聞けばすぐ済む話なのに、なぜかできない。
自分で見つけたい。きっと運命があるなら、また私たちは出会えるはず。
そう思っていた。
***
それから、初めて会ったあのバーに行ってみた。
何回か行ってみたけど、早川さんは現れなかった。
引っ越しでもしてしまったのだろうか……。
──会いたい
ただその気持ちが募っていくばかりだった。
***
それから仕事が忙しくなり、沢村さんとしていた約束も果たせないまま数か月たち、派遣先の会社からは正式に社員として採用したいと言われていた。
私はその会社に改めて入社し、様々なカップルの新しい門出をサポートする事に徹していた。
やっと、腰を据えて仕事ができ、人の幸せに触れられるこの仕事と巡り合えて本当によかったと思えた。
私の幸せ……それはなんなんだろう。
未だによくわからない。
そして私はふと、休みの日に美術館に行った。
早川さんと二回目に行った場所。
展示されているものは変わっていた。
ゆっくりとあの時を思い出しながら中を歩く。
あの時一緒に見た海の風景画があった場所に行った。
今は空の絵が飾られている。
それはまるで、二人で屋上で眺めていた青い空のようだった。
「この絵、動いているように見えませんか?」
突然後ろから話しかけられた。
この声……
振り向くとそこには、あの時より少し逞しく感じる彼が立っていた。
「早川さん!!」
思わず大きな声を出してしまって、周囲の人に睨まれた。
早川さんは声を潜めて少し笑っていた。
私がずっと、ずっと求めていたのは、この人だったんだとこの時わかってしまった。
耐えきれずに涙が溢れてきた。
早川さんがハンカチを差し出してくれた。
私はそれで目を抑えて、そのまま美術館の外に二人で出た。
「ずっと会いたかったんです……」
泣きながら本音があふれてくる。
「俺も会いたかったよ、春日さんに」
あの時より、爽やかな早川さんの笑顔が眩しかった。
***
その後、二人で近くのベンチに座った。
「ずっと連絡しなくてごめん」
「いえ……私も新しい仕事に慣れることに精一杯で、自分の気持ちを確かめることもできてませんでした」
こうやって再会できて、この人と同じ場所にいられる、それだけで私は全て満たされる。
「俺もあの後会社辞めて別の会社入って、仕事覚えるのに精一杯だった」
「今はどんなお仕事されてるんですか?」
「住宅メーカーだよ」
「え!そうなんですね、なんか意外です!」
「なんで?」
なんでと言われても……。
一人で屋上で煙草を吸っているイメージで固定されているからだ。
「もっと自由に動くお仕事をされてるのかなって思っただけです」
「俺ってそんなに安定してないんだな」
そういう意味ではないんだけど!
「春日さんは今どんな仕事してるんだっけ?」
「ブライダル関係の仕事です」
「別れさせ屋から、ブライダルか」
早川さんが少し微笑んだ。
「もう別れさせ屋の話はやめてください」
「ごめん」
だんだんと陽が落ちてくる。
「そろそろ帰ろうか」
早川さんが立ち上がった。
「え!!」
「なんかまずい?」
肝心のことが何も話せてない……。
「もういいです」
とにかく再会できた。
これから連絡もしやすくなった。
今日はこれでよし。
「ごめん、ちょっとからかっただけ。ちゃんと話そう」
早川さんは私に手を差し出した。
「はい」
私はその手をとった。
手を繋いで私は早川さんの行く先へ向かった。
なぜ退職をしたのか、今どこにいるのか。
無事に生きていてくれればいい。そう思う自分もいるけど、やっぱりもう一度会いたかった。
会ってちゃんと確かめたかった、自分の気持ちを。
連絡先はあるのに、聞けばすぐ済む話なのに、なぜかできない。
自分で見つけたい。きっと運命があるなら、また私たちは出会えるはず。
そう思っていた。
***
それから、初めて会ったあのバーに行ってみた。
何回か行ってみたけど、早川さんは現れなかった。
引っ越しでもしてしまったのだろうか……。
──会いたい
ただその気持ちが募っていくばかりだった。
***
それから仕事が忙しくなり、沢村さんとしていた約束も果たせないまま数か月たち、派遣先の会社からは正式に社員として採用したいと言われていた。
私はその会社に改めて入社し、様々なカップルの新しい門出をサポートする事に徹していた。
やっと、腰を据えて仕事ができ、人の幸せに触れられるこの仕事と巡り合えて本当によかったと思えた。
私の幸せ……それはなんなんだろう。
未だによくわからない。
そして私はふと、休みの日に美術館に行った。
早川さんと二回目に行った場所。
展示されているものは変わっていた。
ゆっくりとあの時を思い出しながら中を歩く。
あの時一緒に見た海の風景画があった場所に行った。
今は空の絵が飾られている。
それはまるで、二人で屋上で眺めていた青い空のようだった。
「この絵、動いているように見えませんか?」
突然後ろから話しかけられた。
この声……
振り向くとそこには、あの時より少し逞しく感じる彼が立っていた。
「早川さん!!」
思わず大きな声を出してしまって、周囲の人に睨まれた。
早川さんは声を潜めて少し笑っていた。
私がずっと、ずっと求めていたのは、この人だったんだとこの時わかってしまった。
耐えきれずに涙が溢れてきた。
早川さんがハンカチを差し出してくれた。
私はそれで目を抑えて、そのまま美術館の外に二人で出た。
「ずっと会いたかったんです……」
泣きながら本音があふれてくる。
「俺も会いたかったよ、春日さんに」
あの時より、爽やかな早川さんの笑顔が眩しかった。
***
その後、二人で近くのベンチに座った。
「ずっと連絡しなくてごめん」
「いえ……私も新しい仕事に慣れることに精一杯で、自分の気持ちを確かめることもできてませんでした」
こうやって再会できて、この人と同じ場所にいられる、それだけで私は全て満たされる。
「俺もあの後会社辞めて別の会社入って、仕事覚えるのに精一杯だった」
「今はどんなお仕事されてるんですか?」
「住宅メーカーだよ」
「え!そうなんですね、なんか意外です!」
「なんで?」
なんでと言われても……。
一人で屋上で煙草を吸っているイメージで固定されているからだ。
「もっと自由に動くお仕事をされてるのかなって思っただけです」
「俺ってそんなに安定してないんだな」
そういう意味ではないんだけど!
「春日さんは今どんな仕事してるんだっけ?」
「ブライダル関係の仕事です」
「別れさせ屋から、ブライダルか」
早川さんが少し微笑んだ。
「もう別れさせ屋の話はやめてください」
「ごめん」
だんだんと陽が落ちてくる。
「そろそろ帰ろうか」
早川さんが立ち上がった。
「え!!」
「なんかまずい?」
肝心のことが何も話せてない……。
「もういいです」
とにかく再会できた。
これから連絡もしやすくなった。
今日はこれでよし。
「ごめん、ちょっとからかっただけ。ちゃんと話そう」
早川さんは私に手を差し出した。
「はい」
私はその手をとった。
手を繋いで私は早川さんの行く先へ向かった。
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