【完結・番外編追加中】三十路の社畜OLが出会った翌日に八才年下男子と結婚した件につきまして

七転び八起き

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番外編

そんな気持ちはいらない4

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 勇哉があの女で遊んでいる。
 新しいおもちゃを見つけたように。

 心なしか生き生きしている。
 何がそんなに楽しいんだ……?
 理解不能だ。

 仮にも弟の結婚相手。
 見向きもされてない。
 勇哉も愛に飢えている。

 何がそんなに二人を惹きつけるのか全くわからない。
 だから、連れて行くつもりもなかった出張に同行させた。

 その女は一歩引いた場所から行動している。
 そして、表面的には冷静だ。
 自分に与えられた業務をただこなしている。
 思ったよりまともな奴で、少し安心している自分もいた。

 取引先でのトラブルにも自ら進んで対処して、うちの会社の信用をほんの少しだが上げた。
 それは評価する。
 あくまで一社員として。

 では次はどうだ?

 また試してみる事にした。

 ──が

 言い寄られている。
 そして困っている。

 前職から、おそらく社内の業務だけだったんだろう。
 助ける義理なんてない。
 放っておけばいい。

 ──なのに

「申し訳ありません。林は秘書に就いたばかりでこのような会に不慣れなので、また次の機会にさせて頂いてよろしいでしょうか」

 口を挟んでしまった。
 なぜだかわからない。
 なんで突き放そうとしている女に手を差し伸べたのか。

 ただ、気づいた。
 自分の中に新しい感情が密かに芽生えていたことに。

 ◇

 同じホテルに宿泊予約をしたかと思いきや、近隣の地味なビジネスホテルに予約をとっていた。
 部は弁えているというわけか。

「私は手を抜くつもりはない。そして勇哉も君を追い詰めるだろう。それでもまだ足掻くのか?」

 そう警告をすると、真っ直ぐな瞳を向けた。

「私は勇凛さんが側にいてくれれば、どんな困難も乗り越えます」

 傷が疼いた。

 なんで俺はあの時、同じことができなかったのか──

 俺が弱かったからだ。
 彼女も察していた。
 お互いの関係を守るために逆境に立ち向かう、そんな関係にはなれなかった。

 だから、二人を引き離すことにだんだんと躊躇し始めていた。
 同じ傷を負わせたくない。
 そう思ってしまった。

 ここで俺は負けていたのかもしれない。

 ◇

 ──朝

 気怠さで目が覚めた。

 心なしか体が熱い。
 喉が痛む。

 風邪か?

 自分の体調なんて後回しだ。
 今日やるべきことをやらないといけない。

 福岡から東京にすぐに帰った。

 ◇

 結構熱が上がっている。
 足元がふらつく。

 秘書課に向かった。
 彼女がモニターに向かって入力作業をしている。

「会議資料を」
「はい、こちらです」

 資料を手渡された時、指が触れた。

「副社長、熱がありますか……?」

 気づかれてしまった。

「問題ない」


 ──午後の会議

 会議の最中はなんとか耐えていた。
 体の節々が痛む。
 会議が終わって社員が会議室から全員出ていった後、一気にその反動がきた。

「お休みになられてはどうでしょう」

 心配されている。
 情けない。

「……そうはいかない。俺は失敗は許されない」

 俺は突き進まないといけない。
 そうでないと自分を保っていられなくなるほどに、歪んでいた。
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