ダイヤの首輪─先生の歪んだ愛に囚われて─

七転び八起き

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第四章 従弟

第51話

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『俺から離れないで』

 遼君が言った言葉。

 遼君が勝手に近寄ってきただけで、私はずっと避けていたのに、まるでずっと側に居たかのような。

 先生とこうなってしまったタイミングで、言ってくるなんてずるいよ。卑怯だよ。
 先生にそっくりな顔をして、泣きそうな顔をして。

 ──数日後、私は無意識に母校に向かっていた。

 何も先生にメッセージは送れてない。
 でも、ただ先生に会いたかった。
 どこかのタイミングで少しでも会えたら──

 学校の事務室で聞いてみたら、先生は今日研修でいないとの事だった。

 仕方がない。
 諦める事にした。

 どうしても家に帰る気になれなくて、電車で遠くに向かった。
 何となく海を見たくなった。

 海の近くの駅を出ると、潮の香りと、夏の温かい風と、眩しい光が、周囲を包んでいた。

 私は改札を出て、ただ地平線を眺めていた。

 あの時、三年会わなかった。
 それでも何とか乗り越えた。

 あの時は私達は気持ち繋がっていた。
 でも今は気持ちが離れてしまっている……。

 そして、私はあの時の私とは違う。
 先生の事をもっともっと知ってしまった。
 先生が心にも体にも刻みこまれている。
 まるで、半身を失ったような、そんな虚しさがあった。

 今先生は何を考えてるの?
 怒っててもいい、嫌いになってもいい、だから、私の前からもう居なくならないでほしかった。

 その後、しばらく何も考えずに海を見た後、帰る事にした。

 電車の中でウトウトして、そのまま寝てしまった。

 ──ふと気がつくと、夜の海にいた。

 さっきの海だ。
 月が空でぼんやり光っている。

 その下に先生がいた。

『先生!』

 でも声が出なかった。
 届かなかった。

 先生はずっと海を見ていた。

 たとえ夢の中でいいから、私を抱きしめて。私を見て。


 ──目を覚ました時、目から涙が溢れていた。

 電車から降りて、自己嫌悪に陥った。
 先生に秘密にして傷つけたのに、そんな事を思った自分に。

 最寄駅で降りて家に向かって歩いていた。

 ぽつぽつと雨が降ってきた。
 段々と雨が強くなって、私はいつの間にか全身が濡れていた。
 でも、もうどうでもよくなっていた。
 何もかも感情を雨に流したかった。

 その時、ふと傘を差しかけられた。

 振り返ったら──先生だった。

「先生!!」

 私は先生を抱きしめた。

「先生……ごめんなさい。先生を傷つけてしまって。私が全部悪いんです。許さなくていいから、側に居させてください」

 でも先生は何も言ってくれない。
 動かない。

 恐る恐る顔を見たら──

 遼君だった。
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