ダイヤの首輪─先生の歪んだ愛に囚われて─

七転び八起き

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第五章

第57話

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 その日、私は一大決心をした。

 先生が完全にオフの日、私は──

 先生を自宅に招いた。
 先生にそれを伝えた時、かなり動揺していた。
 うちの家族にどう思われるか、先生は心配していた。

 先生がこれまで私にしてきた事を、先生は色々考えて悩んで後悔したりもしていたと聞いて、私の事をちゃんと考えてくれていたのが嬉しかった。

 私は自分の家庭の事を今まで全く話していなかった。
 先生は担任だったから、私の家族構成は知っている。

 その日、先生は車を遠くのパーキングに停めて、いつもより少しフォーマル寄りの服装で来て、見た時笑ってしまった。

 ゆっくり二人で家まで歩いて、私は先生を迎えた。
 先生は今まで見たことがないくらい緊張した面持ちだった。

 先生を家に入れて、先生にスリッパを渡した。
 先生はそれを履いて恐る恐る中に入った。
 リビングに先生を連れて行った時、先生の足が止まった。

 部屋の片隅に飾ってある仏壇を見つめていた。
 先生の表情が一変した。

「……何があった?」

 私は父子家庭だった。
 母は、私が中学生の時、不倫相手のところに行ってしまった。

 私の父は──

 先生と離れて一年経った夏の日に、車の衝突事故で他界した。
 それは先生には言ってなかった。
 父とは一緒に暮らしていだけど、ほとんど会話がなかった。
 わざわざ言おうとも思わなかった。

 その事実をやっと伝えた。

「お前、その日から一人で……?」
「はい。でも、父は仕事でほとんど家を空けていたので、それまでも実質一人でしたよ」
「お前……金はどうしてるんだよ」
「えーと、父が結構残してくれていて、それで暮らしてます」

 先生は、何も言わず呆然としていた。
 先生の気持ちを考えると──結構ショックを受けているだろう。
 家は戸建てだし、ずっと家に家族が居たと思ってたはず。

「先生!しっかりしてください!」

 先生は我に帰った。

「ごめん。ちゃんとわかってなかった」

 すごく複雑な表情をうかべている。

「先生、それより私の部屋に来てください!」

 私は先生を部屋に導いた。
 部屋には高校の時のクラスの集合写真が飾ってあった。
 先生と私が一緒に写っている写真はこれだけだった。

 私が好きな本が並べてあって、幼いころに買ってもらったぬいぐるみがある。
 ただそれだけの部屋。

 先生はじっとただ眺めていた。

「先生、そんな事より今日お願いがありまして……」

 先生はやや戸惑った表情で私を見た。

 私は勇気を振り絞った。

「先生を、今日だけ私のものにしていいですか……?」

 二人の時間が、その時止まった。
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