ダイヤの首輪─先生の歪んだ愛に囚われて─

七転び八起き

文字の大きさ
64 / 83
第六章

第64話

しおりを挟む
 その日、私はまたパソコンの前に座っていた。
 一次の時は、とにかくソワソワしていた。

 でも今は、どっちの結果でも受け入れられる。
 私はできる限りのことをやった。
 もう、先生を追いかけるだけ、という気持ちも変わってきた。

 結果が出たら先生にすぐメッセージをする。

 先生と離れた三年間、とにかく必死だった。
 そして、再会してから先生にもサポートしてもらった。

 そして──

 時間になって、発表サイトを開いた。

 * * *

 授業中、とにかく結果が気になった。
 ただ、仕事はちゃんとこなさないといけない。
 とにかく集中しようとした。

 いつもと少し様子が違うのを感じたのか、遼が話しかけてきた。

「もう休んだら?」

 そんな事で休めるか。

 ──いや、重大だ。俺にとっては。

 ただ、あいつもこの仕事を目指してる以上、俺はちゃんとこの仕事に集中したい。

「お前は自分の心配だけしてろ」

 遼はキレていたが、どうでもよかった。

 結果がどちらにしても、あいつが選ぶ道をただ見守るつもりでいる。
 ただ、あいつが俺と会えない間に選んだ道──
 ここまで頑張ってきたからには、受かってほしい。

 でも、結果発表の時間は過ぎてるのに連絡が来ない。

 どうした?
 落ちたのか?
 聞きにくいが気になる。

 その時、白乃から着信があった。

「どうだった!?」

 自分でも驚くくらい大きな声が出た。

『先生……私、こっちに来ちゃいました』
「は?」
『先生の車の近くに居ます』

 俺は急いで職員玄関から駐車場に向かった。
 そこには、息を切らした白乃がいた。

「大丈夫か??」

 白乃が下を向いていて表情がわからない。
 その時、白乃が俺の方を見た。

「先生、合格しました!!」

 ──その瞬間

 あの頃の白乃が見えた。
 あの、俺から目を逸らしていた時の。

 今は、目をキラキラとさせて、俺を見ている。

「……おめでとう。よく頑張った」

 白乃は涙を流しながら喜んでいる。

 お前が頑張ったから、この道が開けた。
 とうとうここまで来た。

 来年になったら、白乃も教員。
 もう、先生と生徒は終わりだ。

 やっと、本当に対等な立場になれる。

 どんどん前に進む白乃を見て、少し切ない気持ちになりつつも、俺の為にここまでできるやつなんてこの世にはいないだろうと、この時やっと『運命』って言葉を信じる事ができた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

優しい雨が降る夜は

葉月 まい
恋愛
浮世離れした地味子 × 外資系ITコンサルのエリートイケメン 無自覚にモテる地味子に 余裕もなく翻弄されるイケメン 二人の恋は一筋縄ではいかなくて…… 雨降る夜に心に届いた 優しい恋の物語 ⟡☾·̩͙⋆☔┈┈┈ 登場人物 ┈┈┈ ☔⋆·̩͙☽⟡ 風間 美月(24歳)……コミュニティセンター勤務・地味でお堅い性格 雨宮 優吾(28歳)……外資系ITコンサルティング会社勤務のエリートイケメン

【続編】ダイヤの指輪─先生と私の歩む未来─

七転び八起き
恋愛
◇こちらの作品は以下の作品の続編です。 「ダイヤの首輪─先生の歪んだ愛に囚われて─」https://www.alphapolis.co.jp/novel/306629704/557024090 ◇あらすじ 主人公の水島白乃(みずしましの)と、婚約者の夏雄先生のその後の物語です。 まだちゃんとした夫婦になってない二人はどうなるのか。 そして、先生の従弟の遼が出会った不思議な女の子、篠山あやめ。彼女は遼にどう影響を与えるのか。 それぞれの未来が動き出す。 ◇前作のあらすじ◇ 主人公の水島白乃(みずしましの)は、高校三年生の時の担任の夏雄先生に恋をした。 卒業して再会した夏雄は別人のようだった。 夏雄の歪んだ愛、執着に翻弄される中、白乃はさらに夏雄に惹かれいく。 様々な困難を乗り越え、二人は結ばれた。

溺婚

明日葉
恋愛
 香月絢佳、37歳、独身。晩婚化が進んでいるとはいえ、さすがにもう、無理かなぁ、と残念には思うが焦る気にもならず。まあ、恋愛体質じゃないし、と。  以前階段落ちから助けてくれたイケメンに、馴染みの店で再会するものの、この状況では向こうの印象がよろしいはずもないしと期待もしなかったのだが。  イケメン、天羽疾矢はどうやら絢佳に惹かれてしまったようで。 「歳も歳だし、とりあえず試してみたら?こわいの?」と、挑発されればつい、売り言葉に買い言葉。  何がどうしてこうなった?  平凡に生きたい、でもま、老後に1人は嫌だなぁ、くらいに構えた恋愛偏差値最底辺の絢佳と、こう見えて仕事人間のイケメン疾矢。振り回しているのは果たしてどっちで、振り回されてるのは、果たしてどっち?

「好き」の距離

饕餮
恋愛
ずっと貴方に片思いしていた。ただ単に笑ってほしかっただけなのに……。 伯爵令嬢と公爵子息の、勘違いとすれ違い(微妙にすれ違ってない)の恋のお話。 以前、某サイトに載せていたものを大幅に改稿・加筆したお話です。

同期に恋して

美希みなみ
恋愛
近藤 千夏 27歳 STI株式会社 国内営業部事務  高遠 涼真 27歳 STI株式会社 国内営業部 同期入社の2人。 千夏はもう何年も同期の涼真に片思いをしている。しかし今の仲の良い同期の関係を壊せずにいて。 平凡な千夏と、いつも女の子に囲まれている涼真。 千夏は同期の関係を壊せるの? 「甘い罠に溺れたら」の登場人物が少しだけでてきます。全くストーリには影響がないのでこちらのお話だけでも読んで頂けるとうれしいです。

旦那様の愛が重い

おきょう
恋愛
マリーナの旦那様は愛情表現がはげしい。 毎朝毎晩「愛してる」と耳元でささやき、隣にいれば腰を抱き寄せてくる。 他人は大切にされていて羨ましいと言うけれど、マリーナには怖いばかり。 甘いばかりの言葉も、優しい視線も、どうにも嘘くさいと思ってしまう。 本心の分からない人の心を、一体どうやって信じればいいのだろう。

Promise Ring

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
浅井夕海、OL。 下請け会社の社長、多賀谷さんを社長室に案内する際、ふたりっきりのエレベーターで突然、うなじにキスされました。 若くして独立し、業績も上々。 しかも独身でイケメン、そんな多賀谷社長が地味で無表情な私なんか相手にするはずなくて。 なのに次きたとき、やっぱりふたりっきりのエレベーターで……。

思い出さなければ良かったのに

田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。 大事なことを忘れたまま。 *本編完結済。不定期で番外編を更新中です。

処理中です...