性悪聖者と悪魔のしもべ

ハリエニシダ・レン

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聖者との二回目

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十数日振りに、聖者の元を訪れた。
悪魔たちに散々嬲られ、穢れを溜めた身体で。

「よお」

ノックもせずにドアを開けて宿の部屋の中に入った俺を、聖者は眉を上げて見た。

「随分遅かったな。直ぐにでも我慢できなくなると思っていたが」

「…んな訳あるか」

床を見ながら小さく吐き捨て、聖者に近づく。

「ヤろうぜ。…相手してくれんだろ?」

聖者を見上げ、首に腕を回す。
聖者の手が、俺を抱きしめキスをした。

「相変わらずせっかちだな?」

面白そうに笑った聖者に、背中を押されベッドの上に座らされる。

…そんなこと言いつつ、こいつだってヤる気じゃないか

少しほっとして、隣に座った聖者に俺からキスをする。
この前は、少し受け身になり過ぎた。
もっと積極的にした方が、こいつを穢せるかもしれない。
そんな打算で。

だって前回、男の俺にあれだけいやらしい事をした癖に、こいつの聖痕にはカケラの曇りも出なかった。
それはこいつがしたい事だけをした所為だとしたら。そうだとしたら、予想外の、するつもりもなかった事を俺にされたら穢せるんじゃないか?

頑張って立てた、そんな仮説。
…あまり自信はないけれど。
でも前回と同じことをするよりはマシだ。

口を開けて、聖者の唇を舐める。
笑いながら口を開いた聖者の口に、舌を差し込む。

…笑ってればいいさ。
俺はあんたを、絶対に堕としてやる…

聖者を抱きしめて舌を絡める。
悪魔たちで試したやり方で。


こいつに会うまで俺は悪魔たちに抱かれ続けてきたけれど、基本的に受け身だった。
悪魔にひたすら穢された身体をこいつに抱かせる事ができれば、こいつを堕落させられると思っていたから。
だから自分からどうこうしようとは思わなかった。

けど前回の事で、それじゃダメだとわかった。
ただヤられるだけじゃ、こいつは穢せない。
…穢せるかもしれないけれど、途方もなく時間がかかりそうだ。

だから、舌を絡める。
吐息を混じえて。
俺が、女にされたら興奮するだろうやり方で。

「っ…んっ……」

煽情的に見えるように角度を変えながら。
前回縛っていた髪は今日は下ろしてきた。俺の女顔に拍車をかけるとわかっていて。

好都合だ。
どんなに女っぽく見えようが…俺は男なんだから…。

…男の俺に、欲情しろよ。
男の俺を、求めろよ。心から。
神とか世界とか、どうでもよくなるくらいに…。

そう念じながら。
聖者の手が俺の頬を包みキスに応える。
肉厚な、男らしい唇。

「っ…んっ…聖者……」

呟くと、何故か聖者が笑った。

「どうせ呼ぶなら名前で呼べ」

悪戯っぽい笑み。

名前…こいつの…?

じっと見つめると、聖者は目を細めて笑った。

「マトンだ」

「…マトン(羊肉)?」

思わず眉が寄る。悪趣味な名前だ。
迷える羊。
神への生け贄。

「そうだ。そう呼べ」

首筋にキスされる。

「おまえは?」

だんだん下へとキスしながら、聖者が尋ねた。

………憮然とする。
「羊肉」なんて、あきらかに偽名だろう名前を名乗っておいて、いけしゃあしゃあと俺の名前を聞くこいつが憎たらしい。

「………………シェボン(山羊肉)」

ムカつきながらそう答えると、何故かマトンは面白そうに笑った。

「シェボンか。それはいい」

もちろん偽名だ。
「山羊肉」なんて名前、ある訳がない。そうわかっているだろうにマトンは楽しそうに繰り返す。

「シェボン……」

囁くようにそう呼ばれて、ゾクリとしたことに驚く。

ヤバい。
こいつが俺の名前としてそう呼んだだけで、なんかゾクっときた。
…ちょっとした意趣返しのつもりだったけど、本名を教えなくてよかったかもしれない。

「…シェボン」

そう囁きながら、胸へのキスを繰り返すマトン。思わずマトンを抱きしめる手に力がこもる。

「っ…マトンっ…」

せめてこいつも、同じ気分にさせてやるっ…

そんな思いで呼んだのに、マトンは笑った。なんだか嬉しそうな笑い声に、胸がざわつく。

なんで…だよ……

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