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10 手を離そうと思っていたのに
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姉さんの手を離そうと思ってた。
俺の気持ちを知らなかった頃みたいに、俺に安心しきってる姉さんを見て。
こんな姿をずっと見せてくれるのなら、姉さんへの想いを封印しようって。
こんなにも近くに姉さんを感じられるのなら、一生切れない姉弟っていう絆に縋って、姉さんへの想いは忘れた振りをして、無くした振りをして生きていこうって。
俺の隣で何も心配ないって顔でうたた寝する姉さんを見て、そう思った。
それでも未練たらしく二階までは手を繋いで上って。でも、なんとか頑張って手を離して。お別れの挨拶のつもりで「おやすみ」って言った。
泣きそうな気持ちは上手く隠したつもりだったのに、姉さんは距離を取ろうとした俺に一歩近づいた。
「ダメだ」って「離せなくなる」ってそう言ったのに、姉さんは俺に近づいた。
「いいわよ別に。そんなこと」
そんな軽く言わないで欲しい。
「そうじゃない…そうじゃないんだ…」
分かって欲しい。俺がおかしいくらいに姉さんを好きなこと。このままだったら姉さんは…幸せになれなくなっちゃう…。
涙が止まらなかった。
お願いだから逃げて姉さん。
こんな異常な弟から逃げて。
そう思っても、姉さんの服をつかむ手は離せなくて。
泣き続ける俺に、姉さんは「泣き虫ね」と苦笑した。姉の顔で。
宥めるように、何度も背中を軽く叩かれる。ダメなんだ、姉さん。そんな風に俺に油断したらダメなんだよ…。
「俺…姉さんを…一生離せなくなる………」
頑張って離れようとしてるのに、姉さんはクスリと笑った。
「バカねぇ」
軽やかに。
「ほんっ…本当にっ…姉さん…離せなくなっちゃう…」
信じてよ姉さん…。
これ以上側にいたら、本当に俺、一生姉さんを離せなくなっちゃうから。
「いいわよ」
なのに、なんてことないって調子で頭を撫でられた。
「いいわよ、別に」
そんな訳ない。
「っ…ダメ…だよ…あんなに嫌がってたじゃん…」
俺にされるたびに、嫌がってたじゃん。
「しょうがないわ。透はお姉ちゃん子だもの」
あんなの弟が姉にすることじゃないっ!
「そんなのじゃ済まないって言ってーー」
なんとか分かってもらおうとしたのに、姉さんはいきなり俺の額にキスをした。
今、姉さんからキスされた?
姉さんから、俺に?
びっくりし過ぎて涙が止まった。
「いいわよ。透は私の可愛い弟だもの」
「っ…弟じゃ済まないって言ってーー」
もうわかってよ!俺はーー
「でも、弟でもいてくれるでしょう?」
今度は鼻先にキスされた。
夢…じゃない…?
姉さん…ただの弟じゃなくてもいいの…?俺…姉さんのこと本気で好きなんだよ…?
「…本当に…?姉さん…本当に…?」
夢…かな…。
だったら、それでもいい
…二度と覚めない夢…
再び溢れ出した涙を、姉さんの手が拭う。
「こんな泣き虫な子、放っておけないわ」
…姉さん……
「…こういうことされても?」
唇にキスした。
試すように。
俺がしたいのは、こういうことだよ?
嫌じゃないの?
「ええ」
「……こういうこと、されても?」
首すじを、強く吸った。
これでも、逃げない?
「ええ」
そんな余裕の表情をして。
………もしかして、この程度で済むと思ってるの?姉さん。
「………こういうこと、されても?」
胸を服の上からつかんだ。
…逃げたらいいよ、姉さん。
いつもみたいに「嫌っ」ってーー
「ええ」
っ…何、笑ってんだよ。バカ。
「…ベッドに押し倒して、姉さんを抱いても?何度も姉さんの中を抉って、姉さんの中で出しても?嫌っていうほど抱いても!?」
「ええ」
強く肩をつかむ。
本気だって、脅しじゃないって分かって欲しくて。
「っ!姉さん…これが…最後の機会だよ…今なら…今なら逃げていい…追わない……けど…もし…もし…もう一度頷いたら…」
「いいわよ透。離さなくていい」
「っ…!!!」
衝動的に、キツく抱きしめた。
もう…無理だ…ごめん…姉さん…もう…離せない…ごめん…
「姉さんのバカっ…一生…もう一生…離してなんかやれないからっ…」
ごめん…本当に…ごめんっ…
姉さんのこと…大事に思ってる…凄くっ…でも…
「いいわよ透。だから泣かないで」
この日俺は、姉さんから幸せな未来を奪った。
俺の気持ちを知らなかった頃みたいに、俺に安心しきってる姉さんを見て。
こんな姿をずっと見せてくれるのなら、姉さんへの想いを封印しようって。
こんなにも近くに姉さんを感じられるのなら、一生切れない姉弟っていう絆に縋って、姉さんへの想いは忘れた振りをして、無くした振りをして生きていこうって。
俺の隣で何も心配ないって顔でうたた寝する姉さんを見て、そう思った。
それでも未練たらしく二階までは手を繋いで上って。でも、なんとか頑張って手を離して。お別れの挨拶のつもりで「おやすみ」って言った。
泣きそうな気持ちは上手く隠したつもりだったのに、姉さんは距離を取ろうとした俺に一歩近づいた。
「ダメだ」って「離せなくなる」ってそう言ったのに、姉さんは俺に近づいた。
「いいわよ別に。そんなこと」
そんな軽く言わないで欲しい。
「そうじゃない…そうじゃないんだ…」
分かって欲しい。俺がおかしいくらいに姉さんを好きなこと。このままだったら姉さんは…幸せになれなくなっちゃう…。
涙が止まらなかった。
お願いだから逃げて姉さん。
こんな異常な弟から逃げて。
そう思っても、姉さんの服をつかむ手は離せなくて。
泣き続ける俺に、姉さんは「泣き虫ね」と苦笑した。姉の顔で。
宥めるように、何度も背中を軽く叩かれる。ダメなんだ、姉さん。そんな風に俺に油断したらダメなんだよ…。
「俺…姉さんを…一生離せなくなる………」
頑張って離れようとしてるのに、姉さんはクスリと笑った。
「バカねぇ」
軽やかに。
「ほんっ…本当にっ…姉さん…離せなくなっちゃう…」
信じてよ姉さん…。
これ以上側にいたら、本当に俺、一生姉さんを離せなくなっちゃうから。
「いいわよ」
なのに、なんてことないって調子で頭を撫でられた。
「いいわよ、別に」
そんな訳ない。
「っ…ダメ…だよ…あんなに嫌がってたじゃん…」
俺にされるたびに、嫌がってたじゃん。
「しょうがないわ。透はお姉ちゃん子だもの」
あんなの弟が姉にすることじゃないっ!
「そんなのじゃ済まないって言ってーー」
なんとか分かってもらおうとしたのに、姉さんはいきなり俺の額にキスをした。
今、姉さんからキスされた?
姉さんから、俺に?
びっくりし過ぎて涙が止まった。
「いいわよ。透は私の可愛い弟だもの」
「っ…弟じゃ済まないって言ってーー」
もうわかってよ!俺はーー
「でも、弟でもいてくれるでしょう?」
今度は鼻先にキスされた。
夢…じゃない…?
姉さん…ただの弟じゃなくてもいいの…?俺…姉さんのこと本気で好きなんだよ…?
「…本当に…?姉さん…本当に…?」
夢…かな…。
だったら、それでもいい
…二度と覚めない夢…
再び溢れ出した涙を、姉さんの手が拭う。
「こんな泣き虫な子、放っておけないわ」
…姉さん……
「…こういうことされても?」
唇にキスした。
試すように。
俺がしたいのは、こういうことだよ?
嫌じゃないの?
「ええ」
「……こういうこと、されても?」
首すじを、強く吸った。
これでも、逃げない?
「ええ」
そんな余裕の表情をして。
………もしかして、この程度で済むと思ってるの?姉さん。
「………こういうこと、されても?」
胸を服の上からつかんだ。
…逃げたらいいよ、姉さん。
いつもみたいに「嫌っ」ってーー
「ええ」
っ…何、笑ってんだよ。バカ。
「…ベッドに押し倒して、姉さんを抱いても?何度も姉さんの中を抉って、姉さんの中で出しても?嫌っていうほど抱いても!?」
「ええ」
強く肩をつかむ。
本気だって、脅しじゃないって分かって欲しくて。
「っ!姉さん…これが…最後の機会だよ…今なら…今なら逃げていい…追わない……けど…もし…もし…もう一度頷いたら…」
「いいわよ透。離さなくていい」
「っ…!!!」
衝動的に、キツく抱きしめた。
もう…無理だ…ごめん…姉さん…もう…離せない…ごめん…
「姉さんのバカっ…一生…もう一生…離してなんかやれないからっ…」
ごめん…本当に…ごめんっ…
姉さんのこと…大事に思ってる…凄くっ…でも…
「いいわよ透。だから泣かないで」
この日俺は、姉さんから幸せな未来を奪った。
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