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サバイディー、南方上座部仏教国の夕陽 ㉘
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第一章 2001年 春
二十八
◆バンビエンリゾートの山から見たナムソン川とバンビエンの町
ナムソン川の浅瀬でタイヤチューブにお尻を沈めて緩やかな川の流れに身を任せ、仰ぎ見る青空や自然に囲まれた風景を見ながら、しばらく物思いにふけった結果、日本での暮らしは急ぎすぎていると結論付けた。
そして数分間冷静な感慨に耽ったが、間もなく人間は何故生きているのかという哲学的な疑問などは、そのような疑問を持つこと自体が愚かしいのではないかと、素朴な川の流れに身を任せていて思うのであった。
僕達三人はときどき水に注意をしながら写真を撮り合ったあと、それぞれが勝手にゆっくりと川を下流へと流れて行った。
HさんもN君もこんな気持ちの良い川下りで、一体何を考えているのだろう?
N君は帰りに立ち寄るバンコクでの酒池肉林を想像しているのだろうか?(笑)
Hさんはこの町にずっといて、タビソックゲストハウスで働かせてもらおうかなと直情的なことを言っていたけど、日本での生活に満足していないのだろうか?
そんなことを考えながら、僅か一時間半余りの川遊びだったが、距離にしてどれ位下ったのだろうか、少し広い浅瀬が続くところでは、現地の子供たちが無邪気に遊んでいた。
僕達が流れて来たことにも余り興味を示さず、川に飛び込んだり潜ったりしながら、キャッキャッと楽しそうに声をあげて遊んでいる。
Hさんはタイヤチューブを浮き輪のように身を沈めて泳ぎ始めた。
いつしか僕たちは子供のように川遊びに夢中になっていた。
◆浮き輪で泳ぎだしたHさん(笑)
いったん岸に上がると、そこにいた子供たちがタイヤチューブを貸して欲しいというので、しばらく彼女たちが遊ぶ様子を眺めていた。
◆タイヤチューブで遊ぶ子供たち
無邪気に遊ぶ子供達にカメラを向けると、恥ずかしそうにしながら微笑んでポーズをとる。屈託のない可愛い笑顔だ。
僕はもっと下流の方まで行きたかったが、一旦岸に上がってしまうと、ふたりはもうたくさんという感じだったので、それじゃあこれくらいにしようかということになった。
子供たちからタイヤチューブを返してもらい、それを担いでレンタル店に戻るのだが、いったいここはどの辺りなのだろう。
川沿いをドンドン歩いて行くと、狭い道の両側にタライのようなものに野菜や肉を入れて売っている人達が並んでいた。
そうだここは市場の裏側なのだ。
僕達はちょうどいいところまで下ってもどってきたということである。
現地の人達は、タイヤチューブを肩に担いだびしょ濡れの僕たち三人を見て、やや怪訝そうにする人やニヤニヤ笑う人など様々であったが、市場の中を図々しく通って外に出ると、見覚えのある建物に出た。
昨日K子さんと待ち合わせをした郵便局の辺りだったのだ。
無事にタイヤチューブを返却し、「楽しかったねぇ。でもちょっと疲れたね」と、僕達は宿に帰って少し休むことにした。
宿に戻りシャワーを浴びてから下に降りてみると、Hさんがちょうど部屋から出てきたところで、「ちょっと中途半端な時間だけど、軽く食事に行こうよ」ということになり、昨夜夕食を食べたネットカフェ併設のレストランに入った。
日差しは強烈で、きっと川遊びをしている時は気が付かなかったが、これはかなり日焼けをしていると思った。
「Hさん、僕の顔日焼けしていない?」と訊くと「日焼けというより顔が真赤ですよ。酔っ払っているみたいです」と無茶苦茶なことを言うのだった。
彼女は僕と同じくらい日差しを浴びたのに全く変わらず、色白の顔に贅肉一つないボディで、僕にはじっと見ることが出来ないくらいフレッシュに映った。
強い日差しの中で二時間近くも水遊びをしたため、ふたりとも喉が渇いていて、早速ビアラオを注文して乾杯するのも忘れてグイグイと飲み干した。
二十八
◆バンビエンリゾートの山から見たナムソン川とバンビエンの町
ナムソン川の浅瀬でタイヤチューブにお尻を沈めて緩やかな川の流れに身を任せ、仰ぎ見る青空や自然に囲まれた風景を見ながら、しばらく物思いにふけった結果、日本での暮らしは急ぎすぎていると結論付けた。
そして数分間冷静な感慨に耽ったが、間もなく人間は何故生きているのかという哲学的な疑問などは、そのような疑問を持つこと自体が愚かしいのではないかと、素朴な川の流れに身を任せていて思うのであった。
僕達三人はときどき水に注意をしながら写真を撮り合ったあと、それぞれが勝手にゆっくりと川を下流へと流れて行った。
HさんもN君もこんな気持ちの良い川下りで、一体何を考えているのだろう?
N君は帰りに立ち寄るバンコクでの酒池肉林を想像しているのだろうか?(笑)
Hさんはこの町にずっといて、タビソックゲストハウスで働かせてもらおうかなと直情的なことを言っていたけど、日本での生活に満足していないのだろうか?
そんなことを考えながら、僅か一時間半余りの川遊びだったが、距離にしてどれ位下ったのだろうか、少し広い浅瀬が続くところでは、現地の子供たちが無邪気に遊んでいた。
僕達が流れて来たことにも余り興味を示さず、川に飛び込んだり潜ったりしながら、キャッキャッと楽しそうに声をあげて遊んでいる。
Hさんはタイヤチューブを浮き輪のように身を沈めて泳ぎ始めた。
いつしか僕たちは子供のように川遊びに夢中になっていた。
◆浮き輪で泳ぎだしたHさん(笑)
いったん岸に上がると、そこにいた子供たちがタイヤチューブを貸して欲しいというので、しばらく彼女たちが遊ぶ様子を眺めていた。
◆タイヤチューブで遊ぶ子供たち
無邪気に遊ぶ子供達にカメラを向けると、恥ずかしそうにしながら微笑んでポーズをとる。屈託のない可愛い笑顔だ。
僕はもっと下流の方まで行きたかったが、一旦岸に上がってしまうと、ふたりはもうたくさんという感じだったので、それじゃあこれくらいにしようかということになった。
子供たちからタイヤチューブを返してもらい、それを担いでレンタル店に戻るのだが、いったいここはどの辺りなのだろう。
川沿いをドンドン歩いて行くと、狭い道の両側にタライのようなものに野菜や肉を入れて売っている人達が並んでいた。
そうだここは市場の裏側なのだ。
僕達はちょうどいいところまで下ってもどってきたということである。
現地の人達は、タイヤチューブを肩に担いだびしょ濡れの僕たち三人を見て、やや怪訝そうにする人やニヤニヤ笑う人など様々であったが、市場の中を図々しく通って外に出ると、見覚えのある建物に出た。
昨日K子さんと待ち合わせをした郵便局の辺りだったのだ。
無事にタイヤチューブを返却し、「楽しかったねぇ。でもちょっと疲れたね」と、僕達は宿に帰って少し休むことにした。
宿に戻りシャワーを浴びてから下に降りてみると、Hさんがちょうど部屋から出てきたところで、「ちょっと中途半端な時間だけど、軽く食事に行こうよ」ということになり、昨夜夕食を食べたネットカフェ併設のレストランに入った。
日差しは強烈で、きっと川遊びをしている時は気が付かなかったが、これはかなり日焼けをしていると思った。
「Hさん、僕の顔日焼けしていない?」と訊くと「日焼けというより顔が真赤ですよ。酔っ払っているみたいです」と無茶苦茶なことを言うのだった。
彼女は僕と同じくらい日差しを浴びたのに全く変わらず、色白の顔に贅肉一つないボディで、僕にはじっと見ることが出来ないくらいフレッシュに映った。
強い日差しの中で二時間近くも水遊びをしたため、ふたりとも喉が渇いていて、早速ビアラオを注文して乾杯するのも忘れてグイグイと飲み干した。
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