(完)【R18】数学教授ウィリアムズは美しい青年の虜となる

仰木 あん

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第三話 重なる唇

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アルフレッドはカフェで一息つけると、自分の部屋へと向かい、トランクの荷物をクローゼットにしまうと、シャワーを浴びた。
シャワーを浴びながら目を綴じると、先程のチャーリーの視線を思い出す。
中性的なその顔立ち、美しさと、精悍さがあいまった雰囲気が何故か気になる。
アルフレッドには、別れてしまったが妻と子がいる。
そんな自分が?
そんな筈はないと首を振り、水飛沫を辺りに散らす。
汗を流し、バスローブを身に纏ったアルフレッドは、下半身に滾るものを感じながらも、気のせいだと自分に言い聞かし、ベッドの上で大の字になり、目を閉じた。
すると、移動の疲れもあったのだろう、直ぐに眠りに落ちていく………。


ハッと気がつくと、辺りは暗闇に包まれ、夜が訪れていたことを教えてくれている。

枕元の時計を確認すると、十時を過ぎてしまっていた。

「ああ、夕飯を食べそこなってしまったか……。」

ルームサービスをとってもよかったのだが、なんとなく夜のホテルを散策したくなり、再びスーツに身を包んだアルフレッドはホテルの最上階にある、バーラウンジを目指した。
どうやらバーラウンジはまだ営業しているようで、軽くツマミでも頼んで、空腹をまぎらわそうと、店内へと歩み入る。

「お客様、いらっしゃいませ、一名様ですか?」

黒服の支配人であろう人物が声をかけてくる。

「ああ、そうだ。」

「お煙草はお吸いになられますか?」

「ああ、喫煙席を頼む。」

アルフレッドは席に案内されると、チーズとワインを注文する。

夜景を眺めながらグラスを傾け、少し酔ってきたので、アルフレッドは店をあとにすることにした。

まだもう少しホテルを見てみたい衝動に、一階のロビーに降りると、ピアノの音が遠くから聞こえてくる。

アルフレッドはその演奏が気に入り、おとの方へと進むと、チャーリーが弾いているようだった。

酔いの勢いも手伝って、ピアノの傍まで進み、チャーリーに話しかける。

「こんばんは、またあったね。」

チャーリーはピアノの手を止め、アルフレッドに挨拶をする。

「あ、これはウィリアムズ先生、こんばんは。」

「おっとすまない続けてくれ。」

アルフレッドはチャーリーの演奏を止めたことに謝罪し、続ける様に促す。

「はい。」

「うん素晴らしい演奏だ。」

今度は小さな声で呟く様に演奏を褒める。

「ありがとうございます。」

アルフレッドは、しなやかな動きでピアノを弾くチャーリーの手を見つめていると、

「ふふ、そんなに見つめられると照れます。」

そう言いながら、アルフレッドを見つめ返してくる。

しばらく二人が見つめ合う中、チャーリーの演奏は続く……。

『ああ、なんて美しいんだろう。』

そう心で呟くアルフレッドの心を見透かしたのか、チャーリーが微笑みかけてくる。

アルフレッドは、チャーリーの持つ、美しいブルーの瞳に引き込まれる様に顔を寄せる。

チャーリーはそれを拒む素振りも見せずに、自然に二人は唇を重ねた。

その時間はおそらく数秒だったのだろうが、アルフレッドは唇から伝わる温もりに、電流が駆け巡ったような衝撃を感じた。

「す、すまない………ちょっと酔ってしまったようだ。」

我に返ったアルフレッドは、慌ててその場を去っていく。

そんな彼を追うことはせず、チャーリーは優しい微笑みをたたえ、そのまま演奏を続けるのだった。




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