完】異端の治癒能力を持つ令嬢は婚約破棄をされ、王宮の侍女として静かに暮らす事を望んだ。なのに!王子、私は侍女ですよ!言い寄られたら困ります!

仰木 あん

文字の大きさ
16 / 35

第十四話 馬車の車中にて、

翌日、朝早くからマリアはアドレー王子と共に、馬車に揺られながら、隣国のランシッグ王国を目指す。

「アドレー様、ホントに私がついて行って大丈夫ですか?お邪魔になりそうで……。」

「ん?侍女が主人に付き従うのは当たり前の事だろう?それに、何を心配しているんだ?隣国への道は舗装されて、近辺の魔物は定期的に討伐されている。それに、目的地のイデアルの巨木は、聖域だから、魔物の心配もない。だから大丈夫だよ。何より君は私が守る!」

「え?い、いや、侍女が王子に守って貰うって、おかしいですよね?逆に王子を危険から守る為に、犠牲になるのが普通では?」

「いやいや、犠牲者を出すくらいなら、君を連れて、さっさと逃げるよ私は。それに、婚約者なら自然に守れるぞ?」

「そうですね…それも良いかもしれないですね。」

「え?じ、じゃあ!」

「かもです、か・も・で・す!あ・く・ま・で・も!…まだもう少しだけ、考えさせてください。すみません。」

「い、いや、良いんだ。待つとも!」

色々な葛藤を含んだ表情を作り笑顔で隠すマリアと、ウキウキ気分を必死に隠すアドレー王子、対象的な二人を乗せて、馬車はランシッグ王国を目指すのでした。


        ~~~2日後~~~

馬車はランシッグ王国に入る。

「国境を越えましたね。」

「ん?ああ、マリア、疲れてないか?」

「はい、ただ、国外に出るのは初めてでして、緊張してます。」

「はは、安心しろ、この国に私は三年留学していたからな。何より、先程の関所もスムーズに通れただろ?先に早馬で私の来ることを報せてあるから、ランシッグ王も衛兵も皆、承知しているから何も不安に思うことはないさ。」

「い、いつの間に……。」

「ただ、皆が知っていると言うことは、ランシッグ王に挨拶に行かないと行けないというのが面倒だな。」

「アドレー様はそういう感じが苦手ですものね。」

「そうなんだ。だから兄を尊敬するよ。法皇の仕事に、第一王子としての責務、私なら耐えられそうにないからね。」

「アドレー様も、立派にお仕事をされていると思いますよ。式典を除いては。」

「最後の言葉は引っ掛かるが、まぁ、良いだろう。」

「ふふふ、すみません。あ!でも……挨拶にもしかして……。」

「ああ、同行してもらう。本当はランシッグ王に婚約者と紹介したいのだがな。」

「そうですね、それも良いかもしれないですね。」

「へ?じ、じゃあ……。」

「でも、私にも色々とありますよ?婚約破棄された過去もありますし、他にも……。もしかしたら国を追われるかもしれませんよ?」

「かまわないさ、そんなこと。」

「ん~、でもやっぱりもう少し考えます。」

「そうか……、まぁ、深く詮索はしないが、話したくなったら、話せば良いよ。」

そうこうするうちに、馬車は王都への道を順調に進んでいるのでした。


感想 2

あなたにおすすめの小説

水魔法しか使えない私と婚約破棄するのなら、貴方が隠すよう命じていた前世の知識をこれから使います

黒木 楓
恋愛
 伯爵令嬢のリリカは、婚約者である侯爵令息ラルフに「水魔法しか使えないお前との婚約を破棄する」と言われてしまう。  異世界に転生したリリカは前世の知識があり、それにより普通とは違う水魔法が使える。  そのことは婚約前に話していたけど、ラルフは隠すよう命令していた。 「立場が下のお前が、俺よりも優秀であるわけがない。普通の水魔法だけ使っていろ」  そう言われ続けてきたけど、これから命令を聞く必要もない。 「婚約破棄するのなら、貴方が隠すよう命じていた力をこれから使います」  飲んだ人を強くしたり回復する聖水を作ることができるけど、命令により家族以外は誰も知らない。  これは前世の知識がある私だけが出せる特殊な水で、婚約破棄された後は何も気にせず使えそうだ。

見た目が地味で聖女に相応しくないと言われ追放された私は、本来の見た目に戻り隣国の聖女となりました

黒木 楓
恋愛
 モルドーラ国には2人の聖女が居て、聖女の私シーファは先輩聖女サリナによって地味な見た目のままでいるよう命令されていた。  先輩に合わせるべきだと言われた私は力を抑えながら聖女活動をしていると、ある日国王に呼び出しを受けてしまう。  国王から「聖女は2人も必要ないようだ」と言われ、モルドーラ国は私を追い出すことに決めたらしい。   どうやらこれはサリナの計画通りのようで、私は国を出て住む場所を探そうとしていると、ゼスタと名乗る人に出会う。  ゼスタの提案を受けて聖女が居ない隣国の聖女になることを決めた私は、本来の見た目で本来の力を使うことを決意した。  その後、どうやら聖女を2人用意したのはモルドーラ国に危機が迫っていたからだと知るも、それに関しては残ったサリナがなんとかするでしょう。

妹と違って無能な姉だと蔑まれてきましたが、実際は逆でした

黒木 楓
恋愛
 魔力が優れていた公爵令嬢の姉妹は、どちらかが次の聖女になることが決まっていた。  新たな聖女に妹のセローナが選ばれ、私シャロンは無能な姉だと貴族や王子達に蔑まれている。  傍に私が居たからこそセローナは活躍できているも、セローナは全て自分の手柄にしていた。  私の力によるものだとバレないよう、セローナは婚約者となった王子を利用して私を貶めてくる。  その結果――私は幽閉されることとなっていた。  幽閉されて数日後、ある魔道具が完成して、それによって真実が発覚する。  セローナが聖女に相応しくないと発覚するも、聖女の力を継承したから手遅れらしい。  幽閉しておいてセローナに協力して欲しいと私に貴族達が頼み始めるけど、協力する気は一切なかった。

【完結】愛され令嬢は、死に戻りに気付かない

かまり
恋愛
公爵令嬢エレナは、婚約者の王子と聖女に嵌められて処刑され、死に戻るが、 それを夢だと思い込んだエレナは考えなしに2度目を始めてしまう。 しかし、なぜかループ前とは違うことが起きるため、エレナはやはり夢だったと確信していたが、 結局2度目も王子と聖女に嵌められる最後を迎えてしまった。 3度目の死に戻りでエレナは聖女に勝てるのか? 聖女と婚約しようとした王子の目に、涙が見えた気がしたのはなぜなのか? そもそも、なぜ死に戻ることになったのか? そして、エレナを助けたいと思っているのは誰なのか… 色んな謎に包まれながらも、王子と幸せになるために諦めない、 そんなエレナの逆転勝利物語。

必要ないと言われたので、元の日常に戻ります

黒木 楓
恋愛
 私エレナは、3年間城で新たな聖女として暮らすも、突如「聖女は必要ない」と言われてしまう。  前の聖女の人は必死にルドロス国に加護を与えていたようで、私は魔力があるから問題なく加護を与えていた。  その違いから、「もう加護がなくても大丈夫だ」と思われたようで、私を追い出したいらしい。  森の中にある家で暮らしていた私は元の日常に戻り、国の異変を確認しながら過ごすことにする。  数日後――私の忠告通り、加護を失ったルドロス国は凶暴なモンスターによる被害を受け始める。  そして「助けてくれ」と城に居た人が何度も頼みに来るけど、私は動く気がなかった。

【完結】白い結婚をした悪役令嬢は田舎暮らしと陰謀を満喫する

ツカノ
恋愛
「こんな形での君との婚姻は望んでなかった」と、私は初夜の夜に旦那様になる方に告げられた。 卒業パーティーで婚約者の最愛を虐げた悪役令嬢として予定通り断罪された挙げ句に、その罰としてなぜか元婚約者と目と髪の色以外はそっくりな男と『白い結婚』をさせられてしまった私は思う。 それにしても、旦那様。あなたはいったいどこの誰ですか? 陰謀と事件混みのご都合主義なふんわり設定です。

お姉さまに婚約者を奪われたけど、私は辺境伯と結ばれた~無知なお姉さまは辺境伯の地位の高さを知らない~

マルローネ
恋愛
サイドル王国の子爵家の次女であるテレーズは、長女のマリアに婚約者のラゴウ伯爵を奪われた。 その後、テレーズは辺境伯カインとの婚約が成立するが、マリアやラゴウは所詮は地方領主だとしてバカにし続ける。 しかし、無知な彼らは知らなかったのだ。西の国境線を領地としている辺境伯カインの地位の高さを……。 貴族としての基本的な知識が不足している二人にテレーズは失笑するのだった。 そしてその無知さは取り返しのつかない事態を招くことになる──。

「商売する女は不要」らしいです

たくわん
恋愛
侯爵令嬢エリアナ・ヴァルトハイムは、第二王子の婚約者だった。しかし「女が商売に口を出すな」と婚約破棄され、新しい婚約者には何も言わない従順な令嬢が選ばれる。父にも見捨てられたエリアナは、自由商業都市アルトゥーラへ。 前世の経営コンサルタントの知識を武器に、商人として成り上がる。複式簿記、マーケティング、物流革命——次々と革新を起こし、わずか一年で大陸屈指の豪商に。 やがて王国は傾き、元婚約者たちが助けを求めて土下座してくるが、エリアナは冷たく突き放す。「もう関係ありません」と。 そして彼女が手に入れたのは、ビジネスでの成功だけではなかった。無愛想だが誠実な傭兵団長ディアンと出会ってーー。