完】異端の治癒能力を持つ令嬢は婚約破棄をされ、王宮の侍女として静かに暮らす事を望んだ。なのに!王子、私は侍女ですよ!言い寄られたら困ります!

仰木 あん

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第三十話 正体を現す

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翌朝、沢山の民衆が見守る中、刑の執行が行われようとしていた。 

「だ、だから、私は悪くないのよ!」

「はぁ~、なぜ私は………ブツブツ……」

「さっさと歩け!」

ソフィアとハルトは衛兵に処刑台への道を歩くよう怒鳴られる!

マリアは、アドレーに付き添い、処刑台のある広場まで来ていた。マリアの父や、義母の姿も見える。

ソフィアは、マリアを見つけると、

「あ!マリア!あいつよ!あいつが私に麻薬を作れと命じたのよ!」

「ソ、ソフィア、何を言っているの?」

「この、嘘つきめ!」

ソフィアは、衛兵に取り押さえられる!

「く!そうだ、皆さん、聞いてください、あ、あの、女はドルイダスです!あの、マリアと言う、私の義理の姉は、ドルイダスなんです!」

「何を、訳の分からないかことを!」

衛兵がソフィアを強く抑えるが、民衆がザワザワと騒ぎだす、

「お、王子!ドルイダスから離れてください!」

「王子が危ない!」

「王子を助けろ!」

ソフィアの自棄糞の叫びに、民衆がマリアを責め立てる! 

「そうよ、あの女はドルイダス!マリアはドルイダスよ!」

義母も大声で、皆を煽り、 

「そ、そんな……なぜ…お義母様がそれを……。」

「ほら、認めたわよ!あいつは異端者!ドルイダス!さぁ、皆でドルイダスを討つのよ!」

義母がさらに煽り立てる! 

「皆の者!静まれ!」

アドレーが叫ぶが、もう既にその声が掻き消されるほど騒ぎは多くなっている! 

「ドルイダスを殺せ!」

「殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!」

『イデアルさん、皆に私がドルイダスだと知られてしまいました。』

『どうした?マリア、…………何やら騒がしいようだな……ん?何故そこに悪魔が何匹もいるんだ?』

『あ、悪魔ですか?』

『そうだ、悪魔だ!マリア、指輪を高く掲げて、マナを解き放ちなさい!』

マリアが言われた通りにすると、マナの光が辺りを照らし、悪魔が正体を現す!

「え!義母さんまで………」

「え、エリザベス!なんだその姿は!」

隣にいた自分の妻のエリザベスが、突然悪魔に姿を変えたので、マリアの父、ライオネルが叫ぶ!

「マ、マリア、やってくれましたね。300年前、森の民に殺されかけてから、長年かけて、ようやくここまで来たのに、」

「300年……ってことは、貴女が皇太后エリザベス!」

「ええ、ザスベエリ教の神、それが私よ!」

「「「おお、神よ!」」」

民衆は、エリザベスの放つ臭気により、醜悪な姿を現した悪魔を、神と崇める!

「く、なぜ、皆あれが悪魔だと気付かない!」

アドレーが叫ぶ!

「ハハハハハハハ!ここまで私の麻薬が蔓延していたなんてね。うれしいわ!」

エリザベス同様、悪魔と貸したらソフィアが大声で笑う。

「私の麻薬は気持ち良いだけじゃなくて、それを使ったものは皆、私たちのしもべとなるのよ!」




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