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『幼馴染』(SIDE 龍司)
渚は、可愛い。
ふわふわした茶色の髪、こぼれ落ちそうなほど大きな瞳、長いまつ毛、小柄な体躯。
高いトーンの甘い声は、耳に心地よく響く。
子どもの頃はいつも俺の後ろに隠れているような引っ込み思案な性格だったけれど、今は持ち前の穏やかさと人懐っこい笑顔で、彼の周りにはいつも人が集まっている。
「龍ちゃん、お風呂一緒に入ろ♡」
その上最近は、妙に色っぽい。
「え・・・?」
「も~冗談だよ。僕の話聞いてた?さっきからずっと上の空なんだもん。」
「あ・・ああ、悪い。考え事してた。」
バイトが無い日は授業が終わると、俺の部屋で一緒に勉強する。
渚はテーブルに頬杖をつきながら、不貞腐れたようにぷくりと頬を膨らませた。
「今お前の好きなココア入れてやるから、機嫌直せよ。」
キッチンに立って、彼のマグカップを手に取る。
お揃いのマグカップ、お揃いの皿。
俺の部屋はいつの間にか渚の物で溢れていた。
「ねぇ・・・龍ちゃん。」
背後からピタリと身体を寄せられて、ドクンと心臓が跳ねる。
最近、彼は俺に甘えるようになった。
優等生でしっかり者の彼が、俺にだけに見せる甘ったるい一面。
恋人同士になって、三ヶ月。
渚が無防備な姿で俺に甘えるたび、妙に胸がざわつく。
「今夜は・・・龍ちゃんの部屋に・・・泊まってもいい・・・・?」
「渚・・・それは、」
「断っちゃ嫌だよ・・・っ・・・僕は、龍ちゃんの恋人だよね・・?」
渚は俺の恋人だ。
OKしたのは俺なのだから、そろそろ覚悟を決めなければならない。
彼を愛するために・・陸斗を忘れるために、最初の一歩を踏み出さなければ。
わかったと呟いて抱きしめた彼の身体は、小さく震えていた。
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