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萌え耳の美少年

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目覚めると、そこはメルヘンの森だった。
鳥たちのさえずり。青々とした木々の隙間から、穏やかな木漏れ日が降り注ぐ。

「良かった!目が覚めたんですね!」

木漏れ日を背に、眩しい笑顔の美少年が、にっこりと私を覗き込んでいる。


「ここは・・・一体・・・?」

クリクリとした大きな瞳を輝かせながら、赤髪の美少年はこちらへ身を乗り出した。


「ここは僕たちが暮らしている、メルヘンの森です。」

「メルヘンの森・・・・」

「僕の名前は、レオです!はじめまして!」

出会いが心底嬉しい!という、惜しみない笑顔。


「私は・・・穂花・・・」

よく見ると、少年は猫のような動物の耳を、頭につけている。
背後では、ふわふわの尻尾も揺れていた。


(美少年の猫耳・・・萌える~~~・・・・・・!!!)

無邪気に天使のような笑みを向けている少年相手に、萌え死にそうになりながら、私は彼の耳に触れてみた。

「これって猫耳カチューシャ?本物みたいで、可愛いね。」

一歩間違えればただの変態ショタ女だ。
触れた瞬間、彼の身体がびくりと大きく震える。

「んぁ・・っ!!僕、耳は・・・弱いんです・・っ、それにこれは・・本物の耳ですよ・・っ」

美少年が恥じらうように頬を染めたのを見て、私は一瞬パニックに陥った。

レオと名乗った少年が、あまりに可愛ったからだけではない。
彼の耳が、本物の動物の耳のようなリアルな感触で、温かかったからだ。

「それに、僕は猫じゃなくて、犬です・・っ。」

恥じらうような表情が、たまらなく可愛い。
赤い顔、上目遣い、潤んだ瞳・・・。
ショタ心を煽られまくりながら、私は怠けきっている思考回路を巡らせた。


「レオって・・・テーマパークのワンコ・・・レオ君・・・?!」

「僕のこと、知ってるんですか・・?」

「私、お城のゲートをくぐって、気づいたらここに居たの。」


「やっぱり・・・!あなたは・・・僕たちのお姫様なんですね・・!」
パッと大きく目を見開いた彼は、興奮しながらそう言った。


「え・・・・?お姫様・・・?!」

「僕たちの運命のお姫様です!あなたを・・・ずっと待っていました・・・!!」

全くわけがわからないけれど、犬耳の美少年に「お姫様」扱いされるのは、悪い気がしない。
長年付き合っていた彼氏に振られ、自分は無価値な女なのだと絶望していたはずの私が・・・実はお姫様?!

(これこれ・・!私は、こういう瞬間を待ってたの・・・・!!)

いつか王子様が。いつかきっと私の魅力をわかってくれる、一途な王子が現れるはず。
運命の恋人が目の前に現れて、「あなたは唯一無二の特別な存在・・・〇〇王国の姫なのです・・!」的な展開になるに違いない。

男に振られるたびに、そんな痛々しい妄想を繰り広げていた。
どうやら、実現する時が来たらしい。

「僕たちのお家に、案内しますね!」

こうして私は、夢の国のメインキャラクターたちが暮らす、メルヘンの森で暮らすことになった。



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