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オイシイ状況
しおりを挟むホストクラブ並みの彼らのもてなしに、私は開いた口がふさがらなかった。
「うちのクラブの魅力をプレゼンします。」
可愛い顔立ちの男性たちが、スーツ姿でタップダンスを披露している。
歌って踊れるイケメン集団。
(何なのこのクラブ・・・!?何を目的とするクラブ・・?!)
イケメン紳士たちはふざけているとしか思えないようなことを、大真面目にやってのける。
あまりに豪華な内装の部屋で、ステージショーを見せられている私は、自分が一体何を見ているのかもはやわからなくなっていた。
「紳士たるもの、女性を気持ちよく、幸福にして一人前。それは我々のモットーです。我らがメンズクラブへようこそ!」
豪華なソファーのど真ん中に座らされた私の両隣には、クラブのNO1とNO2。
「俺たちの絆はとても強いんだ。みんなでMのことをヨくしてあげられると思う。」
NO2の山下という男は、天然なのだろうか?とんでもないことを爽やかな笑顔で言ってのける。
「Mちゃん、もし気に入ってもらえたなら、うちのクラブに入りませんか?」
「え?私、メンズじゃないんですけど・・・?!」
No1の鎌足はさらに天然ボケ炸裂な言葉を吐いて、満面の笑みで私を見つめている。
それにしても揃いも揃って見渡す限り、全員イケメンだ。
タイプの違うイケメンが、各種取り揃えられている。
(ホストクラブ・・・?ホストクラブなの・・・?ここは・・・・)
鎌足はことあるごとに私に絡んでくるストーカー気質の強い男性だけれど、見た目は100点満点の色男。
190cm超えの身長に、いつも笑っているような細い目が印象的。
カリスマ性のあるイケメンで、このクラブの男たちは皆彼に惚れ込んでいるらしい。
「僕はうちのクラブにどうしてもあなたが欲しいんですよ。Mちゃんが毎晩満足できるように、僕たちは誠心誠意尽くしますから、少し考えてみてください。」
(だから私・・・メンズじゃないんですけど・・・・)
私は優秀な男が大好きだ。特にイケメンは。
「僕たちはシチュエーションをとても大切にしているんです。」
「え?」
「横川君、こちらへお願いします。」
呼ばれたイケメンが、私の前に現れ深々とお辞儀をする。
私の手をとって、その場に跪いた。
「横川 当真です。今夜は僕がお相手させていただきます。」
切長の瞳、サイドが少し長い茶髪のイケメン。
クールな印象の彼は、私に優しく微笑んだ。
(う・・・かっこいい・・・クールビューティー・・・・)
「長い間、ただの同僚として接してきた二人。仕事でのミスで落ち込むMの相談に乗って二人きりで飲んだ夜、お酒の勢いでいつもクールな彼が豹変して・・・?というシチュエーションで、お相手させていただきます。」
ドラマの次回予告のように、彼がスラスラとセリフを読み上げる。
どうやら色々なシチュエーションで恋愛ごっこを楽しむという趣旨らしい。
(本当にこれ・・・何のクラブ・・・?)
メンズクラブの謎は深まるばかりだが、イケメンと色々な恋愛とセックスを楽しめるこのチャンスは、私にとってただただオイシイ状況だった。
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