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サプライズ
しおりを挟む「ちょっと・・!イイところなんだから、黙って見てろって。」
「な、なに馬鹿なこと言ってんだよ!ユミが、伊吹に好き勝手されて良いってのか・・!」
部屋のどこかから、誰かの言い争う声が聞こえてくる。
大きな物音と同時に、クローゼットから二つの人影が飛び出してきた。
ベッドの上で、パジャマのボタンを全て外された状態の私は、飛び出してきた栄華と美波に驚き、開いた口が塞がらない。
はだけた胸元を、伊吹が優しく布団で隠してくれていた。
「お、お前ら・・・なに破廉恥なことしてやがる・・・!まさか、付き合ってるのか・・・!?」
栄華の声は思い切り裏返っており、彼の動揺が一気に伝わる。
「せっかく伊吹とユミのエッチなシーンが見れそうだったのに、ほんっとお前って余計なことばっかりするんだから。」
ハァ、と深くため息を吐き出しながら、栄華の頭をバシっと叩いた美波は、とんでもないことをサラリと言ってのけた。
(私と伊吹君のエッチシーン・・・?!っていうか、私、伊吹君と、エッチしちゃうところだったんだよね・・・夢じゃないよね・・・!?)
自分の身に起きている、イケメンパラダイスな状況が未だに信じられないのは、これまでのモテない人生のせいだろう。
「今日の監視カメラ担当、楓馬だからいけると思ったんだけど。」
伊吹が残念そうに、ボソリと呟く。
私を間違えて誘拐したドジっ子楓馬が、今夜の監視カメラの担当らしい。
イケメンだらけの素晴らしい生活から逃げ出すつもりなんて、私には毛頭ないのだし、そろそろ監視を緩めてくれてもいいと思うのだが、毎晩この部屋に一人と、監視カメラの映像担当が一人、私を夜通し見張っているのだ。
「で、二人はなんでここに?俺が今夜ユミとエッチするって、何でわかったの?」
伊吹が呆れた顔で、二人の侵入者に目を向ける。
それにしても、彼らはいつこの部屋に潜り込んだのだろう。
「ボスに呼ばれて部屋を出たでしょ。ユミが部屋を出るのって滅多にないから、隠れてサプライズしようって思って、チョコレートとワイン持ってきたんだよ。」
美波の手には赤ワイン、栄華はいかにも高級そうなチョコレートのボックスを持っている。
「伊吹だったら許してくれると思って持ってきたんだけど、お楽しみのところ邪魔して悪かったね。黙っててあげるから、続き見せてくれない?」
美波は美しい顔で、これまたとんでもない提案を投げかけてきた。
「俺は良いけど、ユミは嫌がると思う。」
(良いの?!見られちゃって良いの・・・・・伊吹君・・・?!)
伊吹が私の意志を確かめるように視線をよこし、美波は熱望の眼差しでこちらを見ている。
「それとも・・・ねぇ、4人で楽しんじゃう・・?」
美波が妖艶な笑みを浮かべて、赤い舌をペロリと覗かせた。
(4人・・・?!私と、3人のイケメンで・・ってことぉ・・・?!)
刺激の強すぎる会話に、私は終始赤面していた。
想像しただけで、鼻血が噴き出してしまいそうだ。
同じように赤面する人物が、もう一人。
「お・・・お前らいい加減にしろよ・・・っ!そ、そんなこと、許されるわけないだろ・・・っ!」
鼻血を噴き出していようとイケメンは、イケメンだ。
栄華は、ハニートラップ専門のエージェントとは思えない純粋さを露呈して、叫んでいる。
「だから何でお前はいつも、勃たせてんだよ・・・!」
美波の鉄拳が、栄華に容赦なく振り落とされるのを、私はイケメン3人とベッドで楽しむ妄想に身を投じながら眺めていた。
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