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初夜
しおりを挟む初めての恋人と過ごす、初めての夜。
正しくは、私と大我はまだ本物の「恋人」ではない。
仮交際期間中の、恋人候補。
この組織に監禁されてから、大我の優しさにいつも助けられてきた。
手足を拘束する結束バンドを解いてくれたあの日から、彼はずっと優しい。
明かりを落とし、ベッドに入ると、優しく抱きしめられた。
彼の心臓の音が、耳から伝わってきて、私の鼓動も早くなっていく
「なぁ、ユミ。」
私の髪をかきあげるように優しく指で梳かしながら、彼は私をまっすぐ見つめた。
甘ったるい彼の視線に、私はもはや絶頂に達してしまいそうなほど興奮している。
こんなに官能的な男の声を聞くのは、初めてだった。
彼が、私を求めているのだと、本能でわかる。
経験の無い私に、うまく対応できるだろうかと心配していたけれど、いざとなればできるものなのだと他人事のように思った。
身体が勝手に、彼を求めて動き出す。
彼の背中に腕を回し、男らしい胸板に顔を埋めた。
「恋人同士になったばっかだし、がっつくのもダセェって思うけど・・・ずっとお前が好きで抑えてた気持ちが、もうおさまらねぇかも。」
耳の裏側に伸びてきた彼の指が、私の顔を引き寄せた。
唇が、重なる。
「ん・・・っ・・・」
(キスの時・・・呼吸ってどうするんだっけ・・・?!息止めるの・・・!?)
キスは初めてではないけれど、恋人として誰かに求められるのは初めてだった。
永遠のようにさえ思える、長いキスの時間。
ゆっくりと角度を変えて、啄むように唇を交わす。
彼の舌が入り込んできて、私の舌に絡んだ。
唇から甘い吐息が漏れ出して、高熱を出した時みたいに身体中が熱い。
「お前のこと・・ずっとこうして抱きたいって思ってた・・・」
彼の手が確かめるように、私の身体を弄る。
(もどかしい・・・っ・・・早く全部脱いで、彼に身体中触って欲しい・・・・っ)
「ユミ・・・そんなエロイ顔されたら、手加減できねぇ。覚悟しろよ?」
今私は、エロイ顔をしているらしい。
初めてを捧げる相手、大我のあまりのかっこよさに、私は夢見心地で深く頷いた。
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