悪の組織のイケメンたちに捕まったのですが、全員から愛されてしまったようです。

aika

文字の大きさ
39 / 63

初めての恋人

しおりを挟む



「今日からよろしくな。」

「こちらこそ、よろしくお願いいたします。」

堅い。まるで、お見合いだ。
朝からダイニングテーブルに向かい合い、頭を下げ合う大我たいがと私は、今日からしばらくの期間、恋人同士として過ごす。
急に仮交際期間と言われても、今まで「監視する方とされる方」という立場で過ごした仲なので、ちょうど良い距離がわからない。

「今日からユミちゃんは、俺の恋人なんだよな。なんか信じらんねぇ。」

言いながら、彼は恥ずかしそうに目を逸らした。

彼の照れている顔は、いつもより少し幼く見える。
普段の男らしさとのギャップに、胸がキュンと疼いた。

この組織は、やることがいちいち普通じゃない。
非常識なことばかり目にしてきたが、今回はこのぶっ飛んだ未知のイベントに、心の底から感謝したい気持ちだった。

仮交際期間をより実社会の恋人同士らしく過ごすため、私の監禁部屋にはキッチンが増設され、家庭的な時間を体験できるようになり、外でのデート気分を味わえるようにと、喫茶店やレストラン、映画館などのセットも準備してくれたらしい。

(この組織の財力・・一体どうなってるの・・・・?!この建物ってどれだけデカイの・・・?!人質相手に・・・何やってんの・・?!)

監禁部屋とミーティングルームしか知らない私にとって、この建物の全容は想像もつかなかった。


「死ぬ気で、一番ゲットしたんだぜ。・・・ユミの初めての男に・・どうしてもなりたかった。」

「大我君・・・」

初めての男、という言葉に、心臓がドクンと大きく跳ねる。


(大我君が私の初めての男に・・完璧な肉体美、荒々しさと優しさを兼ね備えたこのイケメンが・・・・♡)

100人いたら100人がイケメンと認めるであろう整った顔立ちに、ヤンチャで荒々しい雰囲気を併せ持つ大我。彼が、私の初めての男になるだなんて、自然の摂理に反している。

濡れたような黒艶髪をかき上げながら、彼はふっと優しく笑った。
恋人に向けた、甘くとろけるような笑顔。

「俺がユミちゃんのために朝食作るから、少し待ってろ。」

ぐしゃぐしゃと私の頭を撫でた彼は、席を立つ。


(大我君に朝食作らせるなんて、そんな贅沢・・・!?っていうか、イケメンの上に、料理まで出来るの?!)

全てのスペックが桁違いの彼に、そんなことまでさせられないと慌てて立ち上がると、彼はポンポンと私の頭に優しく触れた。

「お前、まだ寝起きのままだろ?俺が作ってる間に、顔洗って着替えて来いよ。」

「・・・?!・・・・はい・・・・」

(眩しすぎる・・っ・・・大我君・・なんでこんなにカッコイイの・・・・!!!)

普段は「ユミちゃん」と呼ぶ彼が、時折呼び捨てや「お前」呼びになるたびに、心臓が悲鳴をあげる。

世界中の女が虜になるであろうその笑顔に、私の身体は全ての動きを止めて固まった。
大我は、突っ立っている私の両腕を引いて、彼の腰に巻き付けるように導いた。

「なぁ、俺ら恋人同士だぜ?もっと甘えてみ?」

大我の香りがふわりと、私の身体を包んだ。
優しく抱きしめる彼の腕にすっぽりおさまりながら、私は思考回路までフリーズしてしている。

「照れてんの?ユミ・・お前、すげー可愛い。」

抱きしめる腕に、ぎゅっと力がこもり、私は身に余る幸せに呼吸さえ出来ない。


(私の恋人・・・かっこ良すぎる・・・・♡)

私は彼の腕の中で、鼻血を出しそうなほどの興奮に息を荒げていた。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

幼馴染みのメッセージに打ち間違い返信したらとんでもないことに

家紋武範
恋愛
 となりに住む、幼馴染みの夕夏のことが好きだが、その思いを伝えられずにいた。  ある日、夕夏のメッセージに返信しようとしたら、間違ってとんでもない言葉を送ってしまったのだった。

お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?

すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。 お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」 その母は・・迎えにくることは無かった。 代わりに迎えに来た『父』と『兄』。 私の引き取り先は『本当の家』だった。 お父さん「鈴の家だよ?」 鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」 新しい家で始まる生活。 でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。 鈴「うぁ・・・・。」 兄「鈴!?」 倒れることが多くなっていく日々・・・。 そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。 『もう・・妹にみれない・・・。』 『お兄ちゃん・・・。』 「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」 「ーーーーっ!」 ※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。 ※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 ※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。 ※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)

黒瀬部長は部下を溺愛したい

桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる

ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。 幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。 幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。 関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。

処理中です...