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保護者
しおりを挟む「穂高君・・・おはよ。」
「ユミさん、おはよ。」
目が覚めて横を見ると、若くて眩しい年下のイケメンが微笑んでいる。
モテない人生を呪っていた自分が、こんな朝を迎えているなんて、未だ信じられない。
心なしか昨日までよりも、男っぽさが増した気がする。
穂高は、私の髪を優しく指でかきあげると、チュッと唇を重ねた。
(穂高君の男度が・・確実に上がってる・・・・♡夜もすごかったなぁ・・・♡)
初めてを捧げてくれた彼の初々しさに、トキメキまくりの一夜を思い出す。
余裕が無い年下男子の一生懸命さに、胸を打たれてしまった。
「俺、ユミさんのこと、ちゃんと満足させられた・・?」
見つめ合うのが恥ずかしいのか、彼はぎゅっと私を抱きしめると小さな声でそう聞いてくる。
「うん・・・穂高君に満たされて・・幸せだったよ。」
彼の純粋さにあてられ、こちらまで恥ずかしくなってきた。
大人の恋愛というよりは、学生時代の初恋という感覚で、一つ一つのやり取りがくすぐったい。
「お~い、穂高、いい加減起きろ。仕事だぞ・・・?!」
言いながら部屋に入ってきた組織の大ボス親秋は、裸で抱き合っている私と穂高を見て、目を見開いた。
パクパクと口を開け閉めしながら、黙り込む。
「な・・っ・・親秋、急に入ってくるんじゃねぇよ。ユミの裸、見るんじゃねぇ・・・!!」
穂高が投げつけた枕が、ボスの顔に命中する。
枕が床に落ちてからも、ボスは目を見開いたまま、その場にしばらく固まっていた。
♢♢♢
「悪かったな、まさかあの穂高が・・・アンタに手出してるとは思ってなかった。」
愛する息子の突然の成長に驚きが隠せない様子で、親秋は深いため息を吐き出す。
穂高は仕事の準備のため、自室に戻った。
子育てについての悩みを相談するかの如く、親秋は私の淹れたお茶を飲みながら、こちらに向き直る。
「まさかあの穂高が・・・な。」
「すみません・・・穂高君と、こんなことになってしまって・・・」
彼のショックが、わかる気がした。
子どもだとばかり思っていた穂高が、急に大人の男の顔を見せる。
私はそのギャップにトキめいてしまったけれど、育ての親のような立場の親秋は、雛鳥が巣立ったような寂しさを、感じているのだろう。
「いやいや、穂高を男にしてくれたお前に、礼を言いたかっただけだ。文句つけようなんて気は、全然ない。」
(何このやり取り・・・?!私、どういう立場・・・?!き、気まずい・・・・・)
「なんか・・気まずいな・・あの穂高が、そのベッドで・・お前を抱いたかと思うと・・・」
「そ、そういう想像はやめてください・・!!恥ずかしいんで・・・!!」
ごくり、と喉を鳴らして私を見た親秋の目は、いつになく真剣だった。
仕事前なので黒縁のメガネをかけて、服装もバッチリ決まっている。
(あぁ・・親秋さんのメガネ姿、眩しすぎる・・・♡私と息子のベッドシーンを想像しながら、ガン見してくるとか・・・何このシチュエーション・・・・!!!)
食い入るような彼の視線に、妙な気分になってしまい、私はなんとか目を逸らした。
獲物を狙う獣のような、彼の真剣な瞳に、思わず息をのむ。
(親秋さんって、そういう趣味なの・・?!息子の嫁に・・・興奮する的な・・・?!)
もしくは彼は、私のことを息子を奪う「敵」として認識したのだろうか?
イケメンの熱視線に混乱した私は、ぐちゃぐちゃと脳内で妄想を繰り返す。
私と彼は長い沈黙の中で、お互いの心を探り合うように見つめあっていた。
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