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カードゲーム
しおりを挟む「女相手に緊張するなんて、俺には初めての経験だ・・・。やっぱりお前は、特別な女なんだ。」
頬を赤く染め目を逸らした彼が、ハニトラ専門のエージェントだなんて、毎回のことながら信じ難い。
栄華は「ウブ」を擬人化させたような人物で、私と一緒に居る時は、いつも赤面している。
「キスするだけで、こんなにドキドキするなんて、俺らしくない・・・」
チュッと音を立てて、私の額にキスをする彼は、目を合わせるのも恥ずかしいというように、長い睫毛を伏せた。
「正直なところ俺は、テクニックには自信がある。今まで散々女どもを、悦ばせてきたからな。」
自負するように胸を張って言い切った栄華は、さすがだと思う。
ナルシストで、自信家。
彼は、ハニートラップ専門のエージェント。
自信家になるのも頷ける。
彼の容姿は、カリスマ性さえ感じさせるほどの男前で、いつ見ても美しい。
この顔で落とせない女は、いないだろう。
非の打ち所がない顔面の彼が、少し恥ずかしそうに笑う。
そんな照れ屋な一面を目にしたら、女はイチコロだ。
(栄華君のテクニック・・・・すごいんだぁ・・・・♡)
男の身体の良さを知ったばかりの私にとって、正直テクニック云々はピンとこない。
それでも私の前で赤面ばかりしている彼が、ベッドではどんな表情をするのかとても気になった。
「ええと・・・栄華君・・?」
お互いにシャワーを浴びてベッドに入ったのは良いけれど、彼はベッドの隅で何かをブツブツ呟いている。一向に近づいてこない。
「ゆ、ユミ・・・・、それ以上近づくな・・・・!!」
彼の顔を覗き込むと、耳まで真っ赤になっていて、その緊迫感にこちらまで心拍数が爆上がりする。
「俺は・・・本気で好きになった女を抱いたことがないから・・・緊張して・・・」
赤い頬、潤んだ瞳、荒い呼吸。
苦しそうに私を見る彼に、理性が一気に吹き飛びそうになった。
(私が欲情してどうするのよ・・・・私からいっちゃう・・・?それもありなの・・・?)
『あいつテンパってセックスどころじゃないだろうから、いざとなったらコレ使って。』
今朝の美波の言葉を、思い出す。
栄華のことを一番理解している人物で、栄華のパートナー、美波。
彼が手渡してくれた、カードゲーム。
中身は確認していないけれど、少しエッチな命令が書かれているカードゲームらしい。
「栄華君、このゲームやらない?」
「・・・!!お前・・・意味わかって言ってるのか・・・・?」
栄華は驚いたように私を二度見して、後ずさる。
(そんなにエッチな内容なの・・・?逆に気になる・・・・!!栄華君っていちいちオーバーリアクションで、かわいいなぁ・・・・♡)
私の一挙一動に反応して赤面する栄華は、可愛い。
イケメンに影響を与えることができる快感に、私は酔いしれていた。
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