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撃沈
しおりを挟む「叶君、まだ時間かかりそう?」
「十起先輩、そんなに見つめられたら集中できないです・・。」
(なになにこの甘ったるい雰囲気・・・!十起のダダ漏れフェロモンうっざ・・!叶ちゃん頬赤らめてない・・?うわっ可愛い・・・・可愛すぎる・・・♡)
可愛い可愛い叶ちゃんをモテ男と二人きりにしたくなくて付いてきたのはいいけれど、俺そっちのけで見つめ合う二人を見ているのは辛すぎる。
俺の同期の十起 一刀は、フェロモンたっぷりのイケメンで男にも女にもモテる、いわゆる「人たらし」というやつだ。
甘ったるいタレ目に見つめられると、奴の色気に飲み込まれそうで直視できない。
叶ちゃんはこの男を「先輩」として慕っている。
もしかしたら先輩後輩以上の関係があるのでは・・と俺は邪推してるんだけど、叶ちゃんの守りが固すぎて聞き出すことさえ出来ていない。
「ところで何で深海が、ここにいるのかな?」
「お前が俺の可愛い叶ちゃんに、仕事押し付けるのを辞めさせるため?」
にっこり笑顔で微笑み合う俺と十起は、昔から仲が悪い。
「深海、愛しの豪樹君はどうしてる?最近一緒にいないみたいだけど?」
(こいつ・・・わざと豪樹の話を・・・相変わらず性格悪いよなぁ・・・!)
豪樹というのは俺の元彼だ。
叶ちゃんを好きだと自覚したその日に、即お別れした元コイビト。
「お前に関係ねぇだろ・・・!」
「あんなに毎日愛し合ってたのに、簡単に別れちゃうとか冷たいなぁ。」
「深海先輩・・・八神先輩と付き合ってたんですか・・・?」
叶ちゃんが目をまあるく見開いて、俺を見ている。
こんな時でさえ彼の可愛さに見惚れてぼーっとしてしまう俺は、とんでもなく重症だった。
「え・・?叶君、知らなかったの?」
十起がわざとらしく驚いた声を上げる。
「全然知りませんでした・・・。深海先輩って、八神先輩みたいな人がタイプなんですね。」
「いやいや、付き合ってたけどもう別れたよ?俺今好きな人いるし。全然違うタイプの子だし!」
「・・・別に俺は、全然興味ないんで。」
叶ちゃんの態度がいつにも増して冷たくて、俺は今日も見事に撃沈してしまった。
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