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カラムの耳打ち
しおりを挟むカラムはこの国の権力者の息子らしい。
彼は双子で、兄が国の統治に関わっているとアザトが説明してくれた。
この世界について私は未だわからないことだらけだけれど、不安はひとつもない。
目の前にイケメンさえいれば怖いものは一つもない!という説は正しい、と私は一人勝手に納得していた。
どんな世の中であったとしても、イケメンは幸せをもたらしてくれる。
自分がイケメンたちにとってそんな存在であることが、まだ信じられなかった。
鏡を見て思う。
三十路、処女をようやく捨てたばかりの自分。顔は「可愛い」や「美人」とはかけ離れた「地味顔」そのものだし、スタイルだってよろしくない。
胸も小さいし、手足は短い。どこからどう見ても不恰好な、ただの腐女子なのに。
(ここにきてから自己肯定感あがりまくりなんですけど・・・・!)
アザトが私の身の回りの世話をしてくれる。午後のお茶を淹れると言って席を外した。
「すぐに真美様のお側に戻って参ります。」
離れる前に念を押すように言う。心から慕ってくれているとわかる彼の言い方が可愛くて、微笑ましい気持ちになった。
街を見下ろすことができる大きな窓。宮殿の中はアラベスク模様の綺麗な壁や床、いかにもアラビアンナイトの世界を思い出させる壮大な装飾がなされている。
柱ひとつ、窓ひとつ取ってみても美しく完成された芸術品。見えていて飽きることがない。
「真美様。ここにおられましたか。今戻りました。」
褐色肌に金髪が眩しい美少年。健康的な肉体美が際立つその少年は、にっこりと私に笑顔を向けた。
「カラム、おかえりなさい。」
「真美様、よろしければこちらをどうぞ。」
ふわり、とストールに包まれる。
抱き締められているのだとわかって、急に胸が高鳴った。
カラムの香り。お香だろうか?
(甘美な誘惑の香りがする・・・睫毛まで綺麗な金色・・・・)
美少年の香りをふんだんに吸い込みながら、自分より少し高い位置にある彼の顔を見上げまじまじと見つめる。
彼はゴールドの装飾品が施された赤いストールを私の肩に巻き付けた。
「今夜は僕をベッドに呼んでくれない?」
私を抱きすくめながら、彼は甘い声で耳打ちする。
彼の香りと声に、私はすぐにカッと身体が熱くなるのを感じた。
「カラム。」
「アザト、お前か。」
カラムはパッと私から手を離すと両手をあげて一歩下がった。
お茶のセットをトレイに乗せて戻ってきたアザトがカラムを睨む。
「真美様に失礼のないように振る舞ってよね。」
アザトが私に向けるものとは違う、年相応の少年の物言いでカラムに迫る。
「わかってるよ。アザトはいつも真面目だな。」
(美少年同士の戯れ・・・なんて尊い・・・)
2人の少年の美しさに私は思わずボーッと見惚れてしまう。
「真美様、お茶のご用意ができました。」
2人の美少年に囲まれながら飲む午後のお茶は、格別に美味しい。
宮殿にたくさんいるイケメンたちの名前は徐々に覚えていこうということになった。
あまりにも数が多いので、私の頭ではいっぺんには覚えられない。
嬉しい悲鳴だ。
(一夜を共にして一人一人覚えていけばいいわ・・・あぁ楽しみすぎる・・・)
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