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番外編
秘め事は隠された小部屋の中で ③
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「いや……恥ずかしい」
「恥ずかしがることはありません。私たちは夫婦になるんですから」
くすくすと笑う楽しげな息が莉緒の耳に吹きかかる。
大胆な気持ちが頭をもたげたのはそのせいだろうか。それとも、暗い室内に洩れる薄明りのせいなのか。
「こう、ですか……?」
莉緒は思い切って彼の両肩に手を掛け、おずおずと腰を回してみた。くちゅ、という湿った音が響いて、胸がむず痒くなる。
「ん……上手ですよ」
恭吾はそう言ってくれたが、とても褒められた動きでないことは莉緒にもわかった。彼はいつもどうしているだろう。腰をゆっくりと後ろに引いて、それから……。
ベッドの中での様子を思い出しては、いろいろな動きを試してみる。はじめは当然ぎこちない。しかし何度もストロークを繰り返すうち、自分自身が気持ちいいと思えるまでに、コツが掴めてきた。
伸びをした不安定な足元から、甘美な疼きが這い上がる。
莉緒が目を開けると、うっとりとまぶたを閉じている彼の顔があった。わずかに眉根を寄せ、滑らかそうな唇を薄く開き、他の誰にも想像がつかないほど無防備な姿をさらけ出している。
(彼がこんなにも感じているなんて。そうさせているのは、この私……?)
胸の内に言い知れない歓びが湧き上がり、思わず口の端が持ち上がった。唐突に恭吾のまぶたが開く。莉緒が小さく洩らした笑い声が、彼に届いたのだろうか。
不満そうに唇を引き結んだ恭吾が、先ほどとは打って変わって、獰猛さをにじませた男らしい目つきでこちらを睨み返してくる。
その鋭い視線が表すとおり、次の瞬間には猛攻撃が始まった。圧倒的な存在感を誇る熱い塊が、莉緒の内壁をぐちゅぐちゅと音がするほど激しくかき回す。
莉緒は我を忘れて恭吾にしがみついた。
絡みあう吐息。静寂に包まれた室内に響く、淫らな音。
動物的な感情に支配されたまま、狂おしいまでの快感にふたりして身を委ねる。全身を襲う甘やかな痺れも、互いの熱量も、どんどんエスカレートを続けて――。
その時、背中を預けた壁の向こうに衣擦れの音がして、ふたりはぴたりと動きを止めた。
「旦那様? 中にいらっしゃるのですか!? 旦那様!」
廊下からせっぱ詰まったメイドの声が響き、がたがたとドアの把手が引っ張られた。莉緒は鋭く息をのんだ。そして、普段と変わらぬ穏やかな顔をしている恭吾の顔に、視線で訴え掛ける。
(どうしよう、恭吾さん! こんな姿を見られでもしたら、私――)
莉緒は恭吾の胸を押して、彼に持ち上げられている左脚を下ろそうとした。ところがその時、胎内にある彼自身がいきなり激しく突き上げてきた。
「ひゃあっ!」
ふいに大きな声が出てしまい、ハッと口を押える。廊下で短い悲鳴が上がった。
「大変……! 大変ですー! 奥様が閉じ込められてますーー!」
廊下をばたばたとメイドが走っていく足音が聞こえる。莉緒は眉を顰めて恭吾を睨みつけた。
「もう、恭吾さん……!」
くすくすと彼が笑う。
「大丈夫。しばらく戻ってきませんよ。こんな中途半端なところでやめたくないのは、あなたも同じでしょう?」
「恥ずかしがることはありません。私たちは夫婦になるんですから」
くすくすと笑う楽しげな息が莉緒の耳に吹きかかる。
大胆な気持ちが頭をもたげたのはそのせいだろうか。それとも、暗い室内に洩れる薄明りのせいなのか。
「こう、ですか……?」
莉緒は思い切って彼の両肩に手を掛け、おずおずと腰を回してみた。くちゅ、という湿った音が響いて、胸がむず痒くなる。
「ん……上手ですよ」
恭吾はそう言ってくれたが、とても褒められた動きでないことは莉緒にもわかった。彼はいつもどうしているだろう。腰をゆっくりと後ろに引いて、それから……。
ベッドの中での様子を思い出しては、いろいろな動きを試してみる。はじめは当然ぎこちない。しかし何度もストロークを繰り返すうち、自分自身が気持ちいいと思えるまでに、コツが掴めてきた。
伸びをした不安定な足元から、甘美な疼きが這い上がる。
莉緒が目を開けると、うっとりとまぶたを閉じている彼の顔があった。わずかに眉根を寄せ、滑らかそうな唇を薄く開き、他の誰にも想像がつかないほど無防備な姿をさらけ出している。
(彼がこんなにも感じているなんて。そうさせているのは、この私……?)
胸の内に言い知れない歓びが湧き上がり、思わず口の端が持ち上がった。唐突に恭吾のまぶたが開く。莉緒が小さく洩らした笑い声が、彼に届いたのだろうか。
不満そうに唇を引き結んだ恭吾が、先ほどとは打って変わって、獰猛さをにじませた男らしい目つきでこちらを睨み返してくる。
その鋭い視線が表すとおり、次の瞬間には猛攻撃が始まった。圧倒的な存在感を誇る熱い塊が、莉緒の内壁をぐちゅぐちゅと音がするほど激しくかき回す。
莉緒は我を忘れて恭吾にしがみついた。
絡みあう吐息。静寂に包まれた室内に響く、淫らな音。
動物的な感情に支配されたまま、狂おしいまでの快感にふたりして身を委ねる。全身を襲う甘やかな痺れも、互いの熱量も、どんどんエスカレートを続けて――。
その時、背中を預けた壁の向こうに衣擦れの音がして、ふたりはぴたりと動きを止めた。
「旦那様? 中にいらっしゃるのですか!? 旦那様!」
廊下からせっぱ詰まったメイドの声が響き、がたがたとドアの把手が引っ張られた。莉緒は鋭く息をのんだ。そして、普段と変わらぬ穏やかな顔をしている恭吾の顔に、視線で訴え掛ける。
(どうしよう、恭吾さん! こんな姿を見られでもしたら、私――)
莉緒は恭吾の胸を押して、彼に持ち上げられている左脚を下ろそうとした。ところがその時、胎内にある彼自身がいきなり激しく突き上げてきた。
「ひゃあっ!」
ふいに大きな声が出てしまい、ハッと口を押える。廊下で短い悲鳴が上がった。
「大変……! 大変ですー! 奥様が閉じ込められてますーー!」
廊下をばたばたとメイドが走っていく足音が聞こえる。莉緒は眉を顰めて恭吾を睨みつけた。
「もう、恭吾さん……!」
くすくすと彼が笑う。
「大丈夫。しばらく戻ってきませんよ。こんな中途半端なところでやめたくないのは、あなたも同じでしょう?」
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