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雪解けの前に
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ベッドの上で上体だけ起こしていた燈は憂鬱な表情で窓から外を眺めていた。
「また曇りか……」
外には分厚い雲が一面に広がっていた。
灰色に染まった曇り空を見ていると心まで曇ってくる。
しかしそれ以外にやることがない燈はわかっていても外の景色を眺めるしかなかった。
空を見ると気が滅入るから視線を下げると、中庭では何人かの子供が遊んでいた。パジャマではなく洋服を着こんでいるのを見ると、見舞いにやってきた子供なのだろうか。
辺りを見回してみると子供を見つめるパジャマ姿の大人の姿があった。脚にギプスを装着している。大方事故でもして入院したのか。
「……暇だな」
燈は途中で考えるのを止めた。下界の事など知ったところで自分には全く関係がない。関係がなければ興味もない。
あまりにやることがないので眠ろうかと布団に潜り込むが、中々寝付けない。そしてまた身体を起こして空を見る。
鬼谷がいない燈の日常はこんなことの繰り返しだった。
ここ最近、鬼谷は病室にやってこなかった。
何の連絡も無く彼女が来なくなることは何度かあった。その度に燈はなんとか暇を潰そうとベッドの上でもぞもぞと動き回るのが燈の習慣になっていた。
いつもはなんとか凌いでいたのだが、何回も同じことを続けていては流石に飽きてくる。布団から抜け出した燈はベッドから降りた。
たまにはこっちから会いにいってやろう。
軽い気持ちで思い立った燈は病室を抜け出して鬼谷の部屋へと向かった。
この病院では中央にあるエレベーターを境に処置室や洗濯所などの施設があり、ぐるりと円を描くように廊下があって、病室は外側に配置されている。
鬼谷の病室は燈の病室の対角。反対側にあった。エレベーターホールを抜けて処置室を通り過ぎたところで話し声が聞こえた。
「例の患者さんまた急変したって?」
「あぁ、鬼谷さんの事ですか?」
鬼谷の名前が出てきて燈は足を止めた。
どうやら医師と看護師が話をしているようだ。
「今回は何があったんだ?」
「腎臓が炎症を起こしてたんです。前触れもなく急に」
――腎臓だって?
「変調はいつからだ?」
「今日の朝です。大分安定してきたと思った矢先に……」
「朝? そんな馬鹿な、前の検査では何の異常もなかったんだぞ」
「はい……今回も予兆のない急変です」
困惑する声に燈は動転していた。
彼女も腎臓を悪くして入院していたのか?
それに、『今回も』ってどういうことだ?
「――薬の効き目は?」
「今のところ特には」
医師の重いため息が聞こえて会話が止まり、燈はその場を離れた。
ふらふらとした足取りで歩く燈は混乱を極めていた。
長い時間入院しているのだからどこかが悪いことは当然承知していた。しかし、自分と同じ場所を悪くしているだなんて想像もしていなかった。
それなのに僕は、屋上で話した時にどこか得意げに自分の不幸自慢をしてしまっていた。彼女はその時、何を思って聞いていたのだろうか。
罪悪感で自分を責める燈は同時に「今回も」という単語に引っ掛かっていた。
腎臓を悪くするというのは長い期間苦しむものだ、一度変調をきたすと快復するまで長い時間を有する。
つまり意図的に体調を悪くしない限り、そうコロコロと急変したりはしない。するとしたらそれはもう機能を停止する時だろう。
「わからない……」
医師の会話が理解できずに頭がずきずきとする。脳に酸素を食われているのか脚は重くて、思うように進む事ができなかった。
なんとか鬼谷の病室までやってくると、燈は確認の為にネームプレートを見る。
‘面会謝絶’
ネームプレートの上にかぶさった札を見て医師の話が真実なのだと理解する。
何で急にこんな事になっているんだ。
もしかして購買で買い食いをしたのが悪かったのか。
それとも屋上まで散歩に出たのが悪かったのか。
急変の理由を必死に探すが僕は医者でも何でもないのだから、答えなど見つかるはずがなかった。
頭が重い。
クラクラとして視界が歪む。
「あ、あれ…………?」
気が付けば、目の前に壁があった。
立ち上がろうとするが体に違和感があってうまく立ち上がる事が出来ない。
「燈君!」
看護師の声が聞こえて身体を起こされる。
壁にぶつかっていたのではなく、自分が床に倒れこんでしまっていたのだと気付いたのはその時だった。
「誰か手伝ってください! 燈君が!」
看護師の叫び声が聞こえて周囲が慌ただしくなってくる。
そのままの体勢で体を持ち上げられた燈は処置室に搬送されていく。遠くなっていく鬼谷の病室を、視界の端にずっと捉えていた。
目が覚めると白い天井が見えた。
体が自分のものではないように重たくて起き上がることが出来ない。
口には酸素マスクが取り付けられていて、なんとか頭だけ動かして自分の身体を見ると色々な場所から管が繋がっていた。
今すぐベッドから抜け出して、鬼谷の病室に行きたかった。
自分がこうなっている間に、もしも彼女がいなくなっていたら。そう思うと気が急いてしまって必死に身体を動かそうとする。
しかし体は言う事を聞かず、微動だにしない。自分の身体がここまで弱いのだと自覚させられて燈は叫びたくなる。だが力が入らないとそれすら許されない。
なんて非力な身体なんだ。
心の中で嘆きながら、燈は涙を流す。
「泣き虫君はっけん」
聞きなれた少女の声に、燈は目を見開いた。
頭を動かし病室の扉を見ると、鬼谷がいつものようにこちらを見ていた。
「……っ」
彼女の名前を呼ぼうとするが、声が出てこない。
すると、鬼谷の方からこちらに近づいてきてくれた。
「大丈夫……ではないか。凄いことになっているものね」
笑みを見せながら鬼谷が言う。軽い口調と裏腹に表情は心配そうにしていた。
燈は口角を上げて「大丈夫だよ」とアピールして見せると彼女は頷いてくれた。
「看護師さんから聞いたよ。私の病室の前で倒れたって。何か用事があったの?」
「…………」
「ごめん。答える事が出来ないんだね」
椅子を持ってきた鬼谷が枕元に座る。
「頭は動くんだよね?」
鬼谷の質問に燈は頷いて返す。
「そう。じゃあ……何か私に用事があったのかな?」
燈は首を振る。
「そうなの? じゃあどうして病室の前にいたんだろう……?」
顎に指を乗せて鬼谷は暫く唸っていると、「あ」と思いついたように声を漏らした。
「もしかして、ただ私に会いたくなって来ちゃっとか?」
その言い方は色々と誤解が生まれそうだよ。
心の中でそう言った燈は、少しそのままでいてからゆっくりと頷いた。
燈の返事を見た鬼谷は悪戯っぽくにやける。
「そうかそうか。燈君は私に会いたくて無理しちゃったのかぁ~。とても光栄ですなぁ~」
身体をくねくねと動かして鬼谷は言う。なんだかとても恥ずかしい。
もうこのまま腎臓どころか心臓まで止めて死んでしまいたいくらいだ。
「じゃあ、これは私のせいなのかもね」
「…………?」
「面会謝絶の札。見たんでしょ。それで不安になってストレスで体調を崩した。そうでしょ?」
燈は目を閉じてゆっくりと頷く。正直その通りだと思ったからだ。
鬼谷に気を遣うならNOと言えばよかったかも知れないが、そこで嘘を吐くのは彼女に失礼な気がした。
「ごめんね。心配させちゃって」
鬼谷の手が燈の腕に触れる。
彼女の手は驚く程冷たくて、まるで氷を乗せられたようだった。
「でも、心配しないでいいのよ。私は死なないから。何があっても。どうなっても。燈君を一人にはしないから」
腕の上を鬼谷の指が這い。手を優しく掴まれる。
「だから、もう心配しないで」
こちらを見て鬼谷は微笑む。いつもの少女みたいな雰囲気はどこにいったのか、まるで母親のような空気を纏う彼女の姿に燈は言いようのない暖かさを感じていた。
「あれ、鬼谷さん?」
看護師が病室に入り鬼谷を見る。
「どうしてここに? 体は大丈夫なの?」
「はい。調子が良かったので燈君のお見舞いに来ました」
「そう……二人とも仲がいいのね」
看護師が笑顔を作る。
「燈君の様子を見るから、少しいいかな?」
「はい」
頷く鬼谷は看護師と入れ替わるように部屋を出て行った。
立ち去る時に綺麗な黒髪が揺れて、燈は思わず腕を伸ばして彼女を引き留めようとした。
しかし、腕は微動だにせず止まったままだ。
「またね。燈君」
そう言い残して去って行った鬼谷は、どこか憂いを残した表情だった。
「また曇りか……」
外には分厚い雲が一面に広がっていた。
灰色に染まった曇り空を見ていると心まで曇ってくる。
しかしそれ以外にやることがない燈はわかっていても外の景色を眺めるしかなかった。
空を見ると気が滅入るから視線を下げると、中庭では何人かの子供が遊んでいた。パジャマではなく洋服を着こんでいるのを見ると、見舞いにやってきた子供なのだろうか。
辺りを見回してみると子供を見つめるパジャマ姿の大人の姿があった。脚にギプスを装着している。大方事故でもして入院したのか。
「……暇だな」
燈は途中で考えるのを止めた。下界の事など知ったところで自分には全く関係がない。関係がなければ興味もない。
あまりにやることがないので眠ろうかと布団に潜り込むが、中々寝付けない。そしてまた身体を起こして空を見る。
鬼谷がいない燈の日常はこんなことの繰り返しだった。
ここ最近、鬼谷は病室にやってこなかった。
何の連絡も無く彼女が来なくなることは何度かあった。その度に燈はなんとか暇を潰そうとベッドの上でもぞもぞと動き回るのが燈の習慣になっていた。
いつもはなんとか凌いでいたのだが、何回も同じことを続けていては流石に飽きてくる。布団から抜け出した燈はベッドから降りた。
たまにはこっちから会いにいってやろう。
軽い気持ちで思い立った燈は病室を抜け出して鬼谷の部屋へと向かった。
この病院では中央にあるエレベーターを境に処置室や洗濯所などの施設があり、ぐるりと円を描くように廊下があって、病室は外側に配置されている。
鬼谷の病室は燈の病室の対角。反対側にあった。エレベーターホールを抜けて処置室を通り過ぎたところで話し声が聞こえた。
「例の患者さんまた急変したって?」
「あぁ、鬼谷さんの事ですか?」
鬼谷の名前が出てきて燈は足を止めた。
どうやら医師と看護師が話をしているようだ。
「今回は何があったんだ?」
「腎臓が炎症を起こしてたんです。前触れもなく急に」
――腎臓だって?
「変調はいつからだ?」
「今日の朝です。大分安定してきたと思った矢先に……」
「朝? そんな馬鹿な、前の検査では何の異常もなかったんだぞ」
「はい……今回も予兆のない急変です」
困惑する声に燈は動転していた。
彼女も腎臓を悪くして入院していたのか?
それに、『今回も』ってどういうことだ?
「――薬の効き目は?」
「今のところ特には」
医師の重いため息が聞こえて会話が止まり、燈はその場を離れた。
ふらふらとした足取りで歩く燈は混乱を極めていた。
長い時間入院しているのだからどこかが悪いことは当然承知していた。しかし、自分と同じ場所を悪くしているだなんて想像もしていなかった。
それなのに僕は、屋上で話した時にどこか得意げに自分の不幸自慢をしてしまっていた。彼女はその時、何を思って聞いていたのだろうか。
罪悪感で自分を責める燈は同時に「今回も」という単語に引っ掛かっていた。
腎臓を悪くするというのは長い期間苦しむものだ、一度変調をきたすと快復するまで長い時間を有する。
つまり意図的に体調を悪くしない限り、そうコロコロと急変したりはしない。するとしたらそれはもう機能を停止する時だろう。
「わからない……」
医師の会話が理解できずに頭がずきずきとする。脳に酸素を食われているのか脚は重くて、思うように進む事ができなかった。
なんとか鬼谷の病室までやってくると、燈は確認の為にネームプレートを見る。
‘面会謝絶’
ネームプレートの上にかぶさった札を見て医師の話が真実なのだと理解する。
何で急にこんな事になっているんだ。
もしかして購買で買い食いをしたのが悪かったのか。
それとも屋上まで散歩に出たのが悪かったのか。
急変の理由を必死に探すが僕は医者でも何でもないのだから、答えなど見つかるはずがなかった。
頭が重い。
クラクラとして視界が歪む。
「あ、あれ…………?」
気が付けば、目の前に壁があった。
立ち上がろうとするが体に違和感があってうまく立ち上がる事が出来ない。
「燈君!」
看護師の声が聞こえて身体を起こされる。
壁にぶつかっていたのではなく、自分が床に倒れこんでしまっていたのだと気付いたのはその時だった。
「誰か手伝ってください! 燈君が!」
看護師の叫び声が聞こえて周囲が慌ただしくなってくる。
そのままの体勢で体を持ち上げられた燈は処置室に搬送されていく。遠くなっていく鬼谷の病室を、視界の端にずっと捉えていた。
目が覚めると白い天井が見えた。
体が自分のものではないように重たくて起き上がることが出来ない。
口には酸素マスクが取り付けられていて、なんとか頭だけ動かして自分の身体を見ると色々な場所から管が繋がっていた。
今すぐベッドから抜け出して、鬼谷の病室に行きたかった。
自分がこうなっている間に、もしも彼女がいなくなっていたら。そう思うと気が急いてしまって必死に身体を動かそうとする。
しかし体は言う事を聞かず、微動だにしない。自分の身体がここまで弱いのだと自覚させられて燈は叫びたくなる。だが力が入らないとそれすら許されない。
なんて非力な身体なんだ。
心の中で嘆きながら、燈は涙を流す。
「泣き虫君はっけん」
聞きなれた少女の声に、燈は目を見開いた。
頭を動かし病室の扉を見ると、鬼谷がいつものようにこちらを見ていた。
「……っ」
彼女の名前を呼ぼうとするが、声が出てこない。
すると、鬼谷の方からこちらに近づいてきてくれた。
「大丈夫……ではないか。凄いことになっているものね」
笑みを見せながら鬼谷が言う。軽い口調と裏腹に表情は心配そうにしていた。
燈は口角を上げて「大丈夫だよ」とアピールして見せると彼女は頷いてくれた。
「看護師さんから聞いたよ。私の病室の前で倒れたって。何か用事があったの?」
「…………」
「ごめん。答える事が出来ないんだね」
椅子を持ってきた鬼谷が枕元に座る。
「頭は動くんだよね?」
鬼谷の質問に燈は頷いて返す。
「そう。じゃあ……何か私に用事があったのかな?」
燈は首を振る。
「そうなの? じゃあどうして病室の前にいたんだろう……?」
顎に指を乗せて鬼谷は暫く唸っていると、「あ」と思いついたように声を漏らした。
「もしかして、ただ私に会いたくなって来ちゃっとか?」
その言い方は色々と誤解が生まれそうだよ。
心の中でそう言った燈は、少しそのままでいてからゆっくりと頷いた。
燈の返事を見た鬼谷は悪戯っぽくにやける。
「そうかそうか。燈君は私に会いたくて無理しちゃったのかぁ~。とても光栄ですなぁ~」
身体をくねくねと動かして鬼谷は言う。なんだかとても恥ずかしい。
もうこのまま腎臓どころか心臓まで止めて死んでしまいたいくらいだ。
「じゃあ、これは私のせいなのかもね」
「…………?」
「面会謝絶の札。見たんでしょ。それで不安になってストレスで体調を崩した。そうでしょ?」
燈は目を閉じてゆっくりと頷く。正直その通りだと思ったからだ。
鬼谷に気を遣うならNOと言えばよかったかも知れないが、そこで嘘を吐くのは彼女に失礼な気がした。
「ごめんね。心配させちゃって」
鬼谷の手が燈の腕に触れる。
彼女の手は驚く程冷たくて、まるで氷を乗せられたようだった。
「でも、心配しないでいいのよ。私は死なないから。何があっても。どうなっても。燈君を一人にはしないから」
腕の上を鬼谷の指が這い。手を優しく掴まれる。
「だから、もう心配しないで」
こちらを見て鬼谷は微笑む。いつもの少女みたいな雰囲気はどこにいったのか、まるで母親のような空気を纏う彼女の姿に燈は言いようのない暖かさを感じていた。
「あれ、鬼谷さん?」
看護師が病室に入り鬼谷を見る。
「どうしてここに? 体は大丈夫なの?」
「はい。調子が良かったので燈君のお見舞いに来ました」
「そう……二人とも仲がいいのね」
看護師が笑顔を作る。
「燈君の様子を見るから、少しいいかな?」
「はい」
頷く鬼谷は看護師と入れ替わるように部屋を出て行った。
立ち去る時に綺麗な黒髪が揺れて、燈は思わず腕を伸ばして彼女を引き留めようとした。
しかし、腕は微動だにせず止まったままだ。
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そう言い残して去って行った鬼谷は、どこか憂いを残した表情だった。
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