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学園祭編
学園祭1
しおりを挟むん……ここはどこだ。視界がボヤケている。
学園内……どこかの教室だよな……。
視界がはっきりとしてくると、教室内にシエノが一人で立っていることに気付いた。
珍しくソワソワした様子だ。
「ごめんね、こんなところに突然呼び出しちゃって」
するとそこに“俺”が入口ドアから入ってきた。
これはもしかして、ミズモの予知夢か。本人が登場してるのに第三者視点なんだな。
「全然大丈夫だよ。いきなりどうしたの?」
こちらの世界での自分の体ではあるわけだけど、三人称としては初めて見るせいもあり、全然自分のことだと感じない。なんというかドラマのワンシーンみたいだ。
そして、こう客観的に見ても改めてめちゃくちゃイケメンだと思う。
「いきなりで驚くかもしれないけど……ミズモとはパーティーを解散して私と組んでほしいの」
「え、どうしたの……?」
なんという予想外の展開。このあとどういう流れになるのか非常に気になる。
「多分次の卒業試験で私も卒業できると思うんだ。私のほうが強いし、これから先ももっと強くなるように頑張るから」
「いきなり言われても……あいつのおかげで全員助けることができたし、俺も強くなることができたから約束を破るのはちょっときついかなぁ。別に解散しなくてもシエノが加われば―――」
俺が最後まで言い終わる前に、シエノがその口を塞ぐよう唇を重ねてきた。
なんとまさかのキスシーンという展開とは思わなかった。
俺よ羨ましいぞ!
「あなたのことが好きなの、急にこの気持ちが抑えきれなくなって……」
「……俺も、実はシエノのことが好きなんだ」
は? いや、俺よ、いきなりどうした!?
シエノは美少女だし、好きか嫌いか言われたらそりゃ好きだよ。でもキス一つで雰囲気に流される場面じゃないだろ。
「じゃあ解散して新しく二人だけのパーティーにしよ」
「そうだね。ミズモには今度説明しておくから」
なんだこの後味悪い展開。燃え上がる男女には何者も付け入ることができないということか。
二人は抱き合いながら再度唇を重ねていた。
誰も見てないと思ってるよなぁ。
俺が見てるんだよ! ちょっとは自重しろ!
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