【完結済】ヒト族ですがもふもふの国で騎士団長やらされてます。

れると

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義弟が(やっと)出来たのでこれから楽しくなりそうだ

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俺の目の前にはソファに座ってるイルヴェスと、その膝の上に跨って胸元にしがみついてわんわん泣いてるガイウスが居た。

「もうヤダ、全部っ何もかも、ひっ、辞めてやるっうっうぅ゙~」
「ガイが辞めたら誰が団長やるの?皆困っちゃうんじゃない?」
「だからっ辞め゙られな゙っい゙んじゃん~」
「そうだよねぇ。うんうん、ガイは偉いよ、いつも立派だねぇ。ほら、クーグゥが来たから少し落ち着こう?」
「ゔゔぅ~、ヤダ帰゙るぅ」

おっっっと、これは俺のせいなのか?っていうかどういう状況でこうなったんだ?
俺はイルヴェスに そろそろ起きると思うから何か口に出来るものをって言われて、部屋の外に仕えさせてた使用人に言伝を頼んだだけのちょっとの間に一体何が?

「ええとガイウス、起きたなら何か口にし」
「いらないっ!」
「せめて水だけで」
「いらない!」
「・・・。」

え、俺どうしたらいいの?
視線でイルヴェスに訴える。

「・・・はぁ。」

溜息を吐かれたんですけれど?

「ガイ、ずっと寝てたから何か口にしないと体が持たないよ?」
「いらない。食べたくない飲みたくない、帰りたい。」
「・・・・・・。」

「クーグゥ、目が覚めたから医者を。」
「ああ。」
「医者なんて要らないし元気だし帰るし!」
「ご飯も食べられない子が何言ってるの?」

・・・うん?なんでイルヴェスは両手を獣化させてるんだ?

そのままイルヴェスは胸元に張り付いてたガイウスの両頬を包んでガッと引き剥がした。

「・・・食べられないんじゃなくて、食べたくない気分なだけだもん」

ガイウスはイルヴェスと目線を合わせずボソボソっと言うが、何故か両手は獣化した手に重ねている。
そしてイルヴェスはそのままガイウスの頬をむにむにしてる。

2人の行動が謎すぎる。・・・あーあ、ガイウスは泣いちゃったから目が腫れて赤くなってるし。

っていうかイルヴェスってガイウスの前だとこんな優しい顔するんだな、初めて見たわこんな顔。今恐らくガイウスは超絶面倒な感じになってるのに口調も優しいし、俺の知ってるこいつじゃない。

「ガイ。俺達からしたら仕事終えて体調不良で吐いて倒れて今までずうっと寝てたのにご飯も食べないなんて、まだ元気になってないんだとしか思えないんだよ?」
「ぇ、俺吐いたの?」
「あ、あー。それ半分以上は俺の親父が原因・・・。」
「ぇ?ぁ、そーいえばノア様がフランリード公爵様が来るって言ってた・・・。ずびっ。」
「はぁ、泣いたから鼻水出てんじゃん。ほら鼻かめ。」

両手がイルの獣化した手の上だったのでハンカチでガイウスの鼻を包んでやると、ずびーっと遠慮なく鼻をかんできた。

まぁ良いけどよ。もう殆ど俺の義弟おとうとだしね。面倒をみたってことで、うん。
それにどうやら親父に会った記憶は無いみたいだな?

コンコン

「ぁ、飯かな」

部屋がノックされたので確認に行くと先程言伝を頼んでおいた軽食が届いていた。
部屋までは入れずにカートを受け取って俺が運ぶ。
イルヴェスが、ガイウスが他人に気を使うから人を入れないでと言ったからだけど、正直面倒だ。テーブルまでは運んで更に並べて欲しい。その後出ていけばいいじゃん?

まぁ仕方がないので俺が全部やる。

「ほらガイウス、何でも良いから食え。」

先ずはパン粥かなと皿を渡そうとしたが。

「取り敢えず水」
「・・・食えよ、何かを。」

そう言いながら水を渡す俺って優しいね。もう既に義弟おとうと想いの良い兄貴じゃないか?

その後はイルヴェスが適当に摘んでガイウスの口元に持って行って食べさせてる。持ってきたものを嫌がる素振りは見えない。
因みにイルヴェスはフォークを持つ左手だけ獣化を解いて、獣化したままの右手はガイウスが揉んでいるという不思議な光景だ。

あー、親子?餌付け?・・・介護、介護かこれは。介護だな。

俺もなんとなく小さめにカットされたフルーツにフォークを突き刺してガイウスの口元に持って行った。

パクッもぐもぐもぐもぐ、ごっくん。

眉間にシワをこれでもか!という程寄せてはいたけれど、パクッと咥えて咀嚼し飲み込んでくれた。

「・・・俺の事嫌いなの?」

いや、食べてはくれたけどすっごい顔してるからさ、俺の事嫌いなのかと思っちゃうじゃん?

「・・・・・・。」

ぅん?ちょっと何も言わないで見つめられるとドキドキしてくるんだけど。

「・・・・・・ぃ。」
「え、なんて?」
「嫌いじゃないって言ったんです。・・・義兄にいさま。」

ん?俺の聞き間違いじゃないよな?今俺の事”にいさま”って言った?

俺自分でも今気持ち悪いくらいニヤニヤしてると思うけど、へへへ。

取り敢えず気が変わらない今のうちにと契約書を机の上に広げて俺も両手を広げた。

「俺の膝の上も空いてるぜ?」
「いえ、結構です。」

ん゙ん゙っ、即答過ぎない?

ペンを受け取って契約書と向き合うガイウスを見る。サインをしようとして手が止まった。
それからふっと俺を見て、次にイルヴェスを見てぽつりと呟いた。

「俺これにサインして血判したら明日にはケモ耳と尻尾が生えてたりして、」
「いや、それはねーから早く書け?」
「ゔゔぅ゙~。」
「いや、待て何で泣く!?」
「俺だってケモ耳と尻尾欲しいし、俺だけ無いし、ぅ゙ぅ~。」

ああ。獣人に憧れてたのは知ってたけどいつも無いものねだりしたって仕方が無いと言い張ってたけどやっぱり強がりだったんだな。そうだよなぁ、この国でヒト族なんて正直俺も、ガイウスしか見た事ない。閉鎖的な国だから外交らしい外交も無いし、外から来る旅人や商人も獣人ばっかできっとヒト族はこの国を避けてるんだろうな。
そりゃ、1人だけっていうのはずっと疎外感感じるよな。

「ああ、悪かった。無神経な事言って。」

ガイウスの頭をぽんぽんと撫でる。

「いえ。・・・義兄にい様のせいでは無いですし。俺も無いものねだりしても仕方ないって分かってます、から。」

そう言って契約書にサインをした。
次は血判だけど、小さなナイフを俺に寄越し、目を瞑って手を差し出した。

「・・・何?」
「じ、自傷行為なんて怖くて出来ないんでやって下さいっ」
「お前、本当そーいうとこあるよなぁ。」
「っ!」

ガイウスの親指をナイフの刃で軽く撫でるとスっと赤い筋が走る。それがぷっくり膨れるのを待ってから契約書のガイウスのサインの上に押し当てた。

ガイウスのサインがインクの黒色だったのが血判を押したことによって魔力で碧く染まっていく。

「お前の魔力、宝石みたいな綺麗な碧色だな。」

このインクは魔力によって色が変わる。ガイウスのは宝石のような綺麗な碧色に変わった。ここまで綺麗な色が出るのも珍しい。

ガイウスの文字の色が全部変わると、魔力の籠ったインクで捺した公爵印とガイウスの魔力で契約書が淡く光る。光がだんだん小さくなり、やがて消えると契約は完了だ。

「よし、これで今からお前はガイウス・フランリードで、俺の義弟おとうとだ。はぁ~、ここまで長かったなぁ。」
「俺もとうとう貴族社会に足を踏み入れてしまった・・・はぁ。っていうか義兄にい様って上にもう2人いらっしゃるんですよね?挨拶とかしてないけど、あ、義母かあ様?もすみません、えと、」
「ああ、大丈夫大丈夫。お前有名だから向こうはみんな知ってる。」
「それ逆に俺が危うくないですか?」
「まぁ母さんは家にいるからこれから行く?」
「え!あ、待って心の準備がっ」

胸に手を当ててスーハースーハーしてる義弟おとうとを見るて、くつくつと笑いが込み上げてくる。

「ははっ悪い、今日は行かねぇよ。お前病み上がりだしな?くくっ。」

ガイウスの騙された!って顔が何とも言えないな。
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