【完結済】ヒト族ですがもふもふの国で騎士団長やらされてます。

れると

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誤解が重なると収拾が付かなくなる

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通りを抜けたら少し広めの通りに出る。
ここは様々なお店が並ぶ冒険者向けの商店街、といったところ。

今出てきた通りはちょうど商店街通りの真ん中辺りに出てくる道で、右側が防具や武具、戦闘用魔法道具など冒険者や俺たちみたいな戦うことを生業にしている人向けのお店が並び、進むと少し道幅が狭まって、素材売買店や布や原料を売る専門店が並び、更に進むと街の外に繋がる東門に繋がる。

反対側の左側は酒場や宿屋等が主だが、冒険者向けのお店が多いので宿屋では1階を食事処にして2階以上がちょっとえっちな客室だったり、酒場では露出度の高い素敵な衣装のウエイターさんが居るお店もある。
街の人達も利用してるけどね?
その先は噴水広場に繋がる中央通りに出る。
中央通り側のお店の方が治安もお店の雰囲気も安心である。

「ルートは確か右でしたよね」

自警団さんの言葉と共に右に曲がる。


少し進んで武具屋と素材屋が入り交じった所で喧嘩が起きていた。既に別のパトロールが仲裁に入っているが、喧嘩が5人グループ同士の喧嘩で6人メンバーのパトロール隊では人数のためか収集出来ていなかった。

はい、騎士団員には後日指導入りまーす!後でそれぞれのチームリーダーに報告ですね!
んじゃぁ、ここは俺の出番かな?

「よっし、ここは俺が一発ど」
「大人しく見ていてください!」

どかーんとって言いたかったんだけど、被せに来たよね確実に。

「ぇぇぇぇ。見てるだけですか、これを。どうせ見るなら、そこらの素材屋見たいです。」

ただ突っ立っているのも疲れるので俺は周辺のパトロールを申し出てみた。

「はいはい、分かりました。遠くに行かないでくださいよ!」

超あしらわれたんだけど!さすが俺・・・。
まあいっか!いえーい、少しの間だけどお店の中見ようっと♪ふひひひっ。

俺は2つ先の小道を曲がり暗い道を進んだ。
ここはお店の人の住居の入口や倉庫の入口、安ボロアパートの入口などがあって一見するとお店などは無い。

ええと右側の両開きの扉は、っとあったあった、これの更に奥側に2つ目の扉っと。

キィィー

扉を開けると蝶番から錆びた音が響く。
中にはもうひとつ扉があり、手書きで『薬・素材』と書かれた小さな看板がぷらんと下げられている。

看板が掛かってるから営業中だね。

キィィー

こちらも先程と同様開けると蝶番から錆びた音が響いた。

中は奥に続く一本通路で奥にはカウンター。
カウンターまで続く一本道の左右に古びた商品棚があり、そこに様々な色の液体が入った小瓶や乾燥した草花、干からびたカエルなど妖しい魔女の作る薬の材料みたいなものが並んでいる。

ぁ、あそこにあるでっかい蜘蛛の薬漬け初めて見たかも。

カウンター手前の商品棚は来る度に中身が変わっている。それ以外は変化がない、かもしれない。

カウンターの端っこに取り付けられている小さなベルをチリンと鳴らせば奥から主人がやって来た。

「おぅ坊主久しぶりだな。今日もポーションか?」
「お久しぶりです。ふふふ、久しぶりすぎて今日はなんと12本です!」

奥からやって来た黒メガネの獣性の強いアナグマ族のおじさんに言いながらカウンターにポーチから取り出した瓶を並べた。俺が暇な時に適当に調合してるポーションである。

「ほぉ~、こりゃまたすんごい濃度の作ったなお前さん。」
「うぇへへへ。だってどーせ薄めて売るんでしょ?」
「こんなん原液で出したら逆に体がビビっちまうよ。お代持ってくるからちょいと待ってな。・・・ほらよ。」

店の主人はサッと鑑定を終えて、硬貨がじゃらじゃら入った布袋と12品の瓶を交換した。

「っとそーだいいモノやるよ。」

そう言って、コトっとオレンジ色の液体の入った10cm程の瓶をカウンターに置いた。

「まさか、これは・・・!今世間を賑わせてる違法薬物!」
「違うわ!」

ベシンッ!

そこに置いてあった紙製の扇で頭を叩かれた。
紙製なのは店の主人の優しさだ。

「何も叩かなくてもいいじゃないですかぁ。」

これっぽちも痛くは無かったけどイタタタと振りをする。

「危ねぇ事言うんじゃねぇよ。そうでなくてもうちで取り扱ってるものは特殊なんだ。ごほん、んでな、これはちょっと強力な強壮剤。最近風の噂で倒れたって話を2度も聞いたからな。やべぇなと思ったら飲んどけ。」
「うわぁ、ありがとう!死にたくなったら飲むわ!」
「死にそうになったらだ!ド阿呆!」

この店の主人のノリ大好きだなぁ。と思いながらヘラヘラ笑ったら呆れため息を返された。

「ったく。それ、主原料はユキワリソウだから。」
「有名な毒草じゃないっすか!」
「毒もな使い方によっちゃァ」
「「薬となる」」
「ま、そいうこった。1日瓶半分までな。」
「え、なんでこの大きさの瓶なの。」
「作った時にそれしか無かったからだ。」
「ああ。それよく分かる! あ、そろそろ戻らないとまずいかな?毒薬ジュースありがとう!」

そう言って笑いながら貰った瓶を内ポケットにしまって、店を後にして駆け足で戻った。
後ろから「薬だって言ってんだろー!」と言う叫び声が聞こえたが気にしない。夜にそんな大声出したら迷惑だよ?

そのまま駆け足で戻ってきた俺は、アランがジェントルドに報告をしているところを見てタイミングばっちし~♪と思って声を掛けた。

「戻ったよー。終わりましたー?」

俺の声にアランがはっとこちらをを見た。

え?何その反応?

「団長どこ行ってたんですか。」

ジェントルドが俺に問いかけながら寄ってくる。

「あれ、もしかして俺時間かかっちゃってました?」

さっさと終わらせてきたつもりだったんだけど、時間掛かっちゃってたかな?

ジェントルドが寄ってくるからデカイ体に圧が強く感じて自然と俺の体は後退する。

トンっと壁に背中がついた。

ジェントルドが俺の顔の両隣に手を着いて問いかけてくる。

「団長はそんなに団長やってるの嫌ですか?」

んぇっ?どうしたんだいきなりそんなの割としょっちゅう言ってるけど。

「え、まぁ後任が居れば明日にでも辞めたいですけど?あ、ジェンもしかしてやってくれ、」
「俺には団長の後任なんて務まりません!」
「あ、うんそうだよね。前も聞きましたね。」

・・・被せられるほどに嫌がられる団長職じゃん。全てが物語られている。

「団長はそこまで思い詰めるほどになるまで誰にも相談しなかったんですか?ミッキィにもですか!?」
「うん?ミッキィにはもうずっと前に話したけど?」

そもそもずぅーっと言ってるし?ミッキィにも拒否られたし?

「ミッキィでダメなら!どうして俺に話してくれなかったんですか?」
「・・・え?だって今、」
「俺はそんなに団長の信頼が無いんですか?」
「滅茶苦茶信頼してますけれど・・・。」
「じゃぁなんで自殺なんて!」
「え!?自殺!?誰が??」

最初、そんな失踪したいくらいに思われる位に遅かったのかと思ったが、自殺だなんて一体なんの話になってるんだ?

「だって、団長。さっきの妖しいお店で、違法薬物を!毒薬を買っていたじゃ無いですか!」

アランがジェントルドの後ろから言ってくる。

「え?・・・・・・あ。」

俺はアランの言葉で重大な認識齟齬が起きている事に気が付いた。が、俺のこの呟きも悪い方向に捉えられてしまったようで。

「やっぱり!団長嫌です!考え直して下さい、死なないで下さい、団長ぉぉおお。」

アランが泣き崩れた。
ジェントルドも眉を寄せて潤んだ目で俺を見ている。

「・・・それぇ、どれもこれも誤解だよぉ。」

自警団の3人も俺たちの行方を見守りながら、俺の口からは蚊の鳴くような小さな呟きが漏れただけだった。
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