【完結済】ヒト族ですがもふもふの国で騎士団長やらされてます。

れると

文字の大きさ
64 / 167

お勉強スケジュールは過密スケジュール

しおりを挟む
執務中、俺は嘔吐感と戦っていた。

休むことはしなかったけど、重い体のまま出勤し、薬を3日続けて飲んだから薬酔いまでしてしまって、散々である。

宣言通り、愛されまくって満足だけど。
ぁぁ、でももう今日は薬ないからお預けなんだろうな、残念。ぃゃ、強請れば1回ぐらいは?いや、淡い期待は辞めておこう。

そういえば、イルが作ってくれた薬は連日飲んでも酔ったことは無い。凄いな、本当に俺の事考えて作ってくれてるの?

改めてイルの凄さに気づく。
もう俺イルが居ないと生きていけないかもしれない。

はぁ、気を取り直して書類とにらめっこしますか。
集中しちゃえば嘔吐感なんてどこかに吹き飛ぶさ!


「団長、龍の狩場って知ってますか?」


突然リックステンが俺に声をかけてきた。


「・・・知らないけど。リック、あのね。そもそも龍なんて居ないんですよ?居ないものが狩りなんてする訳ないじゃないですか。」
「え!団長ってヒト族なのに龍信じてないんですか??」
「エディス、俺は自分の目で見たもの以外は信じないんです。・・・っていうかヒト族なのにってどういう事?」
「えええええ。団長そこからですかぁ。」


エディスがいうには、この国が興る前は、ヒト族が龍と共に暮らしていた、という御伽噺は国民皆が知るもので、御伽噺とは言っているが、それを信じている者が国民の大半を占めているらしい。


・・・去年に義兄にい様から貰った本の内容じゃないか。因みにあの本は、歴史(というか伝記)と古語と古文を勉強するのに良い教科書となるみたいで、その御伽噺を使った勉強がこれから俺を待っている。


「俺は生まれも育ちもこの国ですけど、つい最近その話を知るまでは全く知りませんでしたよ?」
「団長は育ちが特殊だから仕方ないですよ。」
「・・・。で、リック。その龍の狩場って?」

「俺の叔父さんの毎年年始にやる占いの話なんですけれど、」

そう言ってリックは話し出した。

なんでも、リックステンの一族はイワネコの一族で、イワネコというのは吉凶の占いなんかを結構信じていて、毎年星詠みの一族の末裔に1年間の吉凶を占ってもらっているらしい。

リックステンは、その占いの場には居なかったみたいだけれど、後日叔父さんから 騎士団に居るんなら耳にしておいた方がいいかもしれない と話しがあったらしい。


その星詠みの一族の末裔さん曰く、龍の狩場の兆しが幾つも現れてきている。遠くないうちにきっと龍の狩場は開かれる。流れ魔物や流れ魔獣に気を付けた方が良い。との事らしい。


「待って待って、突っ込みどころが多すぎる!リックの叔父さんは一族の吉兆を占ってもらったんじゃないの?」
「それとは別に、毎年この国の1年もざっくりと占ってもらってるんですよ。若い頃何となくそれも占ってもらったら、天候災害がバッチリ当たって、占いのおかげで何となく準備してたから被害も多くなくてって事があったみたいで。」
「へぇーー。凄いですね、星詠みの一族。」
「団長が1ミリも信じてない。」
「因みに、龍の狩場の兆しの1つは団長ですよ!」
「はぁ!?俺ぇ!?・・・うわぁ、俺の知らない所で俺のせいにされてる・・・。」
「別に団長のせいって訳では無いです!それに、龍の狩場自体は別に悪いことでは無いんですよ!」
「でも巻き込まれたら大災難だよ。」

リックステンとエディスの言葉に謎が深まるばかりだ。

「ちょっと待ってリックとエディス、まず先にその龍の狩場について教えてもらえますか?」
「そうですね。龍の狩場っていうのはですねぇ、」


龍の狩場、というのはその名の通り龍が大体的に狩りをする場を開く、というもので、龍だけでなく時には龍に仕える魔物も狩場に参加するらしい。
この国では過去、国境付近の山頂辺りで数度狩場が開かれているみたいで、龍の姿が見れたら物凄く運がいい!という事みたい。
ただ、狩場から外れてしまった魔物が、村や街に降りて来てしまうこともやはりあるそうで、龍の狩場が開かれると、少なからず被害が出る、らしい。


なぜ全て仮定かというと、はっきりとした記録は残っていないから、らしい。


そもそも龍の狩場が開かれるのは不定期で、幾つか条件が重なった時だけ、龍は狩場を開くらしい。


で、その条件の1つは ヒト族が森や山に祈りを捧げる事、らしい。
この森や山っていうのが、そもそもの龍が治める土地らしくて、俺が魔物や魔獣の討伐で森を物理的に荒らしちゃった時に、魔力流しておいた方が森の再生が早いからとやっていた事が、この祈りを行うと言う事らしい。


しかもこの国では龍は神聖化されているので、龍の狩場というのは災害の予兆では無く、今後も龍神様がこの国に居て下さり見守ってくれる祭事の1つ、とみなされているらしい。


「俺は、なんて事を・・・。」
「でも団長、その行為が祈りになるって知っていたとしても、龍なんて居ない居ない信じない!って結局続けてたでしょ?」
「・・・そんな気はします。いやって言うか、居ないから龍なんて。そんな伝説のものは伝説のままでいいんだよぉ。」



コンコン、ガチャ

「なんだか面白そうな話に花が咲いてるみたいですね?」

レスト副団長が、王宮から本を3冊持って戻ってきた。

「レスト副団長、団長が龍について何にも知らないんですよ。この国の国民として有るまじき知識です!」
「ぇー、そこまで?」
「エディス、団長は首都に来るまで この知識は生きるのに必要かどうか という取捨選択で来られたのですから仕方の無い事なのです。」
「ふふ、究極の取捨選択過ぎませんか?」

リックステン笑いすぎだし。
レスト副団長は俺の執務机に持ってた本を全て置いた。

「調度良いです。こちらの3冊は全て龍に関する本ですので、そうですねぇ、次の次のお休みまでに全て読んでレポートをお願いしますね。」
「ぇぇぇぇ、まぢですか。まぢでやるんですかコレ。」


何故か普段はこうやってレスト副団長から読書の課題が出て、終わり次第公爵様に持って行ってもらって、新しい課題図書を持ってきてもらう、という謎ルールが出来上がっていた。週末は公爵家で、マナーやダンス等の実技と簡易テストをして、足りない知識をこうやって平日に課題図書として出されてレポート書いて、という目まぐるしい日々を送らされる事になっていた。
全て俺が知らない間に決定していたのだ、なんて事だ。

しかも初っ端から3冊だ。
ウォーミングアップっていう言葉知らないのかな?


しかし!お勉強のおかげで、お休みが定期的にやってくるようにもなる、らしい。
お休みって言っても勉強で潰れて、全くもって休め無い予定なのだが。
お休みっていう言葉の意味知らないのかな?
ダラダラ出来る本当のお休みが欲しいよね。


因みにイルは「ガイなら2ヶ月くらいで全部マスター出来るから頑張って。」という事を言われた。
ぇ、愛しのガイウス君がお勉強のお陰ででイルヴェスさんの事構ってあげられないんですけど、良いんでしょうかね?俺は滅茶苦茶構って欲しいんですけど。


これ2ヶ月で覚えられなかったらどんどん伸びていくんだよね?地獄だね!
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします

み馬下諒
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。 わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!? これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。 おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。 ※ 造語、出産描写あり。前置き長め。第21話に登場人物紹介を載せました。 ★お試し読みは第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★ ★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★

悪役令息(Ω)に転生したので、破滅を避けてスローライフを目指します。だけどなぜか最強騎士団長(α)の運命の番に認定され、溺愛ルートに突入!

水凪しおん
BL
貧乏男爵家の三男リヒトには秘密があった。 それは、自分が乙女ゲームの「悪役令息」であり、現代日本から転生してきたという記憶だ。 家は没落寸前、自身の立場は断罪エンドへまっしぐら。 そんな破滅フラグを回避するため、前世の知識を活かして領地改革に奮闘するリヒトだったが、彼が生まれ持った「Ω」という性は、否応なく運命の渦へと彼を巻き込んでいく。 ある夜会で出会ったのは、氷のように冷徹で、王国最強と謳われる騎士団長のカイ。 誰もが恐れるαの彼に、なぜかリヒトは興味を持たれてしまう。 「関わってはいけない」――そう思えば思うほど、抗いがたいフェロモンと、カイの不器用な優しさがリヒトの心を揺さぶる。 これは、運命に翻弄される悪役令息が、最強騎士団長の激重な愛に包まれ、やがて国をも動かす存在へと成り上がっていく、甘くて刺激的な溺愛ラブストーリー。

【本編完結】転生先で断罪された僕は冷酷な騎士団長に囚われる

ゆうきぼし/優輝星
BL
断罪された直後に前世の記憶がよみがえった主人公が、世界を無双するお話。 ・冤罪で断罪された元侯爵子息のルーン・ヴァルトゼーレは、処刑直前に、前世が日本のゲームプログラマーだった相沢唯人(あいざわゆいと)だったことを思い出す。ルーンは魔力を持たない「ノンコード」として家族や貴族社会から虐げられてきた。実は彼の魔力は覚醒前の「コードゼロ」で、世界を書き換えるほどの潜在能力を持つが、転生前の記憶が封印されていたため発現してなかったのだ。 ・間一髪のところで魔力を発動させ騎士団長に救い出される。実は騎士団長は呪われた第三王子だった。ルーンは冤罪を晴らし、騎士団長の呪いを解くために奮闘することを決める。 ・惹かれあう二人。互いの魔力の相性が良いことがわかり、抱き合う事で魔力が循環し活性化されることがわかるが……。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

《本編 完結 続編 完結》29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、年下の英雄公爵に溺愛されています。

かざみはら まなか
BL
24歳の英雄公爵✕29歳の日本に帰りたい異世界転移した青年

異世界にやってきたら氷の宰相様が毎日お手製の弁当を持たせてくれる

七瀬京
BL
異世界に召喚された大学生ルイは、この世界を救う「巫覡」として、力を失った宝珠を癒やす役目を与えられる。 だが、異界の食べ物を受けつけない身体に苦しみ、倒れてしまう。 そんな彼を救ったのは、“氷の宰相”と呼ばれる美貌の男・ルースア。 唯一ルイが食べられるのは、彼の手で作られた料理だけ――。 優しさに触れるたび、ルイの胸に芽生える感情は“感謝”か、それとも“恋”か。 穏やかな日々の中で、ふたりの距離は静かに溶け合っていく。 ――心と身体を癒やす、年の差主従ファンタジーBL。

【完結】もふもふ獣人転生

  *  ゆるゆ
BL
白い耳としっぽのもふもふ獣人に生まれ、強制労働で死にそうなところを助けてくれたのは、最愛の推しでした。 もふもふ獣人リトと、攻略対象の凛々しいジゼの両片思い? なお話です。 本編、舞踏会編、完結しました! キャラ人気投票の上位のお話を更新しています。 リトとジゼの動画をつくりました! もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。 インスタ @yuruyu0 絵もあがります Youtube @BL小説動画 アカウントなくてもどなたでもご覧になれます プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら! 『伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします』のノィユとヴィル 『悪役令息の従者に転職しました』の透夜とロロァとよい子の隠密団の皆が遊びにくる舞踏会編は、他のお話を読まなくても大丈夫なようにお書きしているので、お気軽に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。 ジゼの父ゲォルグ×家令長セバのお話が『ずっと、だいすきです』完結済みです。 ジゼが生まれるお話です。もしよかったらどうぞです! 第12回BL大賞さまで奨励賞をいただきました。 読んでくださった方、応援してくださった皆さまのおかげです。ほんとうにありがとうございました! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

転生令息は冒険者を目指す!?

葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。  救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。  再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。  異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!  とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A

処理中です...