【完結済】ヒト族ですがもふもふの国で騎士団長やらされてます。

れると

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口に含んだ時点で溶けるよね?

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次の日、日が昇る少し前だったけど、女将さんは既にパンの仕込みを粗方終えていて、俺たちを笑顔で迎えてくれた。

「おや、今まで夜ばっかりだったのに今日は早いんだねぇ!」
「俺たち今日出ようと思ってて。」
「そうかい。じゃぁ沢山食べていきな!」
「ん゙っ俺そんなにお腹空いてないからスープとパンでいい、」
「そんなんじゃ直ぐにお腹が空いちゃうだろう?病気でも無いんだったら無理してでも沢山食べていきなっ」
「ふふ、団長せめてお肉は食べて行かないとですね?」
「こ、こんなにいらなっ」

差し出されたお皿にはこれでもか!と言うほどお肉やらパンやらが山盛りに乗せられていた。

「団長、特別扱い良かったですね!沢山食べましょう!」
「うぅ~。」

とりあえず食べないことには減らない!俺の今のミッションは目の前のご飯を減らすこと!

「ぃ、いただきます!ん、おいしい~。けど量が多い・・・。」

ぱくっ、もぐもぐ、ごくん。
はぐっ、もぐもぐもぐ、ごくん。

た、食べても食べても減らないぞ?

「お前そんなに食えるのかよ。」

こ、この声はクーグゥ義兄にい様では!?
よし!義兄にい様にも減らしてもらおう!

俺はくるっと振り返り、義兄にい様が持ってるお盆の上のお皿にお肉やらパンやらを乗せる。

「はい、俺の分だいぶ減った!良かった!足りなかったら言って下さい。もっと分けるんで!」
「いや、ええー。いや、お前ぇ、っつぅか昨日との変わりようが酷いっていうか、ええー。」
「俺は後に引きづらない性質なんです!言いたいこと言ったし、それに俺の今のミッションはこのご飯をどうにかしないと!ほら、イルも!食べて!減らして!」

俺は義兄にい様の後ろでしょぼーんとしているイルを引っ張って、義兄にい様と同じようにイルのお皿にも俺の肉やらパンやらを乗せた。

「はい!イルもよろしく!エディス、俺すげぇ食べましたよ?」
「いや、そんなドヤ顔されましても・・・。」
「お前が食ったんじゃないだろ。」

減ったからいいのだよ、うん。
さぁてだいぶ減ったから残りを食べるぞー。

「なぁ、ところでお前は病気なのか?」
「は?んなわけないですけど?」
「だってさっき女将さんが言ってなかったか?」
「違うよそれ。病気じゃないなら無理して沢山食えって言われただけですよ。」
「そうか、うん。そうか。」

その返事は納得してないよね?なんか嫌な予感するんだけど。

「俺、至って健康ですから!何も心配する事ないですからね!?」
「ん?ぁぁ、そうだな?」
「でも、団長の食べる量が少なくて僕は心配です。」
「ちょっとエディス余計な事言わないで!」
「・・・だよなぁ?イルヴェスもそう思うだろ?」

イルはクーグゥ義兄にい様に振られて小さく口を開いた。

「・・・そうだね。ガイは最近、特に食べる量減ったから。正直心配で、心配で、・・・ガイ、」

イルの耳は自信なさげにへにょんと前に少し垂れて、尻尾もだらーんと垂れて先が内側に少し曲がってる。

ええと、俺が昨日、せっかく2人が心配して来てくれたのに、手を叩き落として部屋から追い出したから、だよね?
だからしょぼーんってしてるんだよね?

ふ、不謹慎なのは分かってるんだけど、いつも見ない姿からか、か、可愛い。
ちょっとあんな耳見た事ないんですけど。可愛いんですけど。尻尾もだらぁんと元気がないのに先っちょだけ内側にくるってしてて、なにあれ、何ですか。俺を萌え殺しにかかってるの?

イルは俺に過分に盛られたお盆を手にじぃっとこちらを伺っている。

あーもう!あーもう!

「イルっ!!はいここ座る!」

4人がけのテーブルにエディスと向かい合わせに座ってた俺の隣にイルを座らせる。
クーグゥ義兄にい様もそれを見てエディスの隣に座った。

「ガはぐっ」

丁度いいタイミングで口が空いたので、俺はそこに丸パンを突っ込んだ。

俺の名前呼ぼうとしてたっぽいけど、そんなこと知らない、知ったこっちゃない。

「はいはい。温かいうちに食べようねー。いっぱいあるからねー。」

とりあえず俺は自分も食べつつ、イルの口が開く度にご飯を突っ込んでいった。

俺が山盛りにしたご飯をペロッと平らげたクーグゥ義兄にい様が口を開いた。

「あー、ガイウス?昨日のことなんだが、あーえーと、イルヴェスのこと嫌いになったか?」

俺はクーグゥ義兄にい様の空になった皿に俺の分のお肉を盛った。よし、俺のお肉終了。ついでに丸パンの残り3つも乗せちゃえ!

「は?どこに嫌いになる要素があるんですか。」

俺はついでにエディスのお皿に俺の分のフルーツを乗せる。うんうん、だいぶ減ったぞ俺の分。と思ったら「しれっと何やってるんですか。少しは自分でも食べてください」と2切れ返された。しょうが無い、半分以上は渡したし、この分は食べてやろう。

「ガもぐっ」

俺はまたイルの口が開いた瞬間、今度は温野菜を詰め込んだ。エディスがなんとも言えない顔で見てくるが気にしてはいけない。まぁ、温野菜は1つくらい食べてやるか。

「いやでも、昨日大分怒ってたじゃんか?イルヴェスの手を叩き落としてたし。」
「はぁ?何でそんな事で嫌いに直結するんですか。お2人は俺を心配して来ただけでしょ?俺は信用されてなくて腹が立った。が、まぁこれは俺の不徳の致すところ。言いたいことは言ったし、はい終了。以上です。」

よし、フルーツ2切れも終了だ。あとはスープ。

「ぉ、ぉぉ、な、なるほど。お前は時々びっくりするほど男らしいな?」
「知らなかったんですか?俺って滅茶苦茶かっこいいんですよ?」
「団長、ふ、素敵です。」
「かっこいいなんて一言も言ってねぇし、笑われてんじゃん。」

俺は無視してスープを具は食べずに飲み干す。さて、この具はそうだな。

「ガイ、はぐっ」

スープの具の肉団子と野菜を一緒にフォークでさして、開いたイルの口に突っ込んだ。うん、丁度いいタイミングで開いたからさ、突っ込んでいかないと減らないし?

その時ちらっと、俺の視界にイルのケモ耳が写った。

・・・ぅん?あれ!!?いつの間にかイルの耳が元気になってるよ!?
くっ、萎れケモ耳が元気になる瞬間見逃したんだけど!超見たかったんですけど!

尻尾もちらっと見てみる。

なんてこと!!尻尾までもいつの間にか元気にフッサフサになってる!

「ガイ?」

ぁ、イルの口が開いたからなにか突っ込まないと。ええと、ええと。

・・・あれ?俺のお皿綺麗に食べきってるよ!?

「はい、完食~。ふぅ、食べた食べた!」
「いやお前は言うほど食べてない。」

いいんだよ。俺のお皿が綺麗になればいいんだよ。

「ガイ、俺の事まだ好きで居てくれる?」
「んぁっ??」

イルが俺の肩をガシッと掴んで向き合わせた。

ええと、声音と字面だけなら気弱で伺う感じがあるけど、耳と尻尾めっちゃ元気になっますよ?

「・・・ガイ?」

俺が答えないから、イルが少し不安気に伺ってくる。

心做しか耳に元気が無くなってる!?

「・・・・・・。」

敢えて答えないでいると、しゅんっと耳に元気が無くなった。しっぽもしゅんと元気が無くなっている。

なにこれなにこれ!可愛いんですけれど!

「俺、イルのこと・・・、」

にやけてはダメだ俺!可愛さのあまりに口元がにやにやしそうなんだけど!だって可愛いんだもん!しゅんって!お耳がしゅんって!

「・・・ガイ・・・」

イルが弱々しく先を促してくる。

はぁぁぁぁ、可愛い~~!!
何この気弱なお耳と尻尾は!けしからん!誠にけしからん!今すぐ揉み揉みしたいぞ!

だけど、今が揉み揉みタイムじゃない事は分かってるのでグッと堪える。

次は尻尾。絶対見逃さないし。

「俺、イルの事・・・めちゃくちゃ大好きですけど?ぅぐっ」
「ガイ!俺も好き、ガイのこと大好き!好き好き!愛してる!」

俺が頑張って溜めて言ったら、イルが凄い勢いでぎゅーっと抱き着いて来るから俺は危うく今食べたものが戻ってきそうになった。

でもでもっ尻尾が!尻尾がぽふんって一気に元気になったんだよ!一瞬でしゅんってしてたのがぴーんのぽふっ!て!!俺は見逃さなかった!もふもふだけどフサフサのイルの尻尾が、一瞬でぴーんぽふって!!

イルが俺にスリスリと匂い付けしてくるから、俺も我慢しないでにやにやした。

イルのケモ耳と尻尾の破壊力恐るべし!

「僕間近で初めて見ましたけど、ええと、凄い仲良いんですね。羨ましいです。」
「俺何度も見てるけどまじで砂糖吐きそう。」

・・・ん?

「クーグゥ義兄にい様って砂糖吐けるんですか?そんな特技があるんですか?」
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